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世界各国政府のオープンソース採用動向
世界各国政府のオープンソース採用動向

第1回:欧州編(前編)
著者:三菱総合研究所  比屋根 一雄   2005/2/25
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はじめに

   はじめまして、三菱総合研究所の比屋根です。今回より「世界各国政府のオープンソース採用動向」の連載を担当いたします。

   日本でも、2002年頃から経済産業省を中心としてオープンソースが注目され始めました。2003年度には(独)情報処理推進機構(IPA)で「オープンソースソフトウェア活用整備基盤整備事業」に対し、10億円もの予算がつきました。OpenLDAPやSambaなど、いろいろなオープンソースソフトウェアの開発に対し、資金援助が行われています。しかし、日本でのオープンソース普及は欧米に比べて1〜2年は遅れていると言われています。

   これらの取り組みについて知ることによって、なぜオープンソースが世界中で期待され、日本でも政府・自治体がオープンソースに注目が集まっているのかが理解できるでしょう。本連載では、世界各国のオープンソース採用動向を「欧州編」、「米国・中南米編」、「アジア・オセアニア編」、「日本編」の地域に分けて紹介する予定です。


欧州各国政府のオープンソース採用動向

   欧州はオープンソースソフトウェアの政府・自治体による採用が世界で最も進んでいる地域です。欧州連合を中心にドイツ、フランス、イギリス、イタリアなど各国政府はオープンソースを積極的に採用し、また、採用を促すための政策を立ち上げてきました。なぜ、欧州連合および各国政府がオープンソースに注目したのでしょうか。

   これにはいくつかの理由がありますが、まずは欧州いや世界最大のオープンソース導入事例となったミュンヘン市の事例を紹介しましょう。

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三菱総合研究所
著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所  比屋根 一雄
情報技術研究部  主席研究員
1988年(株)三菱総合研究所入社。先端情報技術の研究開発および技術動向調査に従事。最近は「OSS技術者の人材評価調査」「日本のOSS開発者調査FLOSS-JP」「学校OSSデスクトップ実証実験」等、OSS政策やOSS技術者育成に関わる事業に携わる。著書に、「これからのIT革命」、「全予測情報革命」、「全予測先端技術」(いずれも共著)などがある。「オープンソースと政府」週刊ITコラム「Take ITEasy」を主宰。


INDEX
第1回:欧州編(前編)
はじめに
  ミュンヘン市、14,000台をWindowsからLinuxに移行
  オープンスタンダード推進にオープンソースを利用する欧州連合
  独自にリブレソフトウェアを進めるフランス