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オープンソースXenによるサーバ仮想化 |
第2回:Xenでわかる仮想マシンソフトウェア
著者:平 初 2006/1/20
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XenとVMware ESX Serverの違い
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Xenは他の仮想マシンソフトウェアと比べて何が違うのでしょうか。
今回はサーバ向け仮想マシンソフトウェアで代表的なVMware ESX Serverと比較してみたいと思います。
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Xen |
VMware ESX Server |
動作環境 |
x86、x64、 IA-64アーキテクチャ上 |
x86、x64アーキテクチャ上(ESX認定サーバが必要) |
管理OS |
Linux、NetBSD |
VMware ESX Server専用OS |
ゲストOS |
Linux、Solaris、FreeBSD、NetBSD、OpenBSD、Plan9、Windows全般(注1) |
主要Linuxディストリビューション、 Windowsサーバ全般、NetWare、FreeBSD |
高可用性 |
Live migration |
主要Linuxディストリビューション、Windowsサーバ全般、NetWare、FreeBSD |
運用容易性 |
XenOptimizer、xensv |
VMware Virtual Center、 VMware Web Management Interface |
表2:XenとVMware ESX Serverの比較
※注1:
Intel Virtualization Technology対応のCPU上で動かした場合のみ動作します。
それでは、アーキテクチャ、管理OS、ゲストOS、高可用性、運用容易性について比較していきます。
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アーキテクチャ
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表1の動作するアーキテクチャを見るとXenの方が多くのハードウェアで動作可能なことがわかります。現在のところ、Pentium系(x86アーキテクチャ)とItanium系(IA-64アーキテクチャ)の両方で動作可能なサーバ向け仮想マシンソフトウェアはXenだけです。
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管理OS
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管理OSとしてはXenの場合、LinuxとNetBSD(注2)が選択できます。これはオープンソースであるからこそ可能なのです。管理者が使い慣れたOSや言語で好きなようにカスタマイズすることが可能です。
VMware ESX Serverの場合、管理OSはRed Hat Linuxをベースにカスタマイズしたものが提供されます。またVMware社から提供されているものしか利用できません。管理スクリプトとしてPerlが提供されていますが、PHPやRubyは提供されておりません。
※注2:
NetBSDは、現在Xen 2.0用のみで利用可能です。Xen 3.0用は移植途中です。
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ゲストOS
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先ほども説明したように、Xenは疑似仮想化を行う仮想マシンソフトウェアであるため、OSに修正を加えることができないWindowsの場合、そのままでは動作しません。しかし、Intel Virtualization TechnologyやAMDのPacificaといったCPUの仮想化支援技術を利用することで動作可能です。
またVMware ESX Serverでは動作対象外のSolarisがXenで動作するのは、Xenの強みだといえます。
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高可用性
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ゲストOSを動作中のまま他のサーバへ引き継ぐという機能は、VMwareVMotionの方が有名ですが、XenでもDomain migration機能のLive migrationを行うことで同等以上のことができます。
VMware VMotionの場合、FC接続の共有ディスクが必須ですが、XenではFC接続の共有ディスクの他にNFSやiSCSIを利用することが可能です。つまりネットワーク回線さえあればいいのです。
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運用容易性
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運用容易性に関しては、現在までの実績が高いVMware ESX Serverが勝っているといえます。VMware Virtual Center、VMware Web Management Interfaceなどの管理ツールのインターフェースは非常に洗練されています。
現在、Xenツールとして標準で配布されているxensvは基本的な作業しか行うことができません。ただしオープンソースであるため必要な機能を追加し、改善していくことは可能です。
XenSource社がXenOptimizerというWebブラウザベースのXen管理ソフトウェアを作成したため、一般にも普及すれば運用容易性は高まると思われます。
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まとめ
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今回はXenを用いて、サーバ向け仮想マシンソフトウェアの動きを解説しました。
次回は「自宅で試せる仮想インフラ」と題し、サーバ向け仮想マシンソフトウェアXenをインストールする手順を解説します。
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著者プロフィール
平 初(TAIRA Hajime)
仕事では、Linuxを中心としたシステムのコーディネーション、技術サポート、仮想マシンソフトウェアのデモンストレーションなどを行っている。オープンソースの活動としては、Open Source Conference、Fedora JPの勉強会などで講師、またLinux関連書籍の執筆活動を行っている。最近は、サーバ向け仮想マシンソフトウェアXenの勉強会を積極的に行っている。
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