アンケートから見るSOX法の対応状況
各企業の対応姿勢
取り組みを「開始」している企業の比率は高いが、一方でその取り組み「姿勢」については、横並び意識が強く、消極的な意見が目立った。
米国上場日本企業の場合、SOX法への対応に関する考え、「多少のコストを掛けてでも高いレベルを確保したい」と回答した企業が8社中5社、「あまりコストを掛けずに必要最低限レベルを確保したい」という回答は0であった。
一方の米国非上場企業では、日本版SOX法への対応の考えが、「他社(同様など)と同等レベルを確保したい」と答える企業が47%と全体の半分程度を占め、次いで「あまりコストを掛けずに必要最低限のレベルを確保したい」が37%となっている。
各企業の懸念事項
SOX法対応に関しての不安事項のアンケートを集計してみると、文書化が大変であることについての認識が高く、セミナーなどにおける刷り込みが進ん でいるようである(図4)。日本版SOX法への対応負担については、「非常に大きい」と「大きい」と回答した企業を合わせると81%もの回答になる。あわ せて、特に難しいと思われる事項について聞いたところ、「統制の文書化」をあげる回答が多く、実に61%にのぼった。
米国上場日本企業との比較では、米国上場企業が「内部監査」や「業務の継続的改善」など、運用段階の事項への回答が多いのに対して、米国非上場企業日本企業はまだ準備初期段階にしか注意がいっていないように感じる。
懸念される問題
アンケート結果および複数社とのディスカッションを総合すると、米国で課題となっていたSOX法対応の作業負荷については、ある程度解決できると考えられる。
また、日本版SOX法の実務基準で当初からリスクアプローチが採用される予定であり、多くの企業が取り組みをはじめている。その取り組み状況につい ては、いきなり文書化作業を開始するのではなく、パイロットプロジェクト的にはじめることで、作業負荷を見積もり、効率的な文書化方法について検討してい るようである。