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ITインフラの新しい展望
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第6回:IT基盤の展望IBMのオープン化と先進技術への取り組み
著者:日本アイ・ビー・エム  木元 一広   2005/12/19
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はじめに

   本連載では、今後のITシステム基盤に対するIBMの取り組みであるIBM Systems Agendaを取り上げ(第1回)、次いでIBMのサーバー製品それぞれの現在と今後の方向性を取り上げてきました(第2回〜第5回)。

   今回は連載最後の締めくくりとして、IT基盤におけるオープン化・仮想化を中心とした先進技術に対するIBMの取り組みと今後の展望について紹介します。


オープン化の重要性とIBMの取り組み

   Linuxの普及は、情報技術のオープン化というパラダイム・シフトを象徴するものです。1990年代はじめに生まれたLinuxは、90年代半ばにはじまったインターネットの普及によって大きく成長し、今日では多くの分野で利用されています。更にいえば、Linuxの躍進に大きく貢献したインターネット自身もやはり「オープン」であることがその進化と普及に不可欠の要素であったといえるでしょう。

   IBMはIBM Systems Agendaを特徴づける三本柱の1つに「Openness(オープンへの取り組み)」をあげていますが、オープン化の特徴を改めて整理してみます。


プロセスの特徴

   オープンな標準は公開の場での議論・決定に際し、ITベンダーをはじめ、企業ユーザーなどの利用者、産官学の研究者などの広範な意見が反映されます。このプロセスは、公的あるいは中立的な標準化団体で明示的に行われる、複数の企業などが中心になってコンソーシアムを結成する、市場での選択・淘汰により収斂するなど実際の過程は様々で、時には複数の過程が並行することもありますが、多くの場合で共通して得られる利点には以下のようなものがあります。

  • 新規技術の導入・実現可能性の検証によって様々な観点からの洗練が早期に行われる
  • 単独のベンダーでは気付かないニーズが発見される、あるいは実現できない解決策が実現される
  • 複数の技術要素から最良の組み合わせ(ベスト・オブ・ブリード)を採用することができる
  • 複数の実装技術・製品(無償のものも含む)が投入されることにより、標準に基づく市場が形成され、競争によってより品質・価格・機能などの面で付加価値の高いものになる

表1:オープン化に対するプロセスのメリット


ユーザーの利点

   企業などのユーザーから見た場合、オープンな技術・オープンな標準に基づく製品の利用によって以下のようなメリットを得ることができます。

  • 製品間の互換性・置換の容易性、相互運用性に基づき、機能・品質・コストなどの条件にそった製品を選択できる
  • 展開する規模の段階的な拡大や利用方法を徐々に高度化するなどニーズに従った段階的な利用を行いやすい
  • 多大な投資を行って整備したソフトウェアやデータといった資産を保護することができる
  • オープンな標準が広く普及すれば将来の新技術もその標準を前提に現れる可能性が高いので、将来に対する備えとなる

表2:オープン化に対するユーザーのメリット

   今や情報技術は企業のビジネスの遂行や個人の生活にとって不可欠なものとなっており、今後も重要性を増していきます。情報技術の普及・進展はビジネスの変化の速度を加速させ、ビジネスを支えるIT基盤には一層の柔軟性・即応性が求められています。こういった背景を基に、表2にあげたオープンな標準のもたらす利点はますます重要性を増しています。

   IBMはこれまでもオープン化に関わり、多くの標準の立案・普及や実装に携わってきましたが、IBM Systems Agendaにおいて改めてOpenness(オープンへの取り組み)をコミットしたことは今後の情報技術の方向性を示唆するものです。

   IBMはオープン化に関し、大きくみて以下のような取り組みを行っています。

標準の策定と普及
業界団体・標準化団体への参画を通じた標準化策定活動および製品・ソリューションでの標準準拠
実装
LinuxやApacheに代表されるオープン・ソースやリファレンス実装への技術的・人的・資金的な支援・公開
知的資産
特許ポートフォリオの公開など、業界全体での知的資産の共有と利用を通じたITの進歩への貢献

表3:オープン化への取り組み

   オープン化の取り組みの実例は後の仮想化への取り組みでも触れますが、ここではこれ以外の最近の代表的な取り組みをいくつか紹介します。

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「DB2」「IBM」「IBM eServer」「Rational」「Tivoli」「WebSphere」は、米国または米国内外におけるIBM Corporationの登録商標です。

「iSeries」「System p5」「System z9」「Virtualization Engine」は、米国または米国内外におけるIBM Corporationの商標です。

「Linux」は、Linux Torvaldsの登録商標です。

「Cisco」はCisco Systemsの登録商標です。

その他の社名・製品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
日本アイ・ビー・エム株式会社 木元 一広
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  木元 一広
日本アイ・ビー・エム株式会社 ICP-シニアITアーキテクト
1984年日本アイ・ビー・エム入社後、お客様担当として汎用機及びUNIX系の基盤から適用業務システムの設計・実装まで幅広く活動。2002年より、グリッド・コンピューティングに取組み、アーキテクトとして製造業・ライフサイエンス・金融等の分野でのお客様の実証実験及び実業務への展開をリードし、グリッドおよび仮想化の実用性の検証・普及に従事している。


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INDEX
第6回:IT基盤の展望IBMのオープン化と先進技術への取り組み
はじめに
  特許の公開
  仮想化を中心としたIBMの先進技術への取り組み
  仮想化の新たな一歩 - IBM Virtualization Engine V2
ITインフラの新しい展望
第1回 IBMのITシステムのパラダイムシフト
第2回 IBM System z9 - IBMオープン・メインフレームの新しい潮流
第3回 iSeriesのシステム・アーキテクチャーに見る仮想化技術
第4回 IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
第5回 xSeries、BladeCenterの仮想化技術とオープン化への取り組み
第6回 IT基盤の展望 IBM のオープン化と先進技術への取り組み