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製品ライフサイクルの短期化
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また、最新の技術を次々と取り入れるx86サーバの製品ライフサイクルは非常に短い。
具体的には、x86サーバのハードウェア・OS・アプリケーションのそれぞれが非常に短期間で進化しており、数年で陳腐化してしまう。
例えば、x86サーバでは数年前に購入したサーバに入手困難な旧タイプのメモリを追加して利用するよりも、メモリ容量の大きい新しいサーバを購入したほうが安いということも珍しくない。
また、CPUに関しても同様のことがいえる。この4〜5年の間にx86サーバの性能は飛躍的に向上した。例えば、TPC-Cのベンチマークを見ると、5年ほど前の8CPUのサーバと現行の2CPUのサーバは、ほぼ同じ処理能力を持っている。
つまり、ベンチマーク上では同じ2CPUのサーバが単純計算で数年前の2〜3台分に相当することになるのだ。当然のことながら、実際のアプリケーション環境ではそのまま当てはまらないケースもあるが、CPUやメモリなどの高速化が著しいのは間違いない。
このように各部門で個別に導入されたx86サーバは、数年で急速に陳腐化してしまう。
前述のように、次々と最新技術を搭載したサーバが安価に購入できるようになるので、陳腐化したサーバを拡張するのではなく、コストパフォーマンスの高いサーバを追加購入することでビジネスのニーズに対応することになる。これが繰り返され、サーバがさらに増えていくというわけだ。
OSやアプリケーションに関しても、同様な状況である。x86サーバの管理面を見てみると、多くの場合はベンダーによって操作性が異なる。ひどいものになると、同じベンダーの製品であっても購入時期によってまったく操作性が異なる場合もある。
もちろん、1台のx86サーバ上で同じの環境を使い続けていても、操作性が少しずつ変わることも珍しいことではない。x86サーバの上で動作しているOSやアプリケーションは、非常に数が多い。それらが日々バージョンアップを繰り返しており、操作性が変わるのだ。
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スケールアウト構成が生む非効率的なリソース
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さらに、システム構成によってこの問題は複雑になる。特にx86サーバを採用することの多いスケールアウト構成の場合は深刻だ。
スケールアウト構成の基本的な考え方は、サーバに要求される負荷が1台でまかないきれないほど増大したときに、負荷を並列的に処理する仕組みを用意し、サーバを増やしていくことで対応していくというものだ。
この方法には、要求される負荷に対してリソースの追加を比較的容易に対応できるというメリットがある。要求される負荷に対してリソースの追加を比較的容易かつ柔軟に行うことで対処しようという考え方である。
大きな負荷のかかるサービスやアプリケーションでも、スケールアウトならサーバの台数を増やすことで対応できるというメリットを持つ。また、同じ処理を別のサーバでも実施できるので、1台のサーバに障害が発生した場合やメンテナンスが必要な場合には、他のサーバで対応することが可能であり、障害などにも強いといえる。
ただしスケールアウトでは、最大負荷を想定した上で、それよりも余裕を持ったサーバ台数で設計される場合が多い。そのため、サーバ台数が増えすぎる傾向がある。
例えば、特定目的のシステムで最大負荷と予備機を想定して構成されたスケールアウト構成において、通常利用時のCPU使用率が10%以下で運用されている場合もある。
こうしたことから、多数のシステムが部門や地域を分散した状態で導入され、OSやアプリケーションのバージョンが何種類も存在するようなことが起こる。それに加えて、1つのシステムの中には利用率の低いサーバが多数存在するような状況となる。その結果、全体としてのシステム管理の工数は非常に高くつくのである。
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著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社 森田 宏
テクニカルセールスサポート統括本部IAサーバ技術部 部長。
1995年にコンパック(現日本ヒューレット・パッカード)へ転職後、一貫してx86サーバProLiantの技術支援に従事。HPの技術支援部隊を率いる傍ら、新製品の技術的な啓蒙を中心に活動を続ける。現在は「ブレードサーバ」と「仮想化技術」の導入促進に取り組む。
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