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ITインフラの新しい展望
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第5回:xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
著者:日本アイ・ビー・エム  佐々木 言   2005/12/5
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仮想化統合におけるVMware ESX Serverへの取り組み

   VMware ESX Serverはサーバー上にインストールするホストOSです。一般的なOS(Windows Server 2003やLinuxなど)は、ホストOSであるVMware ESX Server上で動作します。

   VMware ESX Serverは表4の特徴を持っています。1台のサーバー上で複数のOS(以下:Guest OS)を稼動させることができる機能がパーティショニングですが、それぞれのGuest OSは独立性が維持されており、仮に1つのGuest OSでブルースクリーンやカーネルパニックが発生したとしても他のGuest OSに影響がないように作られています。

  1. パーティショニング
  2. 独立性
  3. リソースコントロール
  4. カプセル化

表4:VMware ESX Serverの特徴

   複数の各Guest OSはサーバー上のハードウェアリソース(CPU/メモリー/ネットワーク/ストレージ)を共有することが可能ですが、リソースの使用率を各Guest OSごとに使用割合に応じて動的にコントロールすることが可能です。

   各Guest OSの実体は拡張子がvmdk(VMFS使用時)という1つのファイルになります。仮に1つのvmdkファイルにシステム領域とデータ両方が格納されているならば、このvmdkファイルのコピーを使って別サーバーのVMware ESX Server上で同じGuest OSを稼動させることができます(IPアドレス、ホスト名の重複には注意してください)。

   VMware ESX Serverのこれらの機能によって、複数OS、複数アプリケーションの混在、未使用ハードウェア・リソースの有効活用、テスト環境の効率的活用、新規ハードウェアへの移行の容易性といった利点が生まれてきます。

   また結果としてサーバー台数が削減されることによって、ハードウェアコスト、サポートコスト、ランニングコストが縮小され、管理負荷の増大を避けることができます。また、サーバーリソース利用率の向上による隠れたコストの改善が実現できます。

   xSeriesおよびBladeCenterの2CPU搭載モデル以上のすべてのサーバー(32bit)は、最新のVMware ESX Server 2.5.2をサポートしています(Itanium2プロセッサーモデルを除く)。次にNUMA対応、IBM Director対応、Autonomic Computing対応の3つの特徴について説明していきます。


NUMA対応

   xSeries 460はNUMA(Non-Uniform Memory Access)対応サーバーです。SMPサーバーにおけるCPU数増加によるメモリーコントローラー・ボトルネック解消のため、CPU、メモリー、各コントローラーをモジュール化したノードを1つの単位として拡張していく構成がNUMAです。

   各ノードは専用ケーブルにて接続されます。しかし、ボトルネック解消を目的としたNUMAであっても、自ノード内へのメモリーアクセス速度と他ノードのメモリーアクセス速度が異なる弱点を持ちます。

   理想は各OS上の各処理が1つのノード内で完結することです。これを実現するためには、OSによるNUMA対応によって各処理がコントロールされる必要があります。VMware ESX ServerはNUMA対応OSであり、各Guest OSのNUMA構成での動きについて説明していきます。

NUMA環境におけるホームノードの配置
図2:NUMA環境におけるホームノードの配置
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   NUMA環境で動作するGuest OSは、それぞれ自分のホーム・ノードを持ち、極力ホーム・ノード上で処理が実行され、最適なパフォーマンスが期待される仕組みになっています。図2のように4つのGuest OSが稼動する場合、各ノードに2つのGuest OSが自動的に配置されます。Guest OSの2つが停止している場合にはGuest OS(VM3)のホーム・ノードは、自動的にノード2に変更され、ハードウェアリソースの効率的な消費がコントロールされます。

   VMware ESX Serverの導入によって、サーバーリソース利用率の向上が期待できるわけですが、xSeries 460のNUMA対応サーバーのケースではノード単位での最適化が実現できます。

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日本アイ・ビー・エム株式会社 佐々木 言
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  佐々木 言
日本アイ・ビー・エム株式会社アドバンスド・テクニカル・サポート ACP ITスペシャリスト
1997年入社。PC Solution MallにてIAサーバーを中心としたデータベース、クラスタリングシステムの技術サポートを担当。2000年よりIAサーバーのスペシャリストとしてxSeriesハイエンド機のテクニカルサポートを担当。現在はアドバンスト・テクニカル・サポートにて、xSeriesおよびBladeCenterの技術サポート全般を担当。


INDEX
第5回:xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
  はじめに
仮想化統合におけるVMware ESX Serverへの取り組み
  IBM DirectorアドオンソフトウェアのVirtual Machine Manager
  BladeCenterのオープン性