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教育現場におけるオープンソース実証実験

第2回:つくば市での実証実験
著者:三菱総合研究所  比屋根 一雄   2005/8/11
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HTMLとJavaScript非互換性の問題

   教材コンテンツが表示できない、あるいは表示が乱れる原因の多くはHTMLとJavaScriptの非互換性にあります。

   前述の動画インライン再生では、<OBJECT>タグで動画再生ソフトとしてWindows Media Player を指定しているため、Linuxでは動作しないという問題がありました。これは<embed>タグも併用することで解決することができます。
<OBJECT ALIGN=TOP CLASSID="CLSID:22D6F312-B0F6-11D0-94AB-0080C74C7E95" WIDTH="50px" HEIGHT="50px">
<PARAM NAME="FileName" VALUE="snw0102.mpg">
<PARAM NAME="AutoStart" VALUE="False">
<PARAM NAME="Loop" VALUE="False">
<PARAM NAME="ShowTracker" VALUE="True">
</OBJECT>


<OBJECT ALIGN=TOP CLASSID="CLSID:22D6F312-B0F6-11D0-94AB-0080C74C7E95" WIDTH="50px" HEIGHT="50px">
<PARAM NAME="FileName" VALUE="snw0102.mpg">
<PARAM NAME="AutoStart" VALUE="False">
<PARAM NAME="Loop" VALUE="False">
<PARAM NAME="ShowTracker" VALUE="True">
<embed src="snw0102.mpg" type="video/mpeg" autostart="true" width="242" height"223"> ← 追加
   もっと簡単な例として、音声ファイルの自動再生を見てみましょう。これも<embed>タグを追加すれば解決します。

<BGSOUND SRC="snm0001.wav" LOOP=2>


<BGSOUND SRC="snm0001.wav" LOOP=2>
<EMBED SRC="snm0001.wav" width=0 height=0 autostart="true" REPEAT=2> ← 追加
   表示の乱れの原因の1つに、HTMLの仕様の違いがあります。例えば、行間をきっちり合わせるために、<p>タグで行間を設定したページがありました。しかし、本来は<div>タグを使うべきであり、Mozillaでは<p>タグで行間は設定できません。この場合には、<p>タグを<div>タグで置き換えるだけで修正できます。

   このように実際には些細な違いが多いのですが、ちょっとした非互換性でまったく表示されなかったり、乱れたりすることが分かりました。互換性の高いHTMLの記述方法の知識を啓蒙することが必要だと痛感しました。


起動時間の遅さの問題

   今回使用したLinux PCで子ども達に不評だった点に起動時間の遅さがあります。アカウントを共通にして、自動ログインを設定したこともあり、だいたい起動に3〜4分を要します。子ども達の1回の集中力の限界が3分といいますから、この起動時間の遅さはかなり問題でした。

   ただ、子ども達は柔軟でした。PCラックにLinux PCを取りに行き、その場で電源を入れ、モニタを開けたまま運んでくるという技を開発したのです。教室に戻ってくる間に起動がはじまり、机の上において先生の話を少し聞くと、もう立ち上がっているという寸法です。


外部メディアの操作の問題

   本実証実験では、USBフロッピーディスクドライブとUSBメモリを使用しました。デジカメ写真のコピーや、作成途中のファイルの保存が目的です。しかし、これらの外部メディアの操作は、子ども達にとって思いの外難しいものでした。

   特にドライブやメディアの「マウント」という概念は、小学生には理解しにくいようです。また、マウント先が「/mnt/media/sda1/…」のように、ホームから遠いディレクトリにあるだけで、たどり着けない子どもが続出です。

   マウントボタンを用意したり、マウント先にシンボリックリンクを張るなど、改良を重ねて実験後半はかなりスムーズになりました。これは一例ですが、この他にもメニューを並べ替えたり、英語だった表記をひらがなに直すなど、数多くの細かい改良を行いました。Linuxデスクトップの操作性は最近急速に向上しましたが、初心者にとっては、まだまだ使いづらい面があるのは確かです。

改良されたLinuxデスクトップ
写真3:改良されたLinuxデスクトップ


つくば市の実証実験を終えて

   つくば市の5つの小中学校の約2000名の子ども達にLinux PCを使って頂きました。すでに述べたように課題や苦労も多かったのですが、子ども達が生き生きとLinux PCを使っている姿を見ると、「Linuxもここまで来たか」と感慨深いものがありました。

   ある学校では、授業がはじまるときに「ノートPC取ってきて」と子ども達にいうと、少し古いWindows PCではなく、自然とLinux PCを持ってくるようになったそうです。もっとも「リナックス」という単語は、OSの名前ではなく、最後までメーカの製品名だと思っている節もありました。

   子ども達にとって、WindowsかLinuxかというOSの違いよりも、動作が軽快な新しいLinux PCの方が人気があるというだけのことかもしれません。でも、それは本来あるべき姿です。大切なのはメーカやOSの種類ではなく、IT活用教育の中身なのですから。

   Linux PCが単にIT活用授業に使うコンピュータの1つとして認知されたこと、それ自体が大きな成果ではないでしょうか。

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三菱総合研究所
著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所  比屋根 一雄
情報技術研究部  主席研究員
1988年(株)三菱総合研究所入社。先端情報技術の研究開発および技術動向調査に従事。最近は「OSS技術者の人材評価調査」「日本のOSS開発者調査FLOSS-JP」「学校OSSデスクトップ実証実験」等、OSS政策やOSS技術者育成に関わる事業に携わる。著書に、「これからのIT革命」、「全予測情報革命」、「全予測先端技術」(いずれも共著)などがある。「オープンソースと政府」週刊ITコラム「Take ITEasy」を主宰。


INDEX
第2回:つくば市での実証実験
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HTMLとJavaScript非互換性の問題