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ソーシャル・ネットワーキング・サービスのビジネス利用 |
第1回:ソーシャル・コミュニティ・マーケティングとは?
著者:イースリー 戸辺 淳一郎 2006/3/6
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数よりも質を考える
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ここでの考え方で重要なことがあります。会員数というものがそのままファンクラブの人数になるため、当然多いほうがいいと考えてしまいますが、それは危険な考え方です。
もちろん多いに越したことはないのですが、単に量を集めるだけでは、マス・マーケティングと変わりません(変わらないだけでなく、量を集めるということだけで考えると、おそらくマス・マーケティングにはかなわないでしょう)。図4のマスとの比較でも掲載したように、"ファンクラブの質"を最優先に考えなければならないのです。
ここで、企業のファンクラブにおける"良質"という言葉を簡単に定義します。
- その企業の製品または企業そのものが好き
- その企業の製品または企業そのものをもっとよくしたい、またはして欲しいと考えている
- その企業の製品または企業のよさを他の人へ紹介してくれる
表8:企業のファンクラブにおける"良質"の定義
このように定義すると、質の良い顧客は図4のようなシナジー効果を生み出します。
図4:良質のシナジー効果
そして、図4のシナジー効果は表9のような効果をもたらします。
- 質のよい顧客は質のよい顧客を連れてきます
- 質のよい顧客の集団は、質の良いコミュニティサイトを形成します
- 質のよいコミュニティサイトは自浄作用が働き、運営コストを抑えることができます
- 質のよい顧客は自社商品を他の顧客へ紹介してくれます
表9:良質のシナジー効果から得られる効果
こう考えると、ソーシャル・コミュニティ・マーケティングを成功させるエッセンスは「良質のファンクラブを形成する」ということに帰着するといってもあながち的外れとはいえません。
- 過去にECサイトで購買した顧客全員へメール配信
- 過去にECサイトで購買した顧客全員へDM
- ECサイトで購買した顧客の中でRFM分析のランクが高い方へメール配信
- ECサイトで購買した顧客の中でRFM分析のランクが高い方へDM
- アンテナショップに来店してくれた顧客の中から特に親しい人にだけ直接お知らせ
- Web(ECサイト上)で不特定多数に告知
表7:企業が顧客を集める方法(再掲)
つまり、ここでは「早くユーザをたくさん集めたい」という気持ちはぐっとこらえて、表7の手段の中では3・4・5あたりを採用すべきです。長い目で見ることができれば、初期段階での会員数というのはあまり関係ないのです。今でこそ250万人を超える会員数を誇るmixiも最初は立ち上げたメンバーの友人のみからはじまったといわれています。
また、企業側が顧客を集める方法というのは初回だけにし、今後は顧客が顧客を呼ぶようにしていくことも重要になってきます。これが、よくいわれている「唱和する顧客の育成」です。SNSは、顧客が顧客を呼ぶようにするための機能が優れているので、それをうまく活用していきます。
次回は、このSNSを利用してファンクラブを育成し、そこからどのようにしてマーケティングを行っていくのかを、今回のモデルケースを再び取り上げながら、ステップごとに解説していきたいと思います。
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今回のまとめ
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今回の内容を簡単にまとめましたので、復習代わりにご確認ください。
- SNSから単独で利益をあげられるのは総合型のSNSのみ
- 総合型のSNSは参入障壁が高く、さらに強力な競合が地位を築いていて後発の参入はほぼ不可能
- SNSをビジネスに生かすには特化型のSNSが現実的
- SNSからの単独利益をあきらめ、SNSによるコミュニティサイトの構築をブランドの構築や間接的な売り上げの拡大のための広告投資と考える
- SNSへの投資の対価としてファンクラブを育成する
- コミュニティサイト立ち上げ初期の会員(顧客)は質を最重要視する
表10:今回のまとめ
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製品紹介 「SNSエンジン、comnit(コムニット)」
本連載は株式会社イースリーおよび株式会社ラソナの開発したSNSエンジン、comnitの利用ケースをもとに記事を掲載しています。
comnitで作り上げたコミュニティを生かして、お客様のマーケティング手法に合わせた実践的なケースをご紹介いたします。
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著者プロフィール
株式会社イースリー
代表取締役CTO 戸辺淳一郎
2003年8月にイースリーを設立。Webシステム構築の請負、パッケージ開発を行うかたわら自社サービスの展開を目指している。Webアプリの開発の現場においては、最高の品質を提供できるようにすることを追求している。現在では主にプロジェクトマネジメントに携わっているが、現場の技術から離れないように、毎日趣味でのプログラミングも欠かさない。毎日何かを吸収しないと気がすまない。
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