BlackBerryの利便性
Always On, Always Connected, and Long Battery Life
BlackBerryは、前述の独自プロトコルを用いて、常時BESと通信が行える状態を維持します。つまり、社内で利用しているPCと同様に、常時ネットワークに接続された環境であると理解していただいて構いません。これを、RIMでは「Always On、Always Connected」というキャッチ・フレーズで表現しています。
この「常にネットワークと接続されている」ということが、どの程度の便利さをもたらすかについて、直感的には分かりづらい部分があるかと思います。
一番大きな利点は、BlackBerry端末にデータがリアルタイムにPush(プッシュ)配信されてくる、という部分です。常にネットワークにつながっていれば、サーバー側はクライアントに対してリアルタイムにデータを送信する、つまり“Pushする”ことが可能になります。
また、Pushによって常に最新のデータが端末上に存在することは、大きな利便性を生みます。例えば、地下鉄で電車を待っている時や電車内にいる時であったとしても、「メールの確認を行いたい!」と思い立った瞬間に、即メールの確認が行えます。
一般的なモバイル・ソリューションのような、ネットワークに接続するための操作や接続の待ち時間といったものをカットすることができるので、短時間で大量のメールを処理することができます。
さらに、端末内の各種情報(ブックマークやアイコンの配置、オプショ ンの設定値など)も、すべて自動的に同期されるので、端末を新機種に移し替えても、新しい端末で今までと同じ使い勝手を実現できます。
なお、常に通信が可能な状態でさまざまなデータを同期しているということで、電池の持続時間が短くなるのではないかと懸念される方もいるかと思います。
しかし、BlackBerryの通信は、端末側からサーバー側に定期的にポーリングを行わず、また前述の独自のプロトコルを用いるため、余計なパケットを発生させない仕組みとなっています。これにより、一般的な利用で1日~2日は充電なしで利用できます。
導入事例
国内において、BlackBerryの導入は、主に外資系の企業から始まりました。欧米での企業利用が先行していたため、2006年にBlackBerry 8707hをリリースしてからの1年間は、欧米の本社に続くかたちで日本法人への導入が多くみられました。さらに、BlackBerry 8707hの日本語化やBlackBerry Bold 9000のリリースにより、国内の主要企業での導入も増えてきました。
特に、金融系(銀行、証券、保険など)、監査法人、医薬系においては、セキュリティの高さを理由にBlackBerryの採用が進んでいます。製造、大手商社、流通、小売りなどでは、データ通信量の少なさを理由に、海外出張が多い社員を中心に展開が進んでいます(ローミング料金を抑えるため)。
国内の代表的なユーザー事例について、採用に至った経緯などの詳細情報を、図3に示しました。国内での利用も徐々に浸透してきており,現在約4200社(2010年2月時点)で採用/利用されています。採用理由としては、利便性もさることながら、セキュリティの高さに重点が置かれることが多いです。
次回は、BlackBerry Enterprise Solutionのセキュリティ機能について、詳細を解説します。
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