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NeoCoreXMS
XMLデータベースの現在とNeoCoreXMS

第1回:求められる機能とNeoCoreXMS
著者:オフィスローグ  工藤 淳   2006/2/10
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特許技術DPPによる超高速検索

   その最大の特長は、「超高速・新世代XMLデータベースエンジン」という製品のキャッチフレーズに表現されている。「NeoCoreXMS」ではXpriori社が開発した特許技術である「DPP(Digital Patern Processing)」と呼ばれる独自の検索技術をベースにすることで、他のXMLデータベース製品がこれまで不可能だった高速検索を実現している。

   RDBは、データにつけられたインデックスを目当てに検索を行うため、1つのデータを探すにも、ディスク上のインデックスを端から見ていかないといけない。この点で「NeoCoreXMS」のDPPは、まったく原理が異なっている。検索の方式がそもそもまったく違うので、RDBで起こるようなパフォーマンス低下とは無縁なのである。

   DPPではデータの格納時にすべてのXMLタグに対してユニークな形状のアイコンを生成する。さらに検索時には検索式(クエリ)を、DPPを用いて同様にアイコン化するのだ。この2つのアイコンを数学的にマッチングさせてデータの検索を行うという。この方式では、通常のRDBによる検索のようなインデックス領域の検索を行うことなく探せるようになる。その結果、従来にない超高速のデータ検索が実現するのである。

   さらにこの検索方式を用いると、データの容量にかかわらずほぼ同じスピードで検索が可能だという。ちなみに1GBのデータと100GBのデータを検索した場合を比較しても、ほぼ差がない。


スキーマ定義が不要

   RDBでは不可欠のスキーマなしにデータベース構築が可能になる。これはXML形式のデータであればすべて柔軟に吸収できるというネイティブXMLデータベースの特長であり、データベース設計が不要なため、システム開発/運用に関するコストが減らせる。

   データベースを設計する際に不可欠の作業が、「スキーマ定義」だ。これはRDBであれXMLデータベースであれ、そのデータベースで扱うデータの内容や構造のルールを決めるものだ。このスキーマがきちんとできていることが、データベースの動作を的確で素早いものにする上では必須要件である。いわばデータベース設計の屋台骨であり基礎工事ともいうべき部分が、スキーマ定義だといえる。

   それだけに、このスキーマ定義はデータベースを設計する技術者にとっては、実に難しく手間のかかる作業でもある。しかもRDBでは一度スキーマ定義を行ってしまうと簡単にデータベースの設計を変更することは許されず、その後のデータ形式の変更などに対応しにくいという難点もある。

スキーマ定義が不要な設計
図2:スキーマ定義が不要な設計

   このため、先にあげたデパートの顧客リストや仕様変更が頻繁な機械部品メーカの製品データベースなどでは、そのつど大変なエネルギーを費やしてデータベースを修正しているのが実情だ。

   ところが、「NeoCoreXMS」はこのスキーマ定義が不要なので、そうした労力やコストがすべて不要になるのである。むしろ開発技術者から見たら、「NeoCoreXMS」の最大の特長はこの部分にあるといっても間違いではないくらいだろう。

   実はこのことは、「ビジネスの中で用いられるデータベース」にとっては、革命的な変革なのである。本来のデータベース開発では、スキーマ定義が最初の一歩であった。それがXMLデータベースでは、その何はなくとも真っ先に決めておかなくてはならないデータ項目を決めきらないまま、サクサクとデータベースを開発して稼働してしまってよいのだ。

   ベンダーなどで自社の製品データベースを作ろうとしても、製品ごとにスペック項目にあるものとないものがバラバラで、データベース設計者が頭をかかえることは珍しくない。そんな場合でも「NeoCoreXMS」ならば、とりあえずデータベースを立ち上げて、足りない項目や変更があれば、そのつど修正していけばよいのである。

   使いながら育てていけるという点では、製品ラインナップやビジネスモデルそのものまでを、市場ニーズに合わせてめまぐるしく変化させていかなくてはならない企業にとって、まさに現場志向のデータベースなのである。ベンダーが「NeoCoreXMS」のキャッチフレーズとして「やわらかいデータベース」という表現を用いているのもうなずけるだろう。


フルオートインデックス

   「NeoCoreXMS」では、すべてのタグを自動的に作成するフルインデックス機能を備えている。このためインデックス設計が不要で、データベース開発にかかる時間的・工数的コストが大幅に削減できる。この機能も、上記の「スキーマ定義不要」と同様に、開発者の負担軽減とTCO削減につながるビジネス指向のアドバンテージの1つとなっている。

   以上、急ぎ足でXMLデータベースと「NeoCoreXMS」の特長を概観した。次回以降は、具体的なケーススタディなどを調べながら、その活用の可能性を見てみることにしよう。

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オフィスローグ 工藤 淳
著者プロフィール
オフィスローグ  工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。


INDEX
第1回:求められる機能とNeoCoreXMS
  はじめに
  あらゆる半定形データを取り込み、データの多様化に応えるXMLデータベース
特許技術DPPによる超高速検索