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リッチクライアントの現状と今後の動向
リッチクライアントの現状と今後の動向

第2回:リッチクライアントの市場調査結果
著者:野村総合研究所  田中 達雄   2005/3/14
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ファットクライアントの移行ニーズ

   一方、現在使用しているファットクライアントの移行ニーズについて調査したところ、将来リッチクライアントへ移行したいと回答したのは、全体の約24%であった。また、リッチクライアントのメリットを理解している方の中で、ファットクライアントからリッチクライアントへ移行したいと考えている方は34.7%に達し、HTMLクライアントからの移行ニーズの約1.5倍となった(図7)。
ファットクライアントの移行ニーズ
図7:ファットクライアントの移行ニーズ


   ファットクライアントをそのまま使うという割合は約30%強とHTMLクライアントの結果(約50%強)より大幅に下回り、現在のファットクライアントをリッチクライアントもしくはHTMLクライアントの何らかに移行したいと考えている回答者が多いとの結果が得られた。

   リッチクライアント製品を提供しているベンダーもファットクライアントをターゲットに拡販活動を行うべきであろう。

   次にファットクライアントからリッチクライアントへ移行したいシステムの種類であるが、第1位が「非Webシステムの社内基幹系業務システム」で約26.6%、第2位が「非Webシステムの社内情報系システム」で約23.3%であった。これもリッチクライアントへ移行したシステムの詳細(図4)の傾向と同じ結果となっている(図8)。

ファットクライアントからリッチクライアントへ移行したいと回答したシステム詳細
図8:ファットクライアントからリッチクライアントへ移行したいと回答したシステムの詳細


   これらの結果からも、ファットクライアントを使っているアプリケーションシステムは現在のWeb化という大きな流れがあるにも関わらず、ユーザビリティを重視するがゆえにHTMLクライアントへ移行できなかったアプリケーションシステムが多く、リッチクライアントを機にWeb化を進めたいとの潜在的ニーズが多くあることがうかがえる。


将来のリッチクライアント比率
   以上の結果から、リッチクライアントへの移行ニーズは、HTMLクライアントよりファットクライアントの方が高く、若干ではあるが社内基幹系業務システムの移行ニーズが社内情報系システムと比べて高いことがわかる。一般に、基幹系業務システムは情報系システムと比べ、短時間で多くの処理をいかに効率よく行うかを問われるシステムが多い。この結果は、その傾向を反映しているとも言える。

   また、これまでの結果を総合して、将来(2〜3年後)における各クライアント技術の割合を推定したものが図9である。リッチクライアントの割合は、現在の14.4%から約28%へと増加し、HTMLクライアントは約30%と変わらず(これは、ファットクライアントからの移行分とリッチクライアントへの移行分が相殺されるため)、ファットクライアントは約14%減少して約25%になると予想される。

将来のクライアント技術
図9:将来のクライアント技術


   今回の調査結果から、リッチクライアントへの移行ニーズは高く、リッチクライアントは今後ますます普及していくものと考えられる。

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野村総合研究所
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


INDEX
第2回:リッチクライアントの市場調査結果
  リッチクライアントに関するのアンケート調査内容
  これから何をリッチクライアントにしたいのか?
ファットクライアントの移行ニーズ
  リッチクライアントのメリット/デメリット