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XMLデータベースの現在とNeoCoreXMS |
第1回:求められる機能とNeoCoreXMS
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2006/2/10
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はじめに
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XMLデータベースが注目を集めている。ビジネスやサービスが多様化の一途をたどり、なおかつ変化のスピードを速める中で、刻々変化を続ける情報をいかにデータベース化するかが、企業にとって火急のテーマとなっている現在、XMLデータベースの「不定形のデータ」を取り込む力がクローズアップされているのだ。
様々なアプリケーション製品がリリースされる中、不動のトップシェアを誇る、「NeoCoreXMS」を通じて、XMLデータベースの現在とそのポテンシャルを見ていきたい。
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XMLの発展にもかかわらず、XMLデータベースが軽視されてきた理由とは?
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XMLデータベースがにわかに注目を集めてきている。もちろんXMLデータベース自体はかなり以前から存在しているし、いくつかの製品もリリースされてきている(「第2回:隠されたニーズを引き出すXMLデータベース」参照)。
それがこの数年で急に話題にあがるようになった背景には、世の中のITソリューションがサービス指向を強めているという動きがあるだろう。1つにはインターネットの普及がある。ビジネスから日常生活の隅々にまでネットワークが行き渡り、Webショッピングや公的な手続きまでがインターネットで済むようになってきている。
こうしてWebサービスの範囲とソリューションが爆発的に増加してきているインターネットの世界で文章やデータ交換の標準フォーマットとして確固たる地位を築いてきているXMLもまた、活躍の範囲を拡げてきたのである。W3C(World Web Consortium)は1998年の勧告以降、XMLの標準化を強力に推進し、現在では数百種類を超える業界ごとの標準XMLボキャブラリを整備するに至っているという実績が、その何よりの証明である。
もう1つはSOA(Service Oriented Architecture)に代表される、サービス指向の進展である。必要とされるサービスの内容に向けてソリューションの方から歩み寄っていくためには、動的なアプリケーション連携が不可欠の要件となってくる。そうした意味でも各データの属性を超えた連携を可能にし、自由度の高い、かつ柔軟性に富んだソリューションを可能にしてくれるXMLに白羽の矢が立ったのは、むしろ当然の成り行きといえる。
だが、そうした輝かしいXMLの進化の一方で、「XMLデータベース」自体の評価はどうだったかというと、これが必ずしも芳しくはなかった。
そもそもデータベース専門のエンジニアなどの関係者以外で「XMLデータベース」と聞いて、それが何だか的確に説明できる人はほとんどいないだろう。いわゆるエンタープライズ系ソリューションで用いられているデータベースは、そのほとんどがRDB(Relational Database)である。
今更いうまでもないが、OracleもMicrosoft SQL ServerもIBM DB2も、世の中の主流を占めているデータベースはすべてRDBであるといっても過言ではない。事実、データベースの専門家のみならずITに見識のあるほとんどの人が、「RDBは将来にわたって、主流であり続けるだろう」と述べている。今も昔もデータベースの主役はRDBなのである。
ところが長らくXMLデータベースが傍流であった理由は、単にRDBが主流だからというだけではない。また、「XMLデータベースって、検索が遅いから使い物にならないんだよね」と思っている人もいまだにいる。これはどういうことなのか。
最大のネガティブな理由に、「XMLは検索が遅い」ということがあった。これはデータベースとしてはほぼ致命的な欠点である。そして事実、決して早くはなかった。
RDBは2次元のテーブル形式で、データを行と列にして構造化する。このためXMLドキュメントを格納しようとすると、XMLの階層構造をいったんテーブル構造にマッピングしてから格納しなければならない。
このマッピング作業は、構造が複雑になるほど開発コストをかさませる。その上、検索時にはこの手順を逆にたどっていくことになり、パフォーマンスを低下させる。早い話が「二度手間」になるのだ。
それが大容量データになるほど顕著になることもあって、「XMLデータベースは遅い」という認識がエンタープライズ層のユーザーに広まってしまった。つまりみずからの長所ゆえに、反対に評判を落としてしまったという、不幸な過去がXMLデータベースにはあったのだ。
このマッピング以外には、BLOB(Binary Large OBject)やテキストとして、ひとまとめに格納する方法がある。しかしこれだとXMLの構造情報自体もなくなってしまうので、XMLデータベースならではの階層構造を追った検索ができなくなってしまう。
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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