単層ネットワークへのアプローチ

2010年7月23日(金)
小川 直樹(おがわ なおき)

ネットワーク簡素化のステップその2

ネットワーク簡素化の第2ステップは、アクセス・スイッチ(サーバー・エッジ・スイッチ)の仮想化です。

アクセス・スイッチの1つが、EX4200シリーズ(1台あたり最大48ポート)です。同スイッチは、前述したバーチャルシャーシ技術を備えています。これにより、最大で10台のEX4200シリーズを、あたかも単一のスイッチであるかのように運用できます。サーバーのポート数にもよりますが、数百台のサーバーを単一のスイッチでカバーします。

なお、バーチャルシャーシでは、専用のケーブルを用いて128Gビット/秒バックプレーンを実現します。これにより、ラックをまたいだサーバー間のデータ転送を高速化できます。

ネットワークの簡素化における第1ステップ(コア・スイッチとアグリゲーション・スイッチの統合)と第2ステップ(アクセス・スイッチの仮想化)の次に着手するべきことは、MPLS(Multi Protocol Label Switching)やVPLS(Virtual Private LAN Service)を用いたデータ・センター同士の接続です。このためのネットワーク・エッジ・ルーターの例が、ジュニパーの「MXシリーズ」です。

近い将来には、バーチャルシャーシ技術を搭載したスイッチを拡充します。具体的には、コア・スイッチ(EX8200シリーズ)やエッジ・ルーター(MXシリーズ)、アクセス・スイッチの上位機種「EX4500シリーズ」に導入します。STPやVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を用いる必要がなくなり、これらに要していた帯域(50%に相当)を取り戻すことができます。コストが減り、運用を簡素化できます。

図7: バーチャルシャーシ機能をスイッチの各層に広げる(クリックで拡大)

ネットワーク簡素化のステップその3

ネットワーク簡素化における最後のステップは、「3-2-1」の「1」です。ネットワークの階層を単層化するステップです。このステップを実現するためには、ネットワーク機器が搭載するOS(オペレーティング・システム)が、重要なカギを握ります。

図8: すべてのネットワーク機器で共通のOSを用いる(ジュニパー)(クリックで拡大)

ジュニパーでは、全ネットワーク機器に共通するOS「Junos OS」を用意しています。Junos OSの将来のビジョンは、データ・センター全体で単一のネットワークファブリックを運用できるようにすることです(前述した"ストラタス・プロジェクト"の成果物)。データ・センター内のすべてのサーバー、ストレージ、セキュリティ・サービスなどを、相互に直接接続できるようにします。

図9: ジュニパーのビジョン「データセンター・ファブリック」(クリックで拡大)

今回は、クラウド対応データ・センターに求められる3つの要件のうちの1つとして、ネットワークの簡素化について解説しました。具体的には、ネットワークを簡素化する具体的なアプローチとして、3つのステップを示しました。コア・スイッチとアグリゲーション・スイッチの統合、アクセス・スイッチの仮想化、将来的なビジョンとしての単層化、です。

次回は、クラウド対応データ・センターに求められる3つの要件のうち、ネットワーク簡素化を除いた残る2つの要件である、「共有」と「セキュア」について解説します。また、運用の自動化や、オフィス環境やモバイルなど、ネットワークの利用環境の変化について解説する予定です。

著者
小川 直樹(おがわ なおき)
ジュニパーネットワークス株式会社 マーケティング部 ソリューションマーケティングマネージャー

プログラマーから始まり、大手外資系ソフトウェアベンダーにて、ストレージソフトウェアを中心にプリセールス、プロダクトマーケティングを担当。2008年より現職。

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