1台のサーバを論理的に分割し、複数の仮想的なサーバを作り出すサーバ仮想化技術は、リソースの有効活用、運用コストの削減といった理由で注目を集めている。ここでは、サーバ仮想化技術に関連する連載を紹介しよう。
ブレードサーバによる仮想化テクノロジーの活用
第1回:x86サーバのコンソリデーションの課題と目標
著者:日本ヒューレット・パッカード 森田 宏
はじめに
ある程度以上の規模の企業では、管理しきれていないx86サーバが相当数存在している。大量に散在するx86サーバを減らして集約することで、管理工数を下げたいという希望を管理者からよく耳にする。比較的管理が行き届いている企業であっても、利用率の低いサーバが数多く存在しているということが一般的だ。そのような状況をx86サーバで多く見られる理由は、x86サーバの特性と導入されてきた経緯が密接に関係している。
これらの問題を解決に近づける1つの方法としてコンソリデーション(統合)があげられる。x86サーバのコンソリデーションを検討する場合には、リソースの有効利用としてのコンソリデーションと、管理の省力化としてのコンソリデーションという両面を見ていく必要がある。
第1回目の今回は、管理しきれない低い利用率のサーバが増えてしまった背景について整理し、サーバのコンソリデーションをどのように進めていくかを紹介していく。また本連載の第2回ではサーバのコンソリデーションを行う上で有効なツールとなるブレードサーバによる統合化と自動化について、第3回ではブレードサーバによる仮想化のテクノロジーの活用について解説する。
オープンソースXenによるサーバ仮想化
第1回:仮想マシンとサーバ仮想化について
著者:平 初
サーバ仮想化について
サーバ仮想化は数年前までエンタープライズサーバでしか実現できなかった機能です。近年、IAサーバを使ったサーバ仮想化が注目を浴びています。テクノロジーの進化により安価なサーバでも仮想化が行えるようになったためです。
テクノロジーの進化によりインフラは整いました。しかしながら、サーバ仮想化に対応できる技術者の数は不足しています。仮想サーバを使うだけならば簡単ですが、いざ構築となると仮想化の考え方を理解している必要があります。
そこでまず今回は、仮想マシンとサーバ仮想化について解説します。
仮想マシンとは
まず仮想マシンとは何でしょうか。仮想マシンとは仮想化技術によって物理的なコンピュータを分割し、その中で独立したOSを持って動作する論理的なコンピュータのことをいいます。簡単にいえば1台のコンピュータで2台以上のOSを動かすことです。
仮想マシンを作るには仮想マシンソフトウェア(ファームウェア含む)が必要となります。仮想マシンソフトウェアには大きく分けて以下の3つのタイプの実装方法があります。
- ファームウェアタイプ
- ハイパーバイザータイプ
- アプリケーションタイプ
表1:仮想マシンソフトウェアのタイプ
セキュアなVM環境を作る
第1回:セキュアな構成とは
著者:宮本 久仁男
Xen Domain-0の構築
Xenを入れるにあたって、みなさんはそれをどういう環境で動かしていますか?
- それまで使っていたマシンでXenを動かす
- ディストリビューションでサポートしているから、とりあえず動かす
表1:Xenの環境
検証のためにXenを動作させるというのであればそれでもいいですが、実際の運用に供する際にもそれと同じ環境を使う、というのは少し考えたほうがよいでしょう。
例えばSUSE 10.0や10.1などでは、GUIによるドメインの管理を行えますが、Domain-0の本来の用途を考えると、GUIは必ずしも必要とはいえません。むしろ「何が動作しているか」を把握できる「最小限の環境」の方が、Domain-0の構成に適しているといえます。
サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント
第1回:サーバ仮想化の背景と種類
著者:野村総合研究所 松本 健
はじめに
近年のITシステムの高度化・複雑化にともない、システムで使用されるサーバ数が増加し、維持管理コストの負荷が増大してきている。また、サーバにはピーク時の負荷に対応するために余剰リソースを搭載しているが、リソースを有効に活用しているとは言い難い。そこで、システムリソースの有効活用によるコスト削減や運用負荷の低減に対するニーズが高まってきている。
このようなニーズに対する技術の1つとして、サーバ仮想化技術がある。この技術はユーティリティコンピューティングを実現する基本的な技術としてすでに実用レベルに達しつつあり、一部では既に導入がはじまっている。しかし、サーバ仮想化技術を有効に利用するためには、最適な技術・製品を見極める必要がある。
本連載では、サーバ仮想化について、背景と関連技術、活用例、技術・製品のチェックポイントの3つに分けて解説する。
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回:VMware関連基礎用語
著者:デル
はじめに
本連載は2006年6月、デル株式会社が作成した「VMware ESX Server サーバ統合ガイド」の内容を一部抜粋し、転載したものです。VMware ESX Serverによるサーバ仮想化の参考にしていただけますと幸いです。
事前調査から移行作業までの考え方
「サーバを仮想化する」とは、1台の物理的なサーバを論理的に分割し、複数の論理的(仮想的)なコンピュータを作り出してリソースを有効活用することを指す。仮想化技術を用いたサーバ統合は多くのメリットを生み出すが、反面、無計画な仮想化はITインフラストラクチャに対して大きなリスクとなる。
まずは、仮想化技術を有効活用したサーバ統合の正しい手法や考え方を把握していただきたい。
VirtuozzoによるOS仮想化
第1回:仮想マシンとOS仮想化とは似て非なるもの
著者:Amelion 土居 昌博
今ブームなのは「仮想マシン」
巷では「仮想化」がブームです。若干意味合いは異なりますが、MacのなかでWindowsが動く「Parallels Desktop for Mac」は、IntelMacに対する購入意欲を大いに引き立てられました。
また仮想マシンを利用するメリットとして、異なるOS環境の製品をデモンストレーションするといった際は、実機を別に用意するのに比べて大変手軽です。ではサーバ仮想化の分野はどのような状況なのでしょうか。
主にサーバ向けの仮想化技術として「VMWare」や「Xen」などの仮想マシンモニタ/ハイパーバイザタイプによる「ハードウェア仮想化」が一般的に知られています。第1回では敢えてそれらとは異なるアプローチである「OS仮想化」のメリットについて紹介します。
オペレーションシステムの仮想化は、サーバ仮想化において存在感を急増させています。2006年9月に発表されたIDCレポートによると、OS仮想化ソフトウェアである「Virtuozzo」は、すべての仮想化技術の中で最も急成長しています。また、Gartner Groupの11月のレポートでは、OS仮想化が2010年までに主流になるといわれています。
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