TOP設計・移行・活用> パッケージファイル
リッチクライアントCurlの特徴と導入実態
リッチクライアントCurlの特徴と導入実態

第3回:Curlアプリケーションの公開
著者:セントラル・コンピュータ・サービス  松永 俊思
2005/5/30
前のページ  1  2   3  4  次のページ
パッケージファイル

   Curlアプリケーションの開発においてパッケージファイルは非常に重要な役割を担っています。パッケージファイルはクラス、変数、プロシージャなどのオブジェクトを格納しており、インポートして様々なアプレットで使うことができます。

   パッケージファイルを活用することはCurlアプリケーションの開発・実行において様々なメリットをもたらします。1つはソースコードの共有化です。複数のアプレットで共通したソースコードの部分を1つのパッケージとして扱うことで、開発生産性・品質・保守性の向上をもたらします。また実際の実行時に、複数のパッケージファイルを持ったアプレットの場合は、使うパッケージのみをダウンロードして実行させることができるため、ダウンロードとメモリ展開の効率化をはかることができます。

   また重要なポイントとして、パッケージファイルはプリプロセスパッケージファイルにできることです。これはSurge Lab IDEでプリプロセスをおこなえば変換できます。プリプロセス、つまりは中間コンパイルをおこなうことです。実行時のコンパイル処理を事前におこなっておくことで、クライアントの処理速度の向上をはかれます。またプリプロセスしたパッケージは圧縮構造になっているため、ダウンロードの時間を短縮することに繋がり、ソースコードを隠蔽できる状態にもなります。

   このようなパッケージファイルはクライアント側の処理を開発する局面で威力を発揮します。一方、Curl言語自体も複数のコンポーネントで構成されており、これをCurl標準パッケージと呼びます。つまりCurlの各種APIはパッケージファイルで提供されており、開発ではこのパッケージファイルをインポートして活用することができます(注1)。

注1: 基本的なCurl標準パッケージは自動的にインポートされており、これを暗黙的なパッケージといいます。Curl言語のAPIやアプレットとWebブラウザの対話を可能にする機能がこれにあたります。


パッケージの作成

   では簡単にですが、パッケージファイルの作成手順について説明します。Surge Lab IDEのファイルメニューから「新規」を選択して「新規ファイル」ダイアログを表示させます。「パッケージ」を選択し、ファイル名、格納ディレクトリ、パッケージ名を入力してOKボタンを押します。

パッケージファイルの作成
図2:パッケージファイルの作成
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   パッケージファイルには他のパッケージファイルのインポート、Curlソースコードファイルのインクルードなどを記述します。パッケージファイルが作成できたら、アプレット(start.curl)にパッケージファイルのインポートの記述({import * from tpack})をおこない、パッケージ名(tpack)を指定します。


デプロイメント

   Curlアプリケーションが完成しましたらWebに公開し、アプリケーションの配布となります。まずは、デプロイメントを実行して公開用のファイルを作成します。Surge Lab IDEを使ったCurlアプリケーションのデプロイメントは表2の手順でおこないます。

  1. デプロイメントターゲットの定義
  2. コンポーネントターゲットの設定
  3. 各ターゲットでリソースをどのように扱うかを指定

表2:デプロイメントの実行手順

   Curlの随時接続コンピューティング機能(OCC)を使うアプリケーションの場合は、このデプロイメント時にアーカイブファイルの準備をおこないます(通常のデプロイメント機能ではなく、OCC用のデプロイメント機能で生成します)。


(1)デプロイメントターゲット定義

   デプロイメントのターゲット名はファイルを出力するフォルダ名に関連付けられています。なお、Surge Lab IDEが書き込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Webサーバに直接アクセスが可能な場合はWebサーバに直接ファイルを配置できますが、直接アクセスが不可能な場合は一度ローカルディレクトリに生成してから、FTPなどを使ってWebサーバに転送します。

   デプロイメントのターゲットの定義はSurge Lab IDEのプロジェクトメニューから「ターゲット設定の編集」を選択して開く「プロジェクトのプロパティ」ダイアログでおこないます。ここで、追加または設定ボタンを押して「ターゲット設定」のダイアログで、ターゲット名と生成先のディレクトリを指定します(図3)。

デプロイメントターゲット定義
図3:デプロイメントターゲット定義
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ターゲット名を複数指定した場合はプロジェクトメニューの「現在のターゲット」に利用可能なデプロイメントターゲットの一覧が表示されて、アクティブなターゲットにはチェックがついています。ここでアクティブなターゲットの切り替えをおこなうことが可能で、開発用や本番用などと目的に応じて切り替えることができます(図4)。

アクティブなターゲット
図4:アクティブなターゲット
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

前のページ  1  2   3  4  次のページ


セントラル・コンピュータ・サービス株式会社
著者プロフィール
セントラル・コンピュータ・サービス株式会社  松永 俊思
メインフレーム、クライアントサーバ、Webシステムと基幹系から情報系アプリケーションシステム開発を実施。また、開発支援パッケージとして「MagicAnswer for Notes」(NotesDomino設計要素解析ツール)の製品監修を担当。2002年より営業に転じ、企業の情報システム課題に対する提案を進めている。Curlは次世代アプリケーション像として、2004年より取り扱う。問い合わせE-mail:curlsales@ccs.co.jp


INDEX
第3回:Curlアプリケーションの公開
  はじめに
パッケージファイル
  (2)コンポーネントターゲットの設定
  デプロイメントの実行