2005年11月、IBMはIBM Virtualization Engine V2を発表しました。2004年発表のV1に比べると、「システム全体での異機種間ワークロードやリソースの最適化」と「自動化の強化」により明確にフォーカスし、機能が大幅に強化されました。Virtualization Engineは、以下のコンポーネントから構成されます。
- EWLM(Enterprise Workload Manager)
- 異機種間でのワークロード管理
- IBM Director
- リソース管理の一元化
- Resource Dependency Services
- 資源の依存関係の管理
- Virtualization Engine Console
- 情報収集・問題への対応・原因の追及を行うコンソールの一元化
表4:Virtualization Engineのコンポーネント構成
図1:Virtualization Engine V2の機能 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
システム管理者は、Virtualization Engine Consoleにログオンするだけで、複雑なITシステム全体の情報を収集し、適切な処置を取ることができます。EWLMのARMを活用した応答時間計測機能や資源利用率の監視機能による資源利用状況の監視に加えて、Cisco CSMとの連携によるポリシーベースのインテリジェントなWebワークロードの自動負荷分散やLPARでのCPUの自動割り当て変更(System p5)も可能となりました。
また、V2で新たに追加されたResource Dependency Servicesによって、ネットワーク上のハードウェア・ミドルウェアを自動的に検出し、その属性・状態や相互の依存関係を一元管理することができます。表示は視覚的に行うことができ、様々なビューやフィルタリング機能によって、大規模で複雑なITシステム全体を効果的に監視することができます。また、管理対象プラットフォームをLinux/Solaris/HP-UXに拡大し、V1からサポートされていたWindowsおよびIBMのOSと合わせて、より広範な環境で利用可能になりました。
図2:Resource Dependency Servicesによって収集されたトポロジーの表示例 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
Virtualization Engine V2は、Systems Agendaの「仮想化」へのIBMのコミットメントを示す基盤ソフトウェアです。今後もVirtualization Engineはシステム全体での異機種間ワークロードやリソースの最適化、自動化の強化に向けて進化を続けます。
今までに触れた、WSDMやグリッド、Xenなどの仮想マシン・モニターやIBMのサーバー製品のパーティショニング機能、ネットワークの負荷分散や仮想ネットワーク技術などと連携し、真のオンデマンド・インフラストラクチャーを実現する基盤ソフトウェアとして発展していきます。
インフラストラクチャー分野の技術は、登場したときは画期的な新技術として注目されても、やがて当たり前のものとなって人々の関心が薄れていくものです。むしろ、人々の関心が薄れた時が、そのインフラストラクチャー技術が真に普及した時といえるのかもしれません。
IBMは多くのお客様での経験をもとに、様々な新技術の研究・開発に取り組んで業界をリードしてきており、現在も数多くのお客様やパートナーと協力・連携しながら先進技術に取り組んでいます。
本連載で紹介したのはその一端に過ぎませんが、ここで紹介した技術が、当たり前の技術として利用できるのは決して遠い将来のことではありません。IBMのSystems Agendaはこれを強力に推進するものです。IBM Systems Agendaのビジョンの実現により、多くのお客様のビジネスの成功と価値創造の強化に貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご注目いただければ幸いです
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