Eucalyptus の機能とコンポーネント
ストレージ管理機能
クラウドを構成する大きな機能として、ストレージ管理機能があります( 図8 )。これはHTTPでアクセスできるストレージで、Amazon Web Services では実質容量無制限ですが、Eucalyptusの場合は構築した環境に依存する物理的な制限があります。ストレージにはバケットと呼ばれるディレクトリや、オブジェクトと呼ばれるファイルがあり、任意の形式のファイルを置くことができます。インスタンスから利用可能ですが、Eucalyptus では最も大きな利用方法として、インスタンスイメージの置き場所にこのストレージ機能を使用しています。
図8:ストレージ管理(クリックで拡大) |
Amazon EC2/S3 とEucalyptus との違い
クラウド利用者から見たAmazon EC2/S3 とEucalyptus の機能について説明してきました。ここまで挙げたAmazon EC2/S3 とEucalyptus の機能には大きな違いがなく、クラウド利用者としては同じものとして両方のクラウドを利用できます。ただし、パブリッククラウドとプライベートクラウドの違いから、いくつかのAPI はEucalyptus では利用できません。特に大きな違いは、課金やモニタリングに関するAPI です。Amazon EC2/S3 ではイメージが利用されることでイメージ作成者が報酬を得ることができる製品イメージの機能や、S3 からファイルをダウンロードすることで課金される有料バケットなどがありますが、Eucalyptus ではこれらの課金API は実装されていません。また、Amazon ではAmazon のWeb サイトと連動して動作するインスタンスのモニタリング機能がありますが、Eucalyptus ではクライアントとしてのWeb が提供されていないため、モニタリングAPI も実装されていません。
Eucalyptus とAmazon EC2/S3 のAPI について機能ごとに差分をまとめた表を、 表1に示します。
表1 Amazon EC2/S3 とEucalyptus の違い
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Eucalyptusのインストールから設定、APIの利用方法やマシンイメージの作成方法などを丁寧に解説。AWSとの連携など、今後のトレンドであるハイブリッドクラウドやインタークラウド(クラウド相互互換)についても言及。GoogleやAmazonなどが提供するクラウド環境を社内インフラを用いて独自に構築できる。
羽深 修/志田 隆弘/田中 智文
(NTTデータ先端技術株式会社)著
価格:3,990円 (本体 3,800円+税)
発売日:2011年5月25日発売
ISBN:978-4-8443-3025-7
発行:インプレスジャパン