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x86サーバのコンソリデーションの目標
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それでは、x86サーバのコンソリデーションはどのような方法で進めていくのがよいのだろうか。
サーバコンソリデーションの実現方法には、単純に既存環境から新環境へ移行する水平移行と、ソフトウェアのバージョンアップやバージョンの集約などを含めて行う最適化移行の2つがある。
システム全体、つまりサーバやストレージなどの物理的なものからアプリケーションやデータなどを含めたITコンソリデーションのロードマップは図3のようになっている。

図3:ITコンソリデーションのロードマップ (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
このロードマップの中でx86サーバの場合には、表1の3点を軸に考えるのがよいだろう。
- 運用管理環境の標準化
- サーバのコロケーション(物理的集約)
- サーバの仮想化
表1:サーバコンソリデーションのポイント
x86サーバの標準化やコロケーションで近年特に注目を集めているのは、ブレードサーバの利用である。なぜなら管理およびサーバ自体のプラットフォーム標準化などを含めた既存環境からの水平移行を行えるからだ。
十分なCPU性能を持ったブレードサーバは、従来のラックマウント型のサーバに比べて効率よくサーバを集約できる。また、ストレージやネットワークといったサーバとともに使われる機材の集約もあわせて行うことができる点も見逃せない。
システムの使用効率や運用管理性を向上させる手段として仮想化も重要だ。アプリケーションやOSごとにサーバを1台割り当てるやり方では、リソースの利用効率をあげていくことに限界がある。そこで、x86サーバで仮想化ソフトウェアを使い、1台のサーバ上で複数のアプリケーションや環境を混在させる使い方に注目が集まっている。
これらを活用して、既存システムの水平移行を管理環境の標準化とサーバのコロケーションのタイミングで実施するとともに、仮想化などを利用して最適化移行に近づけていくやり方が有効である。
フェーズ |
アプローチ |
効果 |
実行のためのツール |
運用管理環境の標準化 |
稼働サーバの状況把握と標準化のルール(基準)作り |
運用ルールの策定 |
資産管理ソフトウェア |
運用簡略化の方向性付け |
サーバのコロケーション (物理的集約) |
サーバを物理的に1ヶ所に集約して管理を集中化 |
運用簡略化 |
ブレードサーバと統合ストレージ(NAS/SAN) |
稼働状況把握の容易化 |
サーバの仮想化 |
稼働状況や運用ルールによりサーバの物理的に共有 |
サーバ共有による台数削減 |
仮想化ソフトウェア |
サーバ利用率向上 |
表2:X86サーバのコンソリデーションのアプローチ
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運用・管理環境の標準化
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x86サーバのコンソリデーションを行うためには、現在稼動しているサーバの状況を把握することが先決だ。ただ、前述のように各部門で個別に購入したサーバが存在することを考えると、社内にあるすべてのx86サーバを正確に把握することは困難だ。従って当初は、ある程度業務別や部門別の取り組みや、情報システム部門が把握できるセグメントに絞りこむことが必要になる。
この際の方法としては、既存の管理用の台帳などに当たるとともに、サーバ管理ツールなどを利用できると、かなり省力化できる。有償の管理ツールの利用が難しい場合には、無償のサーバ付属管理ツールなどを活用する方法もある。
例えば、HPのSystems Insight Managerのような製品付属のツールで、資産管理や障害管理の機能を利用するなどの方法だ。サーバの詳細情報をリスト化して、CPUスペック別やOSのバージョン別などに整理していくことにより、コロケーションの作業の目安を作ることができる。

図4:Systems Insight Managerによる資産情報の把握(サーバ情報取得の例)
そして、サーバの状況をある程度把握できた時点で、x86サーバの標準化を行えないかを検討してみるのがよいだろう。
まず、x86サーバの管理手順などを統一化し、先述の管理ツールなどを活用することで、管理面での強化を行うことをお勧めしたい。その際に、サーバの標準や推奨OSなどの基準を作っておいて、製品の購入や運用がいたずらに複雑化しないように配慮することも必要だ。これらの作業は、コンソリデーションのロードマップの1番目となる。
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著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社 森田 宏
テクニカルセールスサポート統括本部IAサーバ技術部 部長。
1995年にコンパック(現日本ヒューレット・パッカード)へ転職後、一貫してx86サーバProLiantの技術支援に従事。HPの技術支援部隊を率いる傍ら、新製品の技術的な啓蒙を中心に活動を続ける。現在は「ブレードサーバ」と「仮想化技術」の導入促進に取り組む。
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