「競合するAWSとGoogle Cloudが同じ接続仕様に乗った」――エクイニクスの「Fabric One」が示すマルチクラウド接続の現在地
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- エクイニクスが、分散化したクラウド・ネットワーク・AI環境の接続を簡素化するマネージド型のAny-to-Any接続サービス「Equinix Fabric One」を発表。利用企業は接続したい対象と要件を指定するだけで、必要な接続をFabric Oneが判断し自動的に提供する
- AWSとGoogle Cloudが共同で策定したオープンソースの「OpenAPI 3.0 Interconnect」仕様を採用。アプリケーションやAIエージェントが人手を介さず、プログラムによって接続の検出・要求・プロビジョニングを実行できるようになる
- ポータル、API、自動化ワークフロー、エージェントベースのリクエスト、自然言語プロンプトのいずれからでも指定でき、ルーティング・クラウド接続・暗号化・冗長化・フェイルオーバーのオーケストレーションと運用管理を単一のマネージドサービスが担う。2026年後半にベータ提供、北米で2027年中の一般提供を予定
📝 Think IT編集部の見解 📝
この発表で見逃せないのは、製品そのものよりも、その土台にあるOpenAPI 3.0 Interconnectという仕様の存在だ。
クラウド事業者間の接続仕様は、これまで各社が個別に定義してきた。AWSにはDirect Connect、Google CloudにはPartner Interconnect、Azureには ExpressRouteがあり、それぞれ手順も概念も異なる。マルチクラウドを組む企業は、その差分を埋める作業を自前で引き受けるか、SIerに委託するしかなかった。競合する2社が共同でオープンソースの接続仕様を策定し、GitHubで公開しているという事実は、この状況が変わりつつあることを示している。
なぜ変わるのか。AWSのネットワークサービス担当バイスプレジデントの発言に手がかりがある。顧客が複数のクラウドやAI環境間の接続方法を自ら考える必要はなく、要件を定義するだけでよい、という主張だ。裏を返せば、接続の煩雑さが原因でマルチクラウドやAIワークロードの展開が遅れることは、クラウド事業者にとっても機会損失になっているということだろう。接続仕様の差別化がもはや競争優位にならず、むしろ市場全体の成長を妨げる段階に入ったという判断が透けて見える。
インフラエンジニアの実務に引き寄せると、IDCのアナリストが指摘する「ネットワークは依然として、設計と運用の多くを手作業に依存している企業インフラストラクチャ領域の1つ」という現状認識が刺さるのではないだろうか。サーバーもストレージもコードで扱えるようになった一方、拠点とクラウドをどうつなぐかという部分は、いまだに申請と調整と手作業の世界に残っている。Fabric Oneが目指すインテント駆動型のアプローチは、この最後の領域に自動化を持ち込もうとするものだ。
もっとも、実際に使えるのはまだ先である。ベータ提供が2026年後半、一般提供は北米で2027年中とされており、日本国内での提供時期は公表されていない。エージェント型アーキテクチャへの移行を前提とした設計思想は先進的だが、現時点では構想の段階と受け止めるのが正確だ。
なお、同社は同じイベントで「Equinix Inference Exchange」も発表している。こちらはNVIDIAとTogether AIとの協業による企業向けAI推論基盤で、本誌が8月に取り上げたIBMとTogether AIの推論クラスター構築と同じ方向を向いている。接続と推論の両面からAIインフラを押さえにいく動きとして、あわせて見ておきたい。
📰 リリースまとめ 📰
エクイニクス、マネージド型Any-to-Any接続サービス「Equinix Fabric One」を発表
ローバルなデジタルインフラストラクチャ企業であるエクイニクス(Nasdaq:EQIX、日本法人代表取締役社長:小川久仁子)は2026年9月3日、分散化したクラウド、ネットワーク、AI環境の接続を簡素化するマネージド型のAny-to-Any接続サービス「Equinix Fabric One」を発表した。同社初の顧客およびパートナー向けイベント「Equinix Horizon」での発表となる。
AI時代のネットワークの複雑化に対応するために開発されたEquinix Fabric Oneは、AWSとGoogle Cloudが策定したオープンな接続仕様を活用し、分散化したクラウド、AI、および企業環境間の相互運用性を実現。利用企業は接続したい対象と要件を指定するだけで、Equinix Fabric Oneが必要な接続を判断し、自動的に提供する。
エクイニクスの最高製品責任者であるクリス・オーディ氏は「これまで企業ネットワークは、依存するパートナーやサービスプロバイダーごとに個別の接続を構築する形で運用されてきました。しかし、動的で柔軟かつリアルタイムな接続を求める分散AIの世界では、その手法はもはや拡張性に限界があります」と述べ、同サービスが顧客の意図に基づいて分散アーキテクチャ全体の接続を自動管理すると説明している。
背景——接続のたびに発生するネットワークプロジェクト
企業はより多くのクラウド、AIプロバイダー、パートナー、拠点との接続を必要としている。そのたびに新たなネットワークプロジェクトが発生し、専門知識や部門横断的な調整、継続的な運用管理が求められる。この複雑さが導入を遅らせ、インフラストラクチャがビジネス要件に迅速に対応することを難しくしている。
IDCのクラウドおよびデータセンター部門シニアリサーチディレクターであるアンドリュー・バス氏は「ネットワークは依然として、設計と運用の多くを手作業に依存している企業インフラストラクチャ領域の1つです。企業は、分散したクラウドおよびAI環境における接続の構築や管理を簡素化し、自動化する方法を積極的に模索していますが、その変革の実現は依然として大きな課題です」とコメントしている。
利用方法とオーケストレーション範囲
利用企業は、ポータル、API、自動化ワークフロー、エージェントベースのリクエスト、あるいは自然言語プロンプトを通じて必要事項を指定するだけで済む。ルーティング、クラウド接続、暗号化、冗長化、フェイルオーバーなど、必要な機能のオーケストレーションと運用管理は、単一のマネージドサービスとしてEquinix Fabric Oneが自動的に担う。
Equinix Fabric Oneは、10,500社を超える相互接続企業、約3,000社のクラウドおよびITサービスプロバイダー、さらに上位10社のAIモデルプロバイダーのうち8社、上位10社のネオクラウド事業者のうち9社が利用するエクイニクスの中立的な接続基盤の上に構築されている。
AWSとGoogle Cloudが共同策定したオープン仕様を採用
Equinix Fabric Oneはオープンな接続仕様を採用しており、AWSとGoogle Cloudが共同で策定したオープンソースの「OpenAPI 3.0 Interconnect」仕様を活用している。これにより、分散したAI、クラウド、企業環境において選択肢と相互運用性を維持できる。企業がエージェント型アーキテクチャへ移行する中、アプリケーションやAIエージェントは人手を介さず、プログラムによって接続の検出、要求、プロビジョニングを実行できるようになる。
AWSのNetwork Services担当バイスプレジデントであるロバート・ケネディ氏は「お客様が複数のクラウドやAI環境間の接続方法を自ら考える必要はありません。必要な要件を定義するだけで、それが実現されるべきです」と述べ、接続の複雑さを引き受けるマネージドサービスによって顧客がAIワークロードに集中できるとしている。
Google Cloudのクラウドネットワーキング部門エンジニアリング担当バイスプレジデントであるロブ・エンズ氏は「クラウドをまたぐ相互運用性はAI時代を支える基盤です。私たちは、企業がマルチクラウドネットワークの複雑さを管理する必要がなくなるよう、このオープンなインターコネクト仕様の策定に参画しました」とコメントしている。
提供時期
Equinix Fabric Oneは2026年後半にベータ提供を開始し、まず北米市場で2027年中の一般提供開始を予定している。
なお同社はEquinix Horizonにおいて、企業のAIインフラストラクチャ展開を加速する「Equinix Inference Exchange」も発表している。
📎 一次情報・関連リンク 📎
- エクイニクス・ジャパン プレスリリース(PR TIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000048280.html
- Equinix Fabric One 製品ページ(英語):https://www.equinix.com/product-solutions/connectivity/fabric/one
- OpenAPI 3.0 Interconnect(GitHub):https://github.com/aws/Interconnect
- Equinix Inference Exchange 発表:https://newsroom.equinix.com/2026-09-03-NVIDIA-Together-AI-AI
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