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サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント
第1回:サーバ仮想化の背景と種類
著者:
野村総合研究所 松本 健
2005/8/4
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ユーティリティコンピューティング
前項のような理由から、余剰リソースを減らし、サーバ台数を減らすことが課題となっている。この課題を解決するための技術としてユーティリティコンピューティングがある。
ユーティリティコンピューティングとは、ITリソースを電気や水道のように使いたいときに使いたいだけ使えるサービスとして提供することである。
ニーズに応じて必要なだけのリソースをサービスに割り当てたり、突発的な負荷に備えて保持する余剰リソースをサービス間で共有したり、異なるピーク時間を持つサービス間でリソースを融通することが可能になる。
最近ではこのようなユーティリティコンピューティングの考え方を導入して、物理サーバの販売方法を搭載したCPUではなく、実際に利用したCPUの使用率に応じた課金方法やシステム負荷に応じて実際に利用した物理サーバの台数・CPUの個数などに対応する課金方法を採用するホスティングサービスを、大手サーバベンダーが中心となってはじめてきている。
ユーティリティコンピューティングを実現するための主要な技術としては、
サーバなどのシステムリソースの仮想化
、
動的なワークロードの管理
、
ポリシーベースの運用
がある。現在は特にサーバ仮想化と動的ワークロード管理の技術が熟してきており、ここではこれらに焦点をあてて解説する。
図2:ユーティリティコンピューティング
サーバ仮想化の種類
サーバ仮想化は、1台の物理的なサーバのリソースを分割/統合して仮想的に(論理的に)何台ものサーバが動作しているかのように見せたり、複数の物理サーバを1台のサーバに見せる技術である。この仮想化されたサーバごとにOSやアプリケーションを割り当てることができる。このようなサーバ仮想化を実現する方法は、大きく分けて以下の2種類がある。
多数筐体型
多数筐体型とは、複数の物理サーバを束ね、1つまたは複数の仮想サーバを構成することをいう。ブレードサーバがこれに相当する。
ブレードサーバとは、CPU・メモリ・NIC(ネットワークインターフェースカード)などを持つ「ブレード」と、ブレードを複数収納可能で電源・スイッチを持つ「エンクロージャ」で構成されたものである。
仮想サーバのリソースを増加させるには、エンクロージャにブレードを追加し、追加したブレードにOS・アプリケーションをインストールする。このブレードを他のブレードとクラスタを構成、あるいはロードバランシングで処理を振り分ける。これは従来のサーバ追加によるスケールアウトを、同一サーバ筐体内のブレードで実現していることになる。
図3:ブレードサーバ
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著者プロフィール
野村総合研究所株式会社 松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。
INDEX
第1回:サーバ仮想化の背景と種類
はじめに
ユーティリティコンピューティング
単一筐体型
動的ワークロード管理