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ブレードサーバによる仮想化テクノロジーの活用
ブレードサーバによる仮想化テクノロジーの活用

第3回:仮想化テクノロジーの動向と未来
著者:日本ヒューレット・パッカード  森田 宏   2006/2/27
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サーバの統合とサーバの仮想化

   第3回目はサーバのコンソリデーション(統合)の次のフェーズになる、サーバの台数を減らしてサーバの利用率を高める仮想化の動向とテクノロジーを紹介する。

   従来は1台のx86サーバ上に1つのOSという形で使用することが当たり前だったところを、サーバの仮想化によって1台のx86サーバ上に複数のOSを動作させることもできる。

   サーバの統合を行うときに、いわゆるシステム拡張やシステムダウンへの対応として、本連載の「第2回:ブレードサーバの仕組みと管理ツール」で紹介したようにブレードサーバを導入することはよい方法である。

   しかしブレードサーバはシステムの拡張をより容易に行えるので、サーバの統合で実現しようとしている目的と逆行する可能性がある。すなわち、アプリケーションのニーズが発生するごとにサーバを追加してしまい、リソースの低いサーバをかえって増加させてしまうのだ。

   多くのアプリケーションは現状のx86サーバのパフォーマンスと比べ、それほどリソースを必要としない。そのようなアプリケーションが数多く存在しており、それぞれにサーバを割り当てることはリソースの利用効率の上でよいとはいえない。

   そこでx86サーバでもスケールアップのアプローチをとって、1台のサーバ上で複数のアプリケーションや環境を混在させるようなニーズがでてきている。

   その際に有効なテクノロジーとして脚光を浴びているのが仮想化ソフトウェアである。これによりシステムのハードウェア使用率を最大化できるのである。


x86サーバの仮想化ソフトウェア

   x86サーバで仮想化を実現する仮想化ソフトウェアでは、1台のサーバ上でリソースの許すかぎり、複数の仮想サーバおよびOSが共存できる。複数の仮想サーバは、おのおの独立したサーバとして利用できるので、異なる種類やバージョンのOSが混在した環境を1台のサーバ上で実現可能だ。

   この際に、仮想化ソフトウェアを導入して仮想サーバ上でOSを動作させる環境と区別するために、従来のようなOSを直接サーバ上で動作させているサーバやサーバそのものを一般的に物理サーバと呼ぶ。

   また仮想サーバは1台の物理サーバと同等に利用できるだけでなく、自身のアプリケーションとOS、およびファイルなどの環境を独立したファイルとして保持できる。従って仮想サーバ環境を利用しない場合には、ファイルとして保管しておき必要になったときのみ起動して利用するような使い方も可能となる。

   「普段はほとんど利用されないが、そのサーバをなくすことができない」というような場合には有効なソリューションとなる。

   図1の例では、仮想化ソフトウェアを使用して物理サーバであるブレードサーバを3つの仮想サーバに分割し、それぞれ独立したサーバとして機能させたものだ。

仮想化ソフトウェアを使用したホストブレードサーバのイメージ図
図1:仮想化ソフトウェアを使用したホストブレードサーバのイメージ図

   また仮想化ソフトウェアは、インストールしているホストサーバのデバイスを仮想化して、比較的昔からよく使われている物理デバイス環境を持つサーバとして仮想サーバを提供する。

   これにより、古いOSで利用できないような最新の物理デバイスを持つホストサーバ上に仮想化ソフトウェアをインストールして、古いOSを利用することもできるのだ。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社  森田 宏
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社  森田 宏
テクニカルセールスサポート統括本部IAサーバ技術部 部長。
1995年にコンパック(現日本ヒューレット・パッカード)へ転職後、一貫してx86サーバProLiantの技術支援に従事。HPの技術支援部隊を率いる傍ら、新製品の技術的な啓蒙を中心に活動を続ける。現在は「ブレードサーバ」と「仮想化技術」の導入促進に取り組む。


INDEX
第3回:仮想化テクノロジーの動向と未来
サーバの統合とサーバの仮想化
  仮想化ソフトウェアの特長
  VMware ESX ServerとVMware GSX Serverの違い
  仮想化ソフトウェアの今後の動向