|
|
リッチクライアントの現状と今後の動向 |
第2回:リッチクライアントの市場調査結果
著者:野村総合研究所 田中 達雄 2005/3/14
|
|
|
前のページ 1 2 3 4
|
|
リッチクライアントのメリット/デメリット
|
このように、今後ますます増加すると考えられるリッチクライアントであるが、実際に導入する際には、他のクライアント技術に対するメリットとデメリットをよく吟味しなければならない。特に、新しい技術が登場する際には、そのメリットばかりが強調される傾向があり、デメリットについてはあまり表に出てこないので注意が必要である。
では、リッチクライアントのメリット/デメリットについて、ユーザおよび開発者はどのように見ているのだろうか。以下では、その調査結果を紹介する。
|
リッチクライアントの特徴
|
図10は、アプリケーション開発において重要と思われる33項目に対して、回答者に「重要と思うか」という質問と「リッチクライアントに優位性があるか」という質問を同時に質問した結果であり、横軸に「アプリケーション開発における重要性」、縦軸に「リッチクライアントの優位性」を配置した図である。
|
図10:リッチクライアントの優位性 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
|
例えば、「6. 配布に手間がかからない」という項目の場合、"アプリケーション開発において重要視されており、かつリッチクライアントに優位性がある"ということになる。
図10では、アプリケーション開発においてあまり重要視されていない項目については、リッチクライアントに優位性があってもあまり意味がないとの見方をし、アプリケーション開発において重要視されている項目だけを重点的に評価することにする。
この調査の結果、リッチクライアントは、「配布に手間がかからない」、「利用者の生産性が向上する」、「入力時の利便性が高いUIを実現できる」など、まさにリッチクライアントの特徴とも言える項目で優位性があると評価された。
また、この結果から、クライアントアプリケーション開発時に重要視されやすいリッチクライアントが劣っていると考えられている項目として、「工期が見積もりづらい」、「開発手法や設計方式が確立されていない」、「開発ツールが整備されておらず、(開発の)生産性が低い」といったものがあることがわかった。
2004年5月発表時点のリッチクライアント調査結果で、リッチクライアントは確かに高度なUIを実現でき、利用者の生産性を向上させ、配布の手間もかからないといったメリットを備えるが、その反面、現状では開発手法や設計方式が未整備であり、また、開発ツールやデバックなどの開発環境も未成熟であると評価されている。「現時点ではどうなっているのか?」という点については、現在主要ベンダーへのヒアリングを予定しており、第4回で後述したいと思う。
|
前のページ 1 2 3 4
|
|
|
|
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所 田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。
|
|
|
|