イベント・セミナー 2025 14

日本初開催の「KubeCon+CloudNativeCon Japan 2025」、ボランティア視点で運営の裏側をちょっとのぞいてみた話

日本初開催の「KubeCon+CloudNativeCon」を裏方として支えた著者が、ボランティアだから見えた運営の雰囲気や現場のリアルをゆるく振り返ります。

鯨井 貴博(くじらい たかひろ)

12月3日 6:30

はじめに

こんにちは!「KubeCon+CloudNativeCon Japan 2025」運営ボランティアリーダーの鯨井貴博(くじらい たかひろ)です。今回は、日本で初開催されたKubeCon+CloudNativeCon Japan 2025について、運営ボランティア目線でレポートします。

KubeCon+CloudNativeConとは

KubeCon+CloudNativeConは、毎年北米・ヨーロッパやその他地域で開催され、Kubernetes・クラウドネイティブによる最新技術に関するセッションやコミュニケーションが行われるカンファレンスです。

●KubeCon+CloudNativeCon公式サイト(英語)
https://www.cncf.io/kubecon-cloudnativecon-events/

KubeCon+CloudNativeCon Japan開催への道のり

これまで北米・ヨーロッパを中心に開催されているKubeCon+CloudNativeConですが、いきなり日本開催が実現したわけではありません。2022年12月に横浜で、2024年8月に有明で開催された「KubeDay Japan」、CNCJ(Cloud Native Community Japan)によるローカルコミュニティベント「Kubernetes Meetup Tokyo」といった勉強会など、日本国内におけるKubernetes・クラウドネイティブに関する盛り上がりや地道な招致活動によるものです。

そして、2025年6月17日(月)〜18日(火)の2日間、日本初開催となるKubeCon+CloudNativeCon Japan 2025が東京・お台場ヒルトンにおいて開催されました。

●KubeCon+CloudNativeCon Japan 2025
https://events.linuxfoundation.org/kubecon-cloudnativecon-japan/

イベントチケット約1,500枚は事前にソールドアウトとなり、イベントへの期待の高さが伺えました。

また、6月13日(金)には「KeycloakCon Japan」、6月15日(日)にはCNCJによる「Japan Community Day」、6月18日(水)には「OpenSSF Community Day Japan2025」「FinOps X Day Tokyo」が併催イベントとして開催されました。

ボランティア運営チームについて

さて、本イベントのボランティア運営チームですが、Linux Foundation主催イベントである「Open Source Summit Japan」の運営ボランティアコミュニティとCNCJメンバーによる混合チームとなります。

前者は2000年代後半からLinuxカーネル関連イベントを運営してきたコミュニティで、後者は日本におけるクラウドネイティブ普及のために活動をするのコミュニティです。

メンバー構成はリーダー2名、サブリーダー2名、メンバー約40名というものでした。

運営ボランティアのタスク

6/13(金):会場下見

この日は、同じ会場で併催イベントのKeycloakCon Japanが開催されていました。KubeCon+CloudNativeConというイベント自体も日本初開催ですが、今回の会場であるお台場ヒルトンでの開催も初めてとなるため、会場の下見を兼ねて参加しました。

チェックしたかったポイントは、セッションやスポンサーブースの設置が予定されている部屋やスペースの確認、各部屋の音響関連・空調温度などのチェック、受付やノベルティ配布場所でした。

6/15(日):会場準備 Day0

この日は、いよいよ会場内の設営開始です。設営するのは、受付・イベントノベルティ(Tシャツ)配布場所・ボランティアスタッフルームとなります。受付ではイベント本番で参加者が身に付けるバッジとストラップ、Day1後に行われる懇親会のドリンクチケットを配布するためのセッティングを行いました。また、設営完了後には国内・海外からの参加者を想定して受付対応の練習を実施しました。

イベントノベルティ(Tシャツ)配布場所では、1,500枚あるTシャツをサイズ・タイプごとにレイアウトしていきました。数が多いので、流れ作業で進めました。

そして、ボランティアスタッフルーム。こちらでは運営用のWi-Fiとプリンターを設置しました。その後、翌日からの本番に備えて会場内のキーノートやブレイクアウトセッションが行われる各部屋・スポンサーブースの配置など、会場全体のレイアウト確認を行いました。

これで会場準備(Day0)は終了。いよいよ翌日の16日からイベント本番です。

6/16(月):イベントDay1

いよいよ初日となるDay1の開幕です。イベント受付開始の8:00に間に合うように、メンバーは7:30にボランティアスタッフルームへ集合しました。集合後、朝礼で担当業務の配置や注意事項などを改めて連絡します。しかし、1,500人という非常に大規模イベントのため、メンバー全員に緊張感が感じられました。

そして8:00。ついにイベントオープンです。朝早いということもあり、出だしは落ち着いた雰囲気で始まりました。しかし、それも束の間。日本初開催・チケットソールドアウトという期待の高さが表すように時間が経過するにつれ、来場される参加者は増加していき、受付にも長めの行列が出来始めました。

キーノート(基調講演)の開始時間となる9:30が近づく中、主催者であるCNCFスタッフと相談し、列に並んでいる参加者はキーノート後に受付をしてもらうという対応で事なきを得ました。受付、およびそれに関わる行列整理を担当してもらったボランティアスタッフは大変だったと思いますが、その頑張りに大変助けられました。

キーノート会場として、ステージのあるメインルームと中継を投影するサテライトルーム2部屋が用意されていたのですが、もちろん満員。私もこれまで様々なイベント運営やイベントへの参加をしてきましたが、一番の盛り上がりでした。

キーノート後は、休憩(コーヒーブレイク)のタイミングに合わせてスポンサーブースがオープンしました。数十のブースが設置され、どのブースも多くの参加者が紹介されているサービスや製品について説明を聞いたり、技術的なディスカッションが活発に行われていました。スポンサーブースでは各社のノベルティグッズ配布も行われていましたが、想定以上の参加者の反響に“グッズがものすごい勢いでなくなっていく”といううれしい悲鳴を多くのブース担当者から聞きました。

なお、スポンサーブース向けにボランティアスタッフはブースを訪れた参加者数をカウントするバーコードリーダーの配布を担当しました。

同じタイミングでイベントノベルティ(Tシャツ)の配布も開始され、こちらも多くの参加者から“桜の柄とTOKYOとプリントされたデザインが良い”という声が聞かれました。

その後は、ブレイクアウトセッション(300名ほどが座れる部屋)が複数並行する形で行われました。ボランティアスタッフは、各部屋で参加者の誘導・登壇者の投影補助・タイムマネジメント(開始の合図、残り時間の掲示など)・参加者数のカウント・QAのマイクというタスクを複数名で対応しました。

また、昼食時には通常のランチボックス(お弁当)と併せてベジタリアン用・グルテンフリー用のランチボックスも用意されるのですが、その配布や食事場所への誘導などもボランティアスタッフで対応しました。

イベントは夕方までブレイクアウトセッションが続き、17:30からは参加者全員によるネットワーキング(懇親会)が開催されました。ネットワーキングにはボランティアスタッフも参加し、参加者とのコミュニケーションを楽しみました。

Day1ボランティアスタッフの集合写真

6/17(火):イベントDay2

Day2はボランティアスタッフの集合時間は7:30、8:00開始の受付から担当業務が始まりましたが、Day1で多くの人が受付などを済ませていることもあり、比較的余裕を持った対応で進めることが出来ました。

キーノート、ブレイクアウトセッション、各スポンサーブースはDay1と同様にとても盛況でした。スポンサーブースでは、Day1でなくなってしまったノベルティグッズが多めに補充されていたのが印象的でした。

Day2最後のブレイクアウトセッションが近づく頃になると、早くも片付け(撤収)作業が開始されます。受付・ボランティアスタッフルームなど、各所では設置したものの解体・箱詰めを行っていきますが、イベントノベルティ(Tシャツ)配布場所では片付けと並行して余ったTシャツの追加配布も行われました。

Day1ボランティアスタッフの集合写真

良かった点・改善したい点

まず良かった点としては、何よりも日本初開催・多数の参加者という中で無事にイベントを終えられたことだと思います。それぞれの担当業務をしっかりと対応してくれたボランティアスタッフには、本当に感謝しかありません。また、ボランティアスタッフのシフト管理としてOSSツールの「プリザンター」を活用したのですが、安定して運用できたことも良かったです。

続いて改善したい点ですが、初開催のイベント・初めて利用する会場ということもあり、レイアウトが把握しづらかったり、追加で誘導が必要な箇所が発生したりと、余裕をもったメンバー数の確保などに課題を残しました。

おわりに

私自身、過去最大規模のイベント運営となりましたが、全体を通して大きく成長することが出来ました。残った課題については次回開催での円滑な運営に活かしていきたいと思います。また、この記事を読んで「ぜひ運営ボランティアをやってみたい!」という方がおりましたら、来年の横浜で一緒に良いイベントを作っていきましょう!

●KubeCon+CloudNativeCon Japan 2026(2026年7月29~30日 横浜開催)
https://events.linuxfoundation.org/kubecon-cloudnativecon-japan-2026/

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