第3回:LifeKeeper for Linuxの操作 (2/4)

LifeKeeperのすべて
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第3回:LifeKeeper for Linuxの操作
著者:サイオステクノロジー クラスタソリューショングループ
監修者:サイオステクノロジー  小野寺 章   2005/12/8
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IPリソースの作成

   次に、クラスタノード間で切り替え可能なIPアドレスを作成する。これは、LifeKeeperのCoreパッケージ内に含まれている「IP Recovery Kit」によってIPリソースを作ることにより実現できる。

   IPリソースを作成することにより、障害となった稼動系サーバから待機系サーバにIPアドレスを移行させるためのメカニズムを提供する。IPリソースを作成するにあたり、以下のような構成を想定する。

クラスタノード パブリックIPアドレス 仮想IPアドレス(VIP)
lk1(稼動系サーバ1) 192.168.0.101 192.168.0.100
lk2(待機系サーバ2) 192.168.0.102

表2:IPリソースを作成の際の構成

   ここでの「仮想IPアドレス」は外部から要求を受けるアドレスである。例えば、Webサーバをクラスタ化する場合は両ノードでLISTENさせるIPアドレスをこの仮想IPアドレスに指定する。

   IPリソース作成の流れとしては、まずlk1でIPリソースを作成し、そのIPリソースをlk2へ拡張して両ノードで切り替え可能な状態にする。

   具体的な作成方法を以下に示す。

   lk1上でGUIクライアントを起動する。GUIクライアントの上段のメニューバーの「Edit」から「Resource → Create Resource Hierarchy…」を選択する。コミュニケーションパスを作成した時と同様にウィザードウィンドウが起動してくるので、以下の項目について順に設定する。

Select Recovery Kit
IPリソースを作成するので、「IP」を選択し「Next」を押す。
Switchback Type
スイッチバックタイプの選択をする。今回は、デフォルトの「Intelligent」を選択し「Next」を押す。「Intelligent」はフェイルオーバー後、元のサーバが復旧した場合に自動でサービスを戻さずにサービスは稼動し続ける。そして現在サービスが稼動しているサーバが障害となったときにフェイルオーバーが可能なサーバから優先度の高いサーバを選択してフェイルオーバーを実行する。通常はこの設定を使用する。

「Automatic」の場合は、フェイルオーバーまたはスイッチオーバー後、元のサーバが復旧したときにサービスを自動で元のサーバに戻す設定である。
Server
稼動系サーバ「lk1」を選択し「Next」を押す。
IP Resource
設定したい仮想IPアドレスまたはポスト名を入力し「Next」を押す。
Netmask
ネットマスクを選択するか、値を入力し「Next」を押す。
Network Interface
ネットワークインターフェースを選択するか、値を入力し「Next」を押す。
Backup Interface
バックアップインターフェースを選択する。今回は設定しないので「none」のまま「Next」を押す。ちなみにバックアップインターフェースを設定した場合、フェイルオーバーをする前に、指定したバックアップインターフェースがリンクアップする。
IP Resource Tag
IPリソースタグ名を選択するか、入力し「Create」を押す。これは識別子として使用される。

表3:IPリソースの設定

   ここまでの操作で、まず稼動系サーバ1でIPリソースが作成される。続けて指示に従い「Continue」を押すと待機系サーバ2側へのIPリソースの定義の拡張に進む。

IPリソースが作成
図7:IPリソースが作成

Target Server
待機系サーバ「lk2」を選択し「Next」を押す。
Switchback Type
同様にデフォルトの「Intelligent」を選択し「Next」を押す。
Template Priority
稼動系側の優先度を設定。デフォルト値を選択し「Next」を押す。
Target Priority
待機系側の優先度を設定。自動的にTemplate Priorityよりも大きい値になるので、デフォルト値を選択し「Next」を押す。

表4:待機系サーバ2側のIPリソースの定義

   ここで、IPリソースが「lk2」において拡張可能かどうかチェックが実行される。

拡張可能かどうかのチェック
図8:拡張可能かどうかのチェック

   チェックに問題なかった場合、実際のlk2側へIPリソースの拡張に進む。この後、「lk1」で指定した内容と同じ質問が繰り返されるが、質問に対するデフォルト値は「lk1」で設定したものと同じものを選択する。また「Accept Default」を押すことで自動的にデフォルト値を選択させることもできる。

   以下のメッセージがあらわれたら、IPリソースの拡張が終了している。

IPリソースの拡張が終了
図9:IPリソースの拡張が終了

   最後に「Finish」を押して、次の画面で「Done」を押して終了する。そして、GUIクライアントの左側の「Resource Hierarchy Tree」にIPリソースが追加される(図10)。

IPリソースの追加
図10:IPリソースの追加
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   以上により、IPリソースを作成することができる。

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サイオステクノロジー株式会社 クラスタソリューショングループ
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社 クラスタソリューショングループ
サイオステクノロジーにおいて、SteelEye LifeKeeperの技術サポートや構築支援を行うエンジニア集団。日本国内で、彼ら以上にLifeKeeperを知る者たちはいないと自負している。世の中のすべてのHAクラスタがLifeKeeperになることを夢見て日々奮闘を続けている。


サイオステクノロジー株式会社 小野寺 章
監修者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  小野寺 章
インフラストラクチャービジネスユニット
エンタープライズソリューション部 部長
国産汎用機メーカに入社し、汎用機のSEを10数年担当、1994年頃からオープン・ダウンサイジングブームの到来とともにUNIX系OSを担当し、Solaris、HP/UXでSun Cluster、Veritas Cluster、MC/ServiceGuardなどを使用した、多数のミッションクリティカルシステムのHAシステム構築に従事。2001年ノーザンライツコンピュータ(現サイオステクノロジー)へ入社後、SteelEye LifeKeeperの総責任者としての国内での販売・サポート業務に従事。


INDEX
第3回:LifeKeeper for Linuxの操作
  LifeKeeper GUIクライアントの起動
IPリソースの作成
  ファイルシステムリソースの作成
  依存関係の作成
LifeKeeperのすべて
第1回 HAクラスタの基本とLifeKeeper
第2回 LifeKeeper for Linuxのインストール
第3回 LifeKeeper for Linuxの操作
第4回 LifeKeeper for Windowsのインストール
第5回 LifeKeeper for Windowsの操作(前編)
第6回 LifeKeeper for Windowsの操作(後編)
第7回 共有ファイルシステム「LKDR」と「DRBD ARK」
第8回 MySQL/OracleとLifeKeeperによるHAクラスタ化
第9回 LifeKeeperのコマンドライン操作
第10回 Microsoft SQL ServerとLifeKeeperによるHAクラスタ化
第11回 LifeKeeper Data Replication For WindowsとDisk-to-Disk Backup
第12回 様々なアプリケーションのHAクラスタ化を実現するGeneric ARK
第13回 ハードウェア冗長化
第14回 LifeKeeperの管理 - ログの確認方法とSNMPの設定
第15回 LifeKeeperの今後のロードマップと展望
徹底比較!!クラスタソフトウェア
第1回 クラスタソフトウェアの導入にあたって
第2回 日本が生んだ、ビジネスを守る信頼のブランド「CLUSTERPRO」
第3回 GUI操作だけでHAクラスタが構成できる「LifeKeeper」
第4回 企業情報システムとともに進化するClusterPerfectシリーズ
第5回 富士通の高信頼基盤ソフトウェア「PRIMECLUSTER」
第6回 Serviceguard for Linuxで実現するHAクラスタ
第7回 Red Hat Cluster Suiteの紹介
第8回 Windows Serverにおけるクラスタソフトウェアの進化
第9回 オープンソースソフトウェアの「Heartbeat」によるHAクラスタ
第10回 クラスタソフトウェア導入に際しての注意点
HAクラスタソフトウェアの市場動向
市場からみるHAクラスタソフトウェアの採用動向

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