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第5回:Eclipse TPTPでログの分析をする
著者:ビーブレイクシステムズ  益原 祐介   2005/11/7
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症状データベース

   最後に症状データベースを使用したログの分析方法を解説します。症状データベースとはログのメッセージに対する解決策などを登録したXMLファイルのことです。データベースに登録されていれば、誰にでもその解決策がわかります。

   今回は「Analysis Engine Sample」というサンプル・プロジェクトを使用して解説します。まず「File → New → Example」を選択して「Examples → Logging」ツリーを展開します。次に「Apache Log Correlation/Analyzer Sample」を選択して「Next」をクリックしてください。そして「Project name」欄に任意の名前を指定して「Next」をクリックします(今回は"LogAnalyzerProject"とします)。

   次にこのサンプル・プロジェクトで使用する2種類のログファイルと症状データベースを指定します。今回はすべて「Use default」にチェックを入れてください。また「Sample options」の欄もすべてチェックして「Finish」をクリックしてください。

   サンプル・プロジェクトを作成すると「Profiling and Logging」パースペクティブが自動的に開き、「Log Navigator」ビューの「Logs」下に「Access Log File」と「Error Log File」の2種類のログ、「Symptom Databases」下に「symptomdb.trcdbxmi」という症状データベース、「Correlations」に「Time」という相関ファイルが作成されます。

   それでは「Error Log File」を開き「Log Records」欄で任意のメッセージを右クリックして「Analyze All → Default Log Analyzer」をクリックしてください。メッセージ左側のアイコンの背景が青く塗り潰されたと思います。

   これは症状データベースにこのメッセージに対する対処法などのエントリが存在することを意味します。症状データベースで分析を行うと「Details Analyzed」タブに「true」と表示され、「Analysis Result」タブにこのメッセージに対する対処法が表示されます。「Access Log File」を同じ方法でメッセージ左側のアイコンが青色の線で囲まれます。これは症状データベースにメッセージに対するエントリがないことを示します。

   最後に症状データベースへのエントリ方法を解説します。ここでは、例としてアクセス・ログ中でステータスがエラー「500」となっている行に対応するエントリを追加します。その手順は以下のようになります。

   まず「Log Navigator」ビューの「Symptom Databases」の下にある「/LogAnalyzerProject/symptomdb.trcdbxmi」をダブルクリックします。次にデータベースの編集画面が開いたら、「Details」タブを選択してください。表示された画面の「symptomDB」を右クリックし「Add Symptom」を選択します。「Symptom name」の欄に「HTTP サーバ内部エラー」と入力し、「Match patterns」の欄に「500」と入力して保存します。これでログ中に「500」という文字列が存在した場合に、対応するエントリを追加したことになります。

   次に追加したエントリ(「HTTPサーバ内部エラー」)を右クリックし、「Add Solution」を選択して「Description」の部分に「リクエストの実行を妨げるエラーの発生。CGIスクリプト・エラーなど」と入力して保存します。

   さらに追加した「Solution」(保存すると「リクエストの実行を妨げるエラーの発生。CGIスクリプト・エラーなど」と表示されます)を右クリックし、表示された「Add Directive」でディレクティブを定義することも可能です。これらのメッセージは、ログ中に「Match patterns」で指定したパターンが存在した場合にログ・ビューに表示されるメッセージとなります。

   以上で症状データベースへのエントリの追加が完了しました。「Log Navigator」ビューで「Access Log File」を開いて分析すると、該当するメッセージのアイコン背景が青く塗つぶされて、「Analysis Result」に先ほど登録したメッセージが表示されることが確認できます(図4)。

症状データベースへの追加と分析
図4:症状データベースへの追加と分析
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


まとめ

   今回はログの分析方法について解説しました。

   Eclipse TPTPを使用したログの分析についての基本的な考え方を理解していただけたと思います。今回はサンプル・プロジェクトを中心に解説しましたが、次回はログの変換用プラグインの作成方法について実際の作成の流れにそって解説します。

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株式会社ビーブレイクシステムズ 益原 祐介
著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ  益原 祐介
Javaスペシャリスト
九州大学文学部卒業。在学中は考古学の研究、遺跡の発掘作業を行う。その後、情報システムに興味を持ちビーブレイクシステムズに入社。徹底した社内教育によりJavaエンジニアとなる。現在は社内技術レポートの執筆や技術雑誌への寄稿を行い、社内の技術力の向上に貢献。


INDEX
第5回:Eclipse TPTPでログの分析をする
  はじめに
  ログの変換・解析
  ログの相関
症状データベース