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第3回:LifeKeeper for Linuxの操作
著者:サイオステクノロジー クラスタソリューショングループ
監修者:サイオステクノロジー  小野寺 章   2005/12/8
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IPリソースの作成

   次に、クラスタノード間で切り替え可能なIPアドレスを作成する。これは、LifeKeeperのCoreパッケージ内に含まれている「IP Recovery Kit」によってIPリソースを作ることにより実現できる。

   IPリソースを作成することにより、障害となった稼動系サーバから待機系サーバにIPアドレスを移行させるためのメカニズムを提供する。IPリソースを作成するにあたり、以下のような構成を想定する。

クラスタノード パブリックIPアドレス 仮想IPアドレス(VIP)
lk1(稼動系サーバ1) 192.168.0.101 192.168.0.100
lk2(待機系サーバ2) 192.168.0.102

表2:IPリソースを作成の際の構成

   ここでの「仮想IPアドレス」は外部から要求を受けるアドレスである。例えば、Webサーバをクラスタ化する場合は両ノードでLISTENさせるIPアドレスをこの仮想IPアドレスに指定する。

   IPリソース作成の流れとしては、まずlk1でIPリソースを作成し、そのIPリソースをlk2へ拡張して両ノードで切り替え可能な状態にする。

   具体的な作成方法を以下に示す。

   lk1上でGUIクライアントを起動する。GUIクライアントの上段のメニューバーの「Edit」から「Resource → Create Resource Hierarchy…」を選択する。コミュニケーションパスを作成した時と同様にウィザードウィンドウが起動してくるので、以下の項目について順に設定する。

Select Recovery Kit
IPリソースを作成するので、「IP」を選択し「Next」を押す。
Switchback Type
スイッチバックタイプの選択をする。今回は、デフォルトの「Intelligent」を選択し「Next」を押す。「Intelligent」はフェイルオーバー後、元のサーバが復旧した場合に自動でサービスを戻さずにサービスは稼動し続ける。そして現在サービスが稼動しているサーバが障害となったときにフェイルオーバーが可能なサーバから優先度の高いサーバを選択してフェイルオーバーを実行する。通常はこの設定を使用する。

「Automatic」の場合は、フェイルオーバーまたはスイッチオーバー後、元のサーバが復旧したときにサービスを自動で元のサーバに戻す設定である。
Server
稼動系サーバ「lk1」を選択し「Next」を押す。
IP Resource
設定したい仮想IPアドレスまたはポスト名を入力し「Next」を押す。
Netmask
ネットマスクを選択するか、値を入力し「Next」を押す。
Network Interface
ネットワークインターフェースを選択するか、値を入力し「Next」を押す。
Backup Interface
バックアップインターフェースを選択する。今回は設定しないので「none」のまま「Next」を押す。ちなみにバックアップインターフェースを設定した場合、フェイルオーバーをする前に、指定したバックアップインターフェースがリンクアップする。
IP Resource Tag
IPリソースタグ名を選択するか、入力し「Create」を押す。これは識別子として使用される。

表3:IPリソースの設定

   ここまでの操作で、まず稼動系サーバ1でIPリソースが作成される。続けて指示に従い「Continue」を押すと待機系サーバ2側へのIPリソースの定義の拡張に進む。

IPリソースが作成
図7:IPリソースが作成

Target Server
待機系サーバ「lk2」を選択し「Next」を押す。
Switchback Type
同様にデフォルトの「Intelligent」を選択し「Next」を押す。
Template Priority
稼動系側の優先度を設定。デフォルト値を選択し「Next」を押す。
Target Priority
待機系側の優先度を設定。自動的にTemplate Priorityよりも大きい値になるので、デフォルト値を選択し「Next」を押す。

表4:待機系サーバ2側のIPリソースの定義

   ここで、IPリソースが「lk2」において拡張可能かどうかチェックが実行される。

拡張可能かどうかのチェック
図8:拡張可能かどうかのチェック

   チェックに問題なかった場合、実際のlk2側へIPリソースの拡張に進む。この後、「lk1」で指定した内容と同じ質問が繰り返されるが、質問に対するデフォルト値は「lk1」で設定したものと同じものを選択する。また「Accept Default」を押すことで自動的にデフォルト値を選択させることもできる。

   以下のメッセージがあらわれたら、IPリソースの拡張が終了している。

IPリソースの拡張が終了
図9:IPリソースの拡張が終了

   最後に「Finish」を押して、次の画面で「Done」を押して終了する。そして、GUIクライアントの左側の「Resource Hierarchy Tree」にIPリソースが追加される(図10)。

IPリソースの追加
図10:IPリソースの追加
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   以上により、IPリソースを作成することができる。

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サイオステクノロジー株式会社 クラスタソリューショングループ
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社 クラスタソリューショングループ
サイオステクノロジーにおいて、SteelEye LifeKeeperの技術サポートや構築支援を行うエンジニア集団。日本国内で、彼ら以上にLifeKeeperを知る者たちはいないと自負している。世の中のすべてのHAクラスタがLifeKeeperになることを夢見て日々奮闘を続けている。


サイオステクノロジー株式会社 小野寺 章
監修者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  小野寺 章
インフラストラクチャービジネスユニット
エンタープライズソリューション部 部長
国産汎用機メーカに入社し、汎用機のSEを10数年担当、1994年頃からオープン・ダウンサイジングブームの到来とともにUNIX系OSを担当し、Solaris、HP/UXでSun Cluster、Veritas Cluster、MC/ServiceGuardなどを使用した、多数のミッションクリティカルシステムのHAシステム構築に従事。2001年ノーザンライツコンピュータ(現サイオステクノロジー)へ入社後、SteelEye LifeKeeperの総責任者としての国内での販売・サポート業務に従事。


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第3回:LifeKeeper for Linuxの操作
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