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Ajaxが開く未来 |
第4回:Webアプリケーションの進化とシステムの利用形態の変化
著者:HOWS 清野 克行 2006/5/19
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ベンダーロックインの回避
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他にも差別化要因をあげるとすれば、まずオープンなソリューションがあげられる。AjaxはXMLHttpRequestでの非同期通信の部分を除けば、ほぼすべてがW3Cの勧告、つまり仕様にそったソフトウェアを要素技術として使用している。
このようにAjaxはベンダーロックインが(ほとんど)ない要素技術を使用しているが、Flashはベンダーロックインがある。
つまりベンダーソリューション、しかもシングルベンダーソリューションだ。この他XHTMLタグとの親和性でもAjaxはFlashに比べて優位に立つ。Ajaxではタグのある場所、つまり、ブラウザ画面すべてが非同期通信のトリガーとなるイベント検知の範囲であり、動的画面表示の範囲でもある。
これに対してFlashの場合はHTMLタグ領域とは異なるあらかじめ定められた領域内でのイベント処理や表示となり、HTMLとの親和性は低い。
このように書くとあまりにAjax寄りにも見えるが、FlashにもAjaxにはない長所がある。モーションのある動画・アニメ系の作成では明らかにFlashに軍配があがる。Ajax命名者Jesse James Garrettは彼のエッセイでこの問題に答えている。
つまり、AjaxはFlashを排斥するかの質問に対して全面的に否定しているのだ。これも当然のことで、当時Flashのマクロメディア社はGarrettがディレクタを務めるアダプティブパス社のクライアントということだ。
質問に対する彼の返事は、要はアプリケーションの内容によって使いわければよいとのことだか、多分その使いわけは上記で説明したようなことが目安になるだろう。
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Ajaxが見せる方向
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Ajaxの適用はまだその端緒についたばかりであり、これまで紹介してきた応用事例以外にもどのような魅力的なアプリケーションが登場してくるか未知な部分も多いが楽しみでもある。
Web 2.0はサーバサイドの技術を含めたトータルな内容のものだが、それがどのような内容のものであれ、ユーザの目に届くためにはフロントエンドのビュー層つまりAjaxが位置付けられるUIを経由することになる。
Web空間に蓄積される情報はこれからも更に膨大になり重要度も増していくだろうが、この情報洪水の中から個々のユーザが必要とする部分を切り出し提供する役目は主にAjaxの適用によるUIが担っているのだろうと思う。
ユーザが思いもかけない発想のアプリケーションは往々にしてアメリカからのものが多いが、日本にもそのような狙いを持っている会社もあるはずだ。これからどのようなAjaxアプリケーションが登場するか、アメリカだけでなく日本国内の動きにも注目して行きたいところだ。
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著者プロフィール
株式会社HOWS 清野 克行
慶應義塾大学工学部電気科卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日本ヒューレットパッカード株式会社などで、製造装置業を中心とした業務系・基幹業務系システムのSE/MKTG、3層C/Sシステムでの社内業務システム開発の業務に携わる。現在Ajax/Web 2.0関係のセミナー講師、書籍執筆などを行っている。情報処理学会会員。
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