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教育現場におけるオープンソース実証実験
第2回:つくば市での実証実験
著者:
三菱総合研究所 比屋根 一雄
2005/8/11
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つくば市の実験の概要
つくば市では公立の小中学校5校において、各校20台〜40台、合計185台のLinux PCを導入しました。Linux PCを利用した児童生徒は合計2000名弱に達し、幅広い学年の子ども達に利用して頂くことができました。多くの学校では3年生から6年生が対象でしたが、並木小学校では1、2年生も使いました。
学校
利用児童生徒数
教員数
導入台数
授業時間
利用学年
並木小
383
26
67
135
1〜6年生
竹園東小
386
15
40
102
3〜6年生
二の宮小
373
13
22
183
3〜6年生
吾妻小
536
21
22
86
3〜6年生
吾妻中
263
14
22
42
1〜2年生
サポート他
12
つくば市
1941
89
185
548
表1:各実験校における利用人数、台数、授業時間
利用期間は2004年12月〜2005年3月の約4ヶ月でしたが、最初の1ヶ月は多くの教員が「私に使えるのだろうか」という不安もあり、年明けから利用したクラスが多かったようです。また、冬休みと春休みがあり、実質的には2ヶ月強の実験期間であったと思います。
わずか2ヶ月余りの期間ではありましたが、各校平均100時限以上の授業を実施して頂きました。これを稼働率として見ると、1日最大6時限で40日間利用したのですから、最大240時限のうち100時限も利用して頂いたことになります。今回導入したのはノートPCであり、1回の充電で2〜3時間稼働できることから、日で考えると平均2.5時限の利用率は、最大限に利用して頂けたと考えています。
導入したLinux PC
導入したLinux PCはIBM製のA4型ノートPC「ThinkPAD R51」です。Sun MicrosystemsのLinuxであるSun Java Desktop System R2をプレインストールして各校に配布しました。
写真1:LinuxノートPC本体
ノートPCを採用した理由は、普通教室で利用してもらえるようにして、Linux PCの稼働率をあげるためです。無線LAN(IEEE802.11g)のアクセスポイントを廊下に設置し、校内LANに接続しました。当初40台の無線LAN接続が実用に耐えるか不安でしたが、結果的には十分に使えることが分かりました。ただし、動画コンテンツを多人数で再生するとやはり回線容量の問題があります。ただ、これは有線LANでも同様であったでしょう。
PCラックとクラスルームPC管理ソフトウェア
つくば市の実験の特長の1つはIBMが本実証実験中に開発した「クラスルームPC管理ソフトウェア」を利用して、Linux PCの管理負荷の軽減をはかったことです。詳しくは第4回に紹介しますが、40台を毎晩に自動的にリフレッシュするソフトウェアです。参照用PCを1台用意しておき、各PCにディスクイメージを丸ごとコピーします。
子ども達の誤操作やいたずらで壊れたデスクトップも一晩明ければ、標準設定に自動的に復旧されています。新しいソフトウェアを導入したり、設定を変更したりする際にも、参照PCの1台だけ作業すれば、後は自動的にコピーされるので、管理者の負荷が大幅に削減できます。
なお、Linux PCは専用のPCラックに収納しました。ACアダプタと有線LANが内蔵され、収納の際には充電できます。また、有線LANに接続されているのは、夜間にLAN経由で電源を入れ、クラスルームPC管理ソフトウェアがイメージをコピーするためです。
写真2:PCラックとクラスルーム管理サーバ
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著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所 比屋根 一雄
情報技術研究部 主席研究員
1988年(株)三菱総合研究所入社。先端情報技術の研究開発および技術動向調査に従事。最近は「OSS技術者の人材評価調査」「日本のOSS開発者調査FLOSS-JP」「学校OSSデスクトップ実証実験」等、OSS政策やOSS技術者育成に関わる事業に携わる。著書に、「これからのIT革命」、「全予測情報革命」、「全予測先端技術」(いずれも共著)などがある。
「オープンソースと政府」
、
週刊ITコラム「Take ITEasy」
を主宰。
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授業の様子
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