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サーバ仮想化
サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント

第1回:サーバ仮想化の背景と種類
著者:野村総合研究所  松本 健   2005/8/4
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動的ワークロード管理

   動的ワークロード管理とは、仮想化されたサーバ(論理サーバ)にかかるアクセス負荷(ワークロード)をリアルタイムに捉え、その状況に応じて論理サーバに割り当てる物理サーバリソースを動的に変更し、サーバアクセス負荷に対応できるようにすることである。

   例として、以下のような流通系システムを考えてみる。このシステムは発注、会計、商品マスターエントリなどのサブシステムで構成されており、各サーバは各処理のピーク時に対応できるサイジングを行った結果としてのサーバリソースで構成されている。ピーク時間帯は、発注、商品マスタエントリ、会計、情報発信の場合はオンライン処理が中心であるために昼間であり、バッチサーバの場合は夜間稼動するために夜間である。

   このように、一日の単位で考えると、ピークの時間帯は昼と夜の2回あることになる。さらにピーク時と平常時のアクセス量には差があり、各サーバの使用率は平均して例えば25%程度とする。

   このシステムを論理サーバを用いて構築すると、各論理サーバに割り当てることのできる物理リソースは動的に変更できるようになる。するとピーク時間帯がずれているため、昼間はオンライン系のシステムに物理サーバリソースを集中的に割り当て、夜間はバッチ系システムにリソースを集中的に割り当てるように、動的にリソース量を変更することにより、物理サーバリソースを有効に利用することができ、全体としてより少ない物理サーバでシステムを実現できる。

   場合にもよるが、最も効果的な場合、物理サーバリソースの使用率は最大で80%程度まで上げることが可能といわれている。

動的ワークロード管理の例
図6:動的ワークロード管理の例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   これら仮想サーバの動的ワークロード管理を実現するツールは、各パーティショニング製品や仮想マシン製品に専用のものが出はじめているが、仮想サーバの成熟度に比べて、機能的にまだ未成熟な部分があり、実利用に際してはいくつかの課題がある状態である。

   今回はサーバ仮想化の背景と技術について解説した。次回はサーバ仮想化技術の活用例について解説する。

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野村総合研究所株式会社 松本 健
著者プロフィール
野村総合研究所株式会社  松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。


INDEX
第1回:サーバ仮想化の背景と種類
  はじめに
  ユーティリティコンピューティング
  単一筐体型
動的ワークロード管理