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ITインフラの新しい展望
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第5回:xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
著者:日本アイ・ビー・エム  佐々木 言   2005/12/5
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はじめに

   IBM Systems Agendaはこれまででも触れていますが、今後のITインフラに対するIBMの取り組みの方向性を示すものです。IBM Systems Agendaの柱は、繰り返しになりますが、「仮想化機能の強化(Virtualize Everything)」「オープンへの取り組み(Commit to Openness)」「協業・連携(Collaborate to Innovate)」の3つです。

   仮想化機能としてはNetwork Virtualization、VMware ESX Server、IBM Director、Tivoli Provisioning Manager(TPM)/Tivoli Intelligent Orchestrator(TIO)の4つについて、オープンへの取り組みとしてはBladeCenterについて、協業・連携としては2005年6月に発表されたBlade.orgについて、今回はこれらの取り組みを説明します。


仮想化環境が求められる背景

   昨今のIAサーバーを取り巻く環境は技術革新によって価格低下し、部門単位/プロジェクト単位で容易にIAサーバーを購入できる環境にあるといえます。しかしその結果サーバー台数が増加し、様々な課題(表1)が明確になってきています。

  • 管理やサポートに要する時間の増大
  • 運用管理コストの増大
  • フロアスペースの消費
  • ランニングコスト増大(サーバー保守/冷却/電力)
  • リソース有効活用ができていない(異なるアプリケーションの稼動、同じアプリケーションが複数)
  • CPU使用率が10%〜35%
  • セキュリティパッチの適用が困難(データロストの危険性増大)
  • ウィルス定義ファイルの更新が困難(サービスレベルの低下)
  • バックアップ方法が複数(データロストの危険性)
  • 運用管理方法が複数(運用管理作業時間の増大)
  • OS/メーカーごとの運用管理ツールのスキル習得が必要

表1:サーバー数増加による主な課題

   このような課題が浮き彫りになりましたが、お客様のビジネスにサーバーは必須アイテムとして求められます。今までの方法でサーバーを増やすのではなく、サーバー統合をすることが1つの解決策になるのではないかと考えられます。そのサーバー統合には下記の4つのパターンがあります。

1. サーバーの集中化
これは拠点に点在するサーバーを1箇所に集中させる方法です。この方法では、高速なネットワーク・インフラがキーとなります。
2. 物理統合/仮想化統合
これはBladeCenterによる物理統合、VMware ESX Serverによる仮想化統合が代表的な方法です。
3. データ統合
これはSANストレージ装置によるストレージの統合化という意味もありますが、データベース・スキーマの見直し/再構成も含まれます。
4. アプリケーション統合
これはTier 2のアプリケーション群の見直し/再開発が考えられます。

表2:サーバー統合のパターン

   表2の3のデータ統合と4のアプリケーション統合は、再設計/再開発が求められるアクションであり、コストがかかるために長期のプロジェクトになる可能性が高いと考えられます。

   表2の1のサーバーの集中化と2の物理統合/仮想化統合は、インフラのソリューションとして位置づけられ、3のデータ統合と4のアプリケーション統合より短期間で実現が可能であると考えられます。短期間に統合をすすめ、そのメリットを享受することが昨今のIAサーバーの諸問題に対する解決への早道であるといえます。

   では、次項より1のサーバの集中化と2の仮想化統合について、具体的な製品とともに説明していきます。


サーバーの集中化におけるNetwork Virtualizationへの取り組み

   拠点に点在するサーバーを1箇所に集中させるには、高速なネットワーク・インフラが必要となります。サーバーの集中化による統合を行っても、ネットワークが従来のままではネットワークの複雑性とそれに伴う障害・セキュリティリスク、運用・管理負荷は存続します。

   Cisco Catalyst 6500ではネットワーク機器を内蔵モジュールとして統合し、ネットワークの仮想化を実現しています。内臓モジュールには下記の機能が実装されています。

  • VLAN構成(Supervisor Engine 720)
  • 10/100/1000Mbpsのイーサネットインターフェース(interface Module)
  • 仮想ファイアーウォール(FWSM Firewall Service Module)
  • SSL機能(SSL Service Module)
  • 負荷分散機能(Contents Switching Module)
  • 侵入検知機能(IDS Service Module)
  • VPN機能(VPN Service Module)
  • 管理機能(Network Analysis Module)

表3:Cisco Catalyst 6500の内臓モジュール

   例えばTPM/TIOと連携して新しいサーバーを追加する場合、OSの配布・VLANへの追加・ファイアーウォールへのアクセス制御変更・サービス起動・負荷分散グループへの追加までもが自動的に使用可能状態になります。

   サーバーとしてBladeCenterを選択してBladeCenter Cisco GbEスイッチモジュールを使用するならば、Cisco同士の親和性の観点から、Cisco Catalyst 6500の仮想ネットワークにBladeCenterも含めることが可能となります。

   つまりサーバーとネットワークの分野で仮想化を両立させて、全体最適化を実現することとなります。また、IBM Virtualization EngineのコンポーネントであるEWLM(enterprise Work Load manager)との連携によって、サーバー負荷の最適化運用を実現できます。

   図1はEWLMとCisco Catalyst 6500の負荷分散機能「Content Switch Module(CSM)」との連携を示してします。EWLMによってモニターされるWebサーバーやアプリケーションサーバーの使用状況データはCSMに送られ、負荷の小さいルートにより多くのトランザクションを自動的に割り振ることを実現できます。EWLMによって従来の負荷分散では実現できない、Tire 1、2、3全階層それぞれのパフォーマンス状況に応じた対応が可能です。

EWLMと負荷分散機能の連携
図1:EWLMと負荷分散機能の連携
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   BladeCenterと併用することでサーバー統合とネットワーク統合を実現するだけでなく、仮想化ネットワークによるサーバー変更に伴う配線作業の自動化、仮想化ファイアーウォールによる変化する市場のセキュリティ環境への適応、一貫したネットワーク機能管理、変更作業などの自動化といった全体最適化を実現すると共に、EWLMとの連携によるトランザクション量に応じたリソース有効活用の全体最適を実現することもできます。

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「IBM」「xSeries」「BladeCenter」「Tivoli」「Virtualization Engine」はIBM Corporationの商標です。

「Cisco」はCiso Systems Inc.の商標です。

「インテル Xeon プロセッサ MP」は米国インテル社の登録商標です。

「Windows NT」「Windows Server 2003」は米国マイクロソフトコーポレーションの米国およびその他の国における商標登録商標です。

Linuxは、Linus Torvaldsの登録商標です。

その他の社名、製品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
日本アイ・ビー・エム株式会社 佐々木 言
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  佐々木 言
日本アイ・ビー・エム株式会社アドバンスド・テクニカル・サポート ACP ITスペシャリスト
1997年入社。PC Solution MallにてIAサーバーを中心としたデータベース、クラスタリングシステムの技術サポートを担当。2000年よりIAサーバーのスペシャリストとしてxSeriesハイエンド機のテクニカルサポートを担当。現在はアドバンスト・テクニカル・サポートにて、xSeriesおよびBladeCenterの技術サポート全般を担当。


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INDEX
第5回:xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
はじめに
  仮想化統合におけるVMware ESX Serverへの取り組み
  IBM DirectorアドオンソフトウェアのVirtual Machine Manager
  BladeCenterのオープン性
ITインフラの新しい展望
第1回 IBMのITシステムのパラダイムシフト
第2回 IBM System z9 - IBMオープン・メインフレームの新しい潮流
第3回 iSeriesのシステム・アーキテクチャーに見る仮想化技術
第4回 IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
第5回 xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
第6回 IT基盤の展望 IBM のオープン化と先進技術への取り組み