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LUISを使ってChatbotに日本語を理解させる

2018年1月26日(金)
樋口 勝一
連載6回目となる今回は、マイクロソフトが提供する言語解析AIを用いて、Chatbotに日本語を「理解」させてみる。

ChatbotにLUISを実装する

LUISアプリケーションが完成したところで、ChatbotからLUISを利用する方法を紹介しましょう。

LUISアプリケーションの発行

まずは、Azureの「Cognitive Services」にLUISを利用するためのAPIを作成します。Azureにサインインし、「新規」-「Cognitive Services」からAPIを作成します。作成するAPIのタイプは「Language Understanding(LUIS)」を選択します。

Azure Cognitive ServicesにAPIを作成(1)

Azure Cognitive ServicesにAPIを作成(1)

Keysを選択して、2つあるキーのうち、どちらか一方を取得しておきます。

Azure Cognitive ServicesにAPIを作成(2)

Azure Cognitive ServicesにAPIを作成(2)

次に、LUISの管理画面に戻り、LUISアプリケーションを外部から呼び出して利用できるように発行を行います。画面上のメニューから「PUBLISH」を選択します。

  • Publish to : Production
  • Timezone : Tokyo
  • North America Regions

この設定で「Add Key」をクリックします。表示されたダイアログで、「Tenant name」はLUISアプリケーションのApp Idを、「Key」はAzureで作成した「Cognitive Services API」の名前をそれぞれ選択します。その後「Add Key」をクリックして確定します。

キーの割り当て

キーの割り当て

管理画面を確認すると、Azureで作成したCognitive Services APIのKeyが自動的に読み込まれています。

最後に忘れずに「Publish to production slot」をクリックして、アプリケーションの発行を行います。

APIとの接続が成功しているか確認してみましょう。画面下部の「Chatbot201707_LUIS」の「Endpoint」のURLをクリックします。

Endpointの確認

Endpointの確認

URLの最後に「ビーフカレーをください」と日本語で追加して参照します。成功していれば、json形式のデータが表示されます。queryが「ビーフカレーをください」の場合に、LUISによって「intent=Order」「entity=ビーフカレー」のように言語解析されています。LUISアプリケーションとCognitive Services APIが、適切に接続できていることが確認できました。

Endpointのテスト結果

Endpointのテスト結果

Chatbot201707への実装

AIが利用できる環境が整ったところで、開発中の「Chatbot201707」にLUISの機能を実装してみましょう。C#からLUISを呼び出すときに必要となるのが、LUISアプリケーションの「Application ID」とAzure Cognitive Services APIの「Key」となります。「Application ID」は管理画面の「SETTINGS」から確認できます。

Application IDの確認

Application IDの確認

Azure Cognitive Services APIの「Key」は管理画面の「PUBLISH」にある、「Chatbot201707_LUIS」の「Key string」から2つのKeyが確認できます。いずれか一方だけで構いません。

Keyの確認

Keyの確認

Visual Studioで「Chatbot201707」を開き、Dialogsフォルダーに、空白のクラスファイル「ChatDialogs.cs」を追加します。ダイアログの中からLUISを呼び出します。

リスト1:ChatDialog.cs

using System;
using System.Threading.Tasks;
using Microsoft.Bot.Builder.Dialogs;
using Microsoft.Bot.Builder.Luis;
using Microsoft.Bot.Builder.Luis.Models;

namespace Chatbot201707.Dialogs
{
    [LuisModel("取得した Application ID", "取得した Key")]
    [Serializable]
    public class ChatDialog : LuisDialog<string>
    {
        [LuisIntent("")]
        public async Task None(IDialogContext context, LuisResult result)
        {
            await context.PostAsync($"申し訳ありません注文内容がわかりません。");
            context.Wait(MessageReceived);
        }

        [LuisIntent("Order")]
        public async Task GetOrder(IDialogContext context, LuisResult result)
        {
            EntityRecommendation entity = result.Entities[0];
            string order = entity.Entity;
            context.Done(order);
        }
    }
}

個別に注意すべきポイントを見ていきましょう。

参照設定

ダイアログを利用するので「Microsoft.Bot.Builder.Dialogs」を追加し、LUIS呼び出しに必要な「Microsoft.Bot.Builder.Luis」と「Microsoft.Bot.Builder.Luis.Models」を追加しておきます。

[LuisModel("取得した Application ID", "取得した Key")]

LUIS呼び出しに必要な「Application ID」と「Key」を設定します。

[Serializable]

Chatbotではお約束なので忘れずに。

public class ChatDialog : LuisDialog<string>

普通のダイアログと異なり、「LuisDialog」インターフェースを実装します。ダイアログの戻り値はユーザーが入力した文字とするのでstring型を指定しておきます。

[LuisIntent("")]

LUISアプリケーションの実行結果として、Intentが空の場合は、該当するIntentがなかったということで、エラー処理としてメッセージを表示します。

[LuisIntent("Order")]

「Order」Intentに該当した場合の処理を記述します。

EntityRecommendation entity = result.Entities[0]

今回のサンプルではEntityは一つだけですが、設定内容によっては複数返ってくることがあります。そこで、配列の一つとしてEntityを受け取ります。

string order = entity.Entity

注文内容からEntityにマッチした文字列(ビーフカレー)を取得します。

context.Done(order)

ダイアログを終了して、Rootダイアログに戻ります。戻り値として注文内容を返します。

続いて、ChatDialogsを呼び出すために、RootDialogを修正します。

リスト2:RootDialog.cs

using System;
using System.Threading;
using System.Threading.Tasks;
using Microsoft.Bot.Builder.Dialogs;
using Microsoft.Bot.Connector;
using System.Collections.Generic;

namespace Chatbot201707.Dialogs
{
    [Serializable]
    public class RootDialog : IDialog<object>
    {
        private List<string> menuList = new List<string>() { "ランチコース", "カレー", "ドリンク", "デザート", "終了" };

        public Task StartAsync(IDialogContext context)
        {
            context.Wait(HelloMessage);
            return Task.CompletedTask;
        }

        private async Task HelloMessage(IDialogContext context, IAwaitable<object> result)
        {
            await context.PostAsync($@"いらっしゃいませ!ご注文を伺います。

(メニューをご覧になる場合は「メニュー」と入力してください。)");

            context.Wait(MessageReceivedAsync);
        }

        private  async Task MessageReceivedAsync(IDialogContext context, IAwaitable<IMessageActivity> result)
        {
           var activity = await result;
            switch (activity.Type)
            {
                case ActivityTypes.Message:
                    var message = activity as IMessageActivity;
                    switch (activity.Text)                    {
                        case "メニュー":
                            MenuMessage(context);
                            break;
                        default:
                            await context.Forward(new ChatDialog(), ChatResumeAfterDialog, message, CancellationToken.None);
                            break;
                    }
                    break;
            }
        }

        private void MenuMessage(IDialogContext context)
        {
            PromptDialog.Choice(context, SelectDialog, menuList, "ランチメニューをお選びください。");
        }

        private async Task SelectDialog(IDialogContext context, IAwaitable<object> result)
        {
            var selectedMenu = await result;
            switch (selectedMenu)
            {
                case "ランチコース":
                    context.Call(new LunchDialog(), LunchResumeAfterDialog);
                    break;
                case "カレー":
                    context.Call(new CurryDialog(), CurryResumeAfterDialog);
                    break;
                case "ドリンク":
                    context.Call(new DrinkDialog(), DrinkResumeAfterDialog);
                    break;
                case "デザート":
                    context.Call(new DessertDialog(), DessertResumeAfterDialog);
                    break;
                case "終了":
                    await context.PostAsync("ご注文を承りました。");
                    context.Wait(HelloMessage);
                    break;
            }
        }

        private async Task LunchResumeAfterDialog(IDialogContext context, IAwaitable<string> result)
        {
            var lunch = await result;
            await context.PostAsync($"ランチコースは {lunch} ですね。");
            MenuMessage(context);
        }

        private async Task CurryResumeAfterDialog(IDialogContext context, IAwaitable<CurryFormQuery> result)
        {
            var curry = await result;
            var topping = "";

            for (int i = 0; i < curry.Topping.Count; i++)
            {
                topping += " " + curry.Topping[i];
            }

            await context.PostAsync($@"カレーは {curry.Curry.ToString()} ですね。

ライスは {curry.Rice.ToString()} ですね。

サイズは {curry.Size.ToString()} ですね。

トッピングは {topping} ですね。

");
            MenuMessage(context);
        }

        private async Task DrinkResumeAfterDialog(IDialogContext context, IAwaitable<string> result)
        {
            var drink = await result;
            await context.PostAsync($"お飲み物は {drink} ですね。");
            MenuMessage(context);
        }

        private async Task DessertResumeAfterDialog(IDialogContext context, IAwaitable<string> result)
        {
            var dessert = await result;
            await context.PostAsync($"デザートは {dessert} ですね。");
            MenuMessage(context);
        }

        private async Task ChatResumeAfterDialog(IDialogContext context, IAwaitable<string> result)
        {
            var chat = await result;
            await context.PostAsync($"ご注文は {chat} ですね。");
            MenuMessage(context);
        }
    }
}

修正箇所だけピックアップしています。ここでも注意すべきポイントをチェックしていきましょう。

HelloMessage

これまではユーザーから入力があった場合、最初にPromptDialogでメニューを表示していましたが、LUISを利用するために、直接注文を入力するか、メニューを表示するかを選択できるようにしています。

MessageReceivedAsync

ユーザーから入力された文字列が「メニュー」の場合は、これまで通りMenuMessage メソッドを呼び出してPromptDialogでメニューを表示します。

await context.Forward(new ChatDialog(), ...)

その他の文字列の場合はChatDialogを呼び出します。ChatDialogが終了した時には、ChatResumeAfterDialogメソッドを実行します。ChatDialogにはmessageでユーザーからの入力文字列を渡しています。

ChatResumeAfterDialog

ChatDialogからの戻り値=カレーの注文を受け取り、確認メッセージを表示します。

エミュレーターで動作を確認してみましょう。

エミュレーター上で動作を確認する

エミュレーター上で動作を確認する

ユーザーから直接入力された文字列に対して、LUISの言語解析によって注文内容を識別しているのが確認できました。

以上、Chatbotに言語解析のAIを搭載することで、Chatbotをさらに成長させることができました。今回のサンプルは、LUISの使い方としてはとてもシンプルなものですが、ここから様々な機能追加をすることで、より使いやすいChatbotとして育てることができます。AzureのCognitive Services にはこの他にも、画像認識や、音声認識など様々なAIが提供されています。引き続きこれらのAIを実装して、Chatbotを成長させていきましょう。

GMOインターネット株式会社 Windowsソリューション チーフエグゼクティブ

GMOインターネットでWindowsのサービス開発運用に関わって16年、数年単位で進化し続けるMicrosoftのWindowsは新しもの好きにはたまらない製品です。自動販売機に見たことのないジュースがあれば、迷わすボタンを押します。そんなチャレンジが僕の人生を明るく、楽しくしてくれています。

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http://www.onamae-server.com/vps/hyperv/

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