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リッチクライアントの現状と今後の動向 |
第4回:リッチクライアント製品/技術動向
著者:野村総合研究所 田中 達雄 2005/4/11
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Microsoft Office
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マイクロソフトにはOfficeという実行環境もあり、.NET Frameworkと比較するとあらかじめPCにインストールされている割合は(かなり)高い。ある事例では、社外の取引先に配布するリッチクライアントにExcelアプリケーションを適用している。取引先に余計なソフトをインストールさせないこと、ライセンス料をこちらが負担しなくてもよいことなどを、適用した理由にあげているほどだ。
今後、Office 2003のアプリケーションは、Visual Studio 2005でも開発可能となり、開発環境も充実する。Windows Formアプリケーションで実現できることが全てできる訳ではないが、Windows Formアプリケーションと比較して軽量であり、Windows Formアプリケーションがカバーしきれない分野での利用が期待される。
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Javaアプリケーション
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Javaがリッチクライアントとしての特徴(特に、配布の容易性)を備えたのは、Java 2 SDK 1.4で「JWS(Java Web Start)」が組み込まれてからだといえる。それまで、Webを利用して配布できるJavaの形態にはJava Appletしかなかったが、JWSが組み込まれたことにより、通常のJavaアプリケーションもWeb上で容易に配布できるようになった。
JWSは、前述したWindows Formアプリケーションのノータッチ・デプロイメントと同様の仕組みである。JWSでは、クライアントマシンに保存されたクライアントアプリケーションとサーバ上に格納されたクライアントアプリケーションのバージョンを比較し、サーバ上に格納されたアプリケーションが更新されている場合には、新しいバージョンをダウンロードするという仕組みになっている。
実際に、不特定多数のクライアントに対して、JWSを利用してJavaアプリケーションを提供している事例もある。例えば、オンライン証券会社の米国イートレード・ファイナンシャルでは、取引量の多いユーザに対して「POWER E*TRADE PRO」というJWSをベースにしたJavaアプリケーションを配布している。
「POWER E*TRADE PRO」は、株価のリアルタイム表示や過去の株価推移データを取得するための製品であり、イートレード・ファイナンシャルのホームページからダウンロードできる。オフラインでも、取得したデータの表示や売買条件の設定などを行うことができる(売買条件設定後、オンライン接続した時点で、サーバにその条件が投げられる)といった特徴を持つ。この製品を使用すると、HTMLクライアントのように、画面の情報を変更する度にWebサーバへアクセスするということはないため、動作が軽く、ヘビーユーザ(1日に多くの取引を行うユーザ)には非常に評判がよい。また、イートレード・ファイナンシャル側でも、ヘビーユーザがリッチクライアントに移行することで、サーバの負荷が軽減され、サーバのリソースに要するコストを抑制することができる。
リッチクライアントのデメリットとして指摘されている「開発者の確保」といった課題についても、Javaであればほとんど問題はない。
しかし、Javaにおいても実行環境のインストールは必要であり、決して利用者の負担は軽くはない。PCの環境設定(CLASSPATHの設定など)は専門家でなければ対応できないものもある。イートレード・ファイナンシャルのホームページからダウンロードできるマニュアルも決して簡単な内容とはいえない。
Stand-Aloneリッチクライアントの場合、冒頭でも述べたとおり実行環境のインストールや更新、使用リソースに関する問題が顕在化する傾向にある。実行環境自体の軽量化が望まれるが、機能は依然として増える方向にあり、すぐには軽量化を望めそうもない。そうなると実行環境として十分なリソースを有するクライアントマシンだけの限定された利用に留まることになる。開発するアプリケーションもそういった利用環境を想定したものに限定されるだろう。
次回の第5回では、将来有望視されるリッチクライアントについて解説する。
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著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
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