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導入教育
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つくば市の実証実験では、各学校で60〜90分の教員向け導入教育を実施しました。学校の教員は皆忙しく、なかなか時間を取って頂けないことが最大の問題でした。
内容はLinux PCの使い方の初級編です。PC自体の操作に不慣れな教員もおり、Linuxというよりはパソコン入門に近い講習です。このためPC操作に慣れている教員にとっては、少し物足りない面もあったようです。ただPC操作に習熟している程、メニューや操作の違いへの戸惑いも大きいという発見もありました。
たとえ1時間でも導入教育は必要です。未知のものであるLinuxに対する不安感は非常に大きなものがありました。最初の不安感さえ除くことはとても大切です。
今回、子ども達への講習は実施しませんでしたが、ブラウザの利用などは特に教えなくとも使いこなしてくれたようです。むしろ教員が操作できるようになることが課題でした。
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利用したソフトウェア
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つくば市はコンピュータを活用した授業が盛んです。市内全学校に教育用グループウェア「スタディノート」を導入しています。スタディノートはテキスト、図形、画像、音声、動画で作る子ども向けお絵描きソフトを中心に、電子メール、掲示板、データベース機能が統合された教育ソフトです。
スタディノートを使って学習のまとめを作ることは、つくば市のIT活用教育の中心となっています。しかし、スタディノートはWindows専用クライアントソフトであり、Linuxでは動作しません。そこでスタディノートの機能の一部を、Linuxからも使えるようにWeb掲示板という形で実装しました。お絵描きソフトはJava言語で開発しました。
この他、インターネットの調べ学習にWebブラウザ「Mozilla」を使うのはもちろん、オフィススィート「StarSuite」や画像処理ソフト「GIMP」も利用しました。
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教材コンテンツ
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教育委員会が充実した教材コンテンツを提供する他に、下表のような教材コンテンツを利用しています。これらはWebブラウザから利用するため、Linuxでも本来使えるものですが、Internet Explorerに依存している部分があり、一部は閲覧できないという問題がありました。
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表2:教材コンテンツ
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このうちインタラクティブスタディについては、最初はMozillaではほとんど閲覧できませんでした。そこで、Mozillaでも閲覧可能なようにコンテンツを修正しました。その結果、小学校向けで約80%、中学校向けで90%のコンテンツが閲覧可能になりました。しかし、いくつか修正できない問題もありました。例えば、JavaScriptを使った縦書きや、Windowsでしか再生できない動画コンテンツなどです。
このWindowsに依存したコンテンツの問題については、後ほどもう少し説明することにします。
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著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所 比屋根 一雄
情報技術研究部 主席研究員
1988年(株)三菱総合研究所入社。先端情報技術の研究開発および技術動向調査に従事。最近は「OSS技術者の人材評価調査」「日本のOSS開発者調査FLOSS-JP」「学校OSSデスクトップ実証実験」等、OSS政策やOSS技術者育成に関わる事業に携わる。著書に、「これからのIT革命」、「全予測情報革命」、「全予測先端技術」(いずれも共著)などがある。「オープンソースと政府」、週刊ITコラム「Take ITEasy」を主宰。
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