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第15回:LifeKeeperの今後のロードマップと展望
著者:サイオステクノロジー  羽鳥 正明   2006/3/3
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災害復旧

   近年、日本国内では新潟県中越や福岡県西方沖などで大きな地震が発生し、海外でもスマトラ沖大地震やインド洋津波などに代表されるような天災が多発している。それは、自社のITインフラがいつダメージを被ってもおかしくない状況といえよう。

   ただし、災害復旧のインフラを構築するにはこれまで大変な初期費用が必要となっていることが多く、また技術的にも難しいため、災害のリスクがわかっていたとしても導入に躊躇している企業が多い。

   LifeKeeperは共有ストレージを利用しない構成でのHAクラスタをサポートしており、いくつかのアプローチによって災害復旧にも対応させている。これまでの記事に掲載しているので参考にして欲しい。

第7回:共有ファイルシステム「LKDR」と「DRBD ARK」
http://www.thinkit.co.jp/free/tech/25/7/1.html

第11回:LifeKeeper Data Replication For WindowsとDisk to Disk Backup
http://www.thinkit.co.jp/free/tech/25/11/1.html

   LifeKeeperの機能を使うことにより、通常のIAサーバ2台とWANのネットワークインフラさえあれば、いざというときの障害復旧に活用することができる。これはLifeKeeperを導入した方、またはこの連載の読者であれば、実現することがいかに簡単であるかがおわかりであろう。

障害復旧 構成例
図5:障害復旧 構成例

   さらに、まだ日本では発表されていないが、SteelEye社では「LifeKeeper Data Replication for Windows v5.2」を販売開始しており、このバージョンでは、WAN環境で接続された2台のサーバでのデータ転送性能を帯域幅の90%以上にまで高める技術を搭載している。これによりディザスタ・リカバリ構成を比較的容易に導入することができる。この製品も国内で販売開始する予定である。


その他の新機能

   すでに米国で発表になっている新機能で、国内未発表のものに「LifeKeeper Protection Suite for IBM Director 5.1」というものがある。これは、IBM社のeServer xSeriesに標準搭載されているシステム管理ソフトウェア「IBM Director v5.10」のIBM Director管理サーバを冗長化する製品である。

   IBM Directorは、物理的に分散したサーバやクライアントPCなどのIT資産をより効率的に一括管理するシステム管理ソフトウェアである。IT管理者はリモートシステムの詳細なハードウェア構成を表示させたり、プロセッサやディスク、メモリといったシステムの重要なコンポーネントの使用率やパフォーマンスを監視したりすることができる。xSeriesサーバの自己管理機能をサポートしており、BladeCenterの筐体およびコンポーネントの管理が可能である。

   このような管理環境を構築した場合、IT管理者はIT資産の状況を常時監視することを求めるようになるのは当たり前であり、その際にLifeKeeper Protection Suite for IBM Directorによるシステム冗長化が必要となる。現在、サイオステクノロジーのWebサイトで公開に向けて準備を行っているので、しばらくお待ちいただきたい。

   今後もLifeKeeperは対応アプリケーションやサポートハードウェアを増やし続けていくことで、HAクラスタの利用範囲を様々な分野に広げていくことを目指している。


最後に

   これまでの連載では、LifeKeeperの様々な機能を具体的な設定方法を交えて紹介してきたが、なかなかこのような公開の機会を持つことは難しく、特に15回という長期にわたる掲載を行っていただいたThinkITにこの場を借りて御礼したい。

   1回目から15回目まですべて読んでいただいた方はおわかりかと思うが、カタログなどの製品紹介では表現できないような細かい内容まで深く掘り下げて解説できたことは、LifeKeeperならびにサイオステクノロジーにとって非常に価値のある将来に残る財産になったと確信している。

   また将来、LifeKeeperに大きな機能追加やメジャーバージョンアップなどがあった際には、是非ともこのような機会を再度持てるとうれしいと思う。最後に、15回もの連載に根気強くお付き合いいただいた読者に深く感謝して「LifeKeeperのすべて」の連載を終了とする。

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サイオステクノロジー株式会社 羽鳥 正明
著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社  羽鳥 正明
プロダクト&SIビジネスユニット  マーケティング部  第1マーケティンググループ
1991年、日本ユニシスに入社、PCのマーケティングとして米国ユニシスのリエゾンを経験。その後コンパックコンピュータにてIAサーバのマーケティングを担当。現在はサイオステクノロジーにてLinuxならびにOSSのマーケティングを統括。


INDEX
第15回:LifeKeeperの今後のロードマップと展望
  連載の総括
  仮想化技術
  複数のIAサーバを一挙にHAクラスタ構成にする場合
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