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リッチクライアントの現状と今後の動向 |
第4回:リッチクライアント製品/技術動向
著者:野村総合研究所 田中 達雄 2005/4/11
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2つのリッチクライアント
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リッチクライアントは昨年度から現在に至り、多くの製品や事例が提供され、紹介されてきた。これらの様子から筆者は、リッチクライアントは現在、黎明期を終えて成長期に入ったものと考えている。新たな市場が成長期に入り、その市場の獲得を目指し、今後もさらに多くの製品が提供されるものと思われる。
このように依然として多くの製品が乱立するリッチクライアント市場であるが、前回「第3回:リッチクライアントの適用事例」の結びで紹介したとおり、一言でリッチクライアントといっても様々な製品があり、"実現形態"によってはその特徴が多少異なる。そこで今回は主なリッチクライアントやその製品を取り上げ、それぞれの特徴を紹介する。
これまで提供されてきた主なリッチクライアントを整理すると「Browser-Basedリッチクライアント」と「Stand-Aloneリッチクライアント」に大別できる(表1)。
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表1:主なリッチクライアント製品 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大表示します)
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Browser-Basedリッチクライアント
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Browser-Basedリッチクライアントは、一般的にブラウザにプラグインとして実装された実行環境上で動作する。実行環境をプラグインできるブラウザが搭載されているほとんどのPC上で実行可能であり、多くの利用者を想定したアプリケーションに適している。また、第3回の事例で指摘された実行環境自体のアップグレードもプラグインアップグレードとなり、PCのOSに直接インストールするStand-Aloneリッチクライアントと比較すると利用者の負担が少なくて済む。
以下、主なBrowser-Basedリッチクライアント製品/技術を紹介する。
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Flashアプリケーション
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Flashアプリケーションは、主にマクロメディア社が提供している「Flash MX」で開発されたアプリケーションであり、代表的なBrowser-Basedリッチクライアントでもある。その特徴は、アニメーションを含む高度なGUIを実現/体験できることであり、広く普及した実行環境「Flash Player」が存在することがいえる。
Flashアプリケーションの実行環境である「Flash Player」は、Webブラウザ用プラグインとして無償提供されており、世界での普及率が98%といわれている。利用者にとってインストールに対する抵抗感が低く、不特定多数のクライアントを対象としたWebアプリケーションの実行環境に適しており、すでに様々なWebサイトで広く適用されている。ほとんどの読者が、少なくとも一度くらいは使ったことがあるのではないだろうか。
適用事例にも、表2のように不特定多数のクライアントを対象とした事例が数多く存在する。
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- 日産自動車:cube WIRED
- 西武百貨店:ふれてビジョン
- 東映ホテル:JOYPORT
- フォルクス・ワーゲン・ジャパン:アクセサリーシュミレーション
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表2:Flashアプリケーションの適用事例
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もっとも、第2回の調査結果でリッチクライアントの主な用途としてあげられた「社内基幹系業務システム」の開発でFlashアプリケーションを利用するには、不安材料もある。その1つは、Flash開発者の数が少ないこと。また、一般にFlash開発者は業務アプリケーションの開発経験が乏しいことから、Flash開発者の業務アプリケーション開発スキルが問題となることがある。
こういった問題に対してマクロメディア社は、自社コンサルティングサービスの強化、人材紹介のためのデータベース整備、開発ノウハウを含む公開情報の整理など、「社内基幹系業務システム」の開発を行う顧客への対応も意識した体制/仕組み作りを急ピッチで進めている。
またマクロメディア社では、2004年11月に業務アプリケーション開発を意識して開発された「Flex」というサーバ製品も提供している。Flexはあくまでもサーバ製品であり、クライアント側で動作するアプリケーションはFlashアプリケーションとなり、実行環境もFlash Playerとなる(図1)。詳細は「第5回:リッチクライアントの将来」で解説する。
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図1:Flexの位置づけ
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
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