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マイクロソフト主催のContainer X mas Partyで知るKubernetes導入のリアルな現実

2019年2月20日(水)
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
日本マイクロソフトは、自らホストするセミナーでKubernetesをベースにしたユーザー事例を公開した。

MSのエバンジェリストが語るKubernetes

その後に登壇したマイクロソフトの真壁徹氏は「ダイハードin the Kubernetes World」と題して、セッションを行った。かつてはHPEでOpenStackのエバンジェリストであった真壁氏らしく、OpenStackとKubernetesの比較、Kubernetesで苦労した部分としてKubernetesが壊れる際のポイントなどを解説した。

Kubernetesのクラスタートラブルを解説

Kubernetesのクラスタートラブルを解説

このスライドで真壁氏が紹介したのは、以下の公式ドキュメントだ。

A general overview of cluster failure modes

多くのトラブルの内容とその対応方法を紹介した真壁氏だが、Kubernetesによってこれまで出来なかった運用が可能になったことを紹介した。ここでは特に、パブリッククラウドサービスを始めとして多くの選択肢があることを説明し、チャンレンジすることを恐れないで欲しいと語った。

Kubernetesによって可能になった新しい運用の方法論

Kubernetesによって可能になった新しい運用の方法論

Fringe81が実践した「頑張らないKubernetes」

最後に登壇したのはインターネット広告を運用するFringe81の森本氏だ。「頑張らないKubernetes/Real World Kubernetes」と題したセッションは、Kubernetesに詳しいエンジニアがいないという状況で、いかにKubernetesを導入したのか?という内容だ。

Fringe81がKubernetesを導入した広告配信サービス

Fringe81がKubernetesを導入した広告配信サービス

Kubernetesの導入に際しては、現行のDockerベースのシステムの運用があまりにマニュアル主体であったため、デプロイ、リソース管理、障害時の対応が非常に困難であったという反省から始まったという。

Kubernetes導入前のシステム

Kubernetes導入前のシステム

Kubernetesの導入によりデプロイ、リソース管理、障害時の対応が容易になることを目指したという。

Kubernetes導入後の想定

Kubernetes導入後の想定

ただし前提として、Kubernetesに対する知識、経験がない、運用するシステムの性能に関する要求がシビアであるという中での導入ということで、リスクの少ないシステムから導入を行ったと説明した。

広告配信プラットフォームの中でも手を付けやすい部分に適用

広告配信プラットフォームの中でも手を付けやすい部分に適用

ここでタイトルである「頑張らないKubernetes」という意味が明らかになった。つまり頑張って経験を積んだ上でKubernetesを導入するのではなく、経験が少ない状況でも導入できたことを共有したかったということだろう。

導入されたKubernetesの構成概要

導入されたKubernetesの構成概要

導入されたシステムはAzure上のマネージドサービスであるAKSで、2018年6月にGAとなったサービスだが、Fringe81のサービス開発が5月から7月だったという時期的な状況とも重ね合わせると、ギリギリのタイミングでGA直後から利用しているということになる。

ローカルの開発環境、ステージング環境、本番環境というシンプルな構成をそのままネームスペースに割り当てて、それぞれの構成情報をYAMLで管理しているというところはマニュアル通りだ。

クラスター構成は3つ。それぞれのステージごとにネームスペースを用意

クラスター構成は3つ。それぞれのステージごとにネームスペースを用意

マニフェストの管理は、非常に多くのYAMLファイルを管理しなければいけないということで、上海のKubeConでも注目されたKustomizeを利用しているという。Kustomizeに関しては、以下の記事の後半を参照いただきたい。

参考:KubeConChinaで見たKubernetesエコシステムを支えるツールたち

マニフェストの管理にKustomizeを利用

マニフェストの管理にKustomizeを利用

他にも監視にはSaaSのDatadogを採用し、GCPやAWSにも適用することで横断的に利用しているクラウドサービスを監視できるという。ここでのポイントは、ベンダーにロックインされないように心掛けているという部分だろう。

監視はDatadogで統一

監視はDatadogで統一

Kubernetesの構成に関して「常にシンプルにすることを目指している」という部分は、とかく複雑と言われるKubernetesの利用についてのヒントになるだろう。これもあまりレガシーなシステムが存在しないベンチャーならではかもしれないが、既存のシステムを切り離してマイクロサービス化、Kubernetes化する際の要点になると思われる。

シンプルであることを目指したシステム構成

シンプルであることを目指したシステム構成

もう一つの知見は、無理してステートフルなシステムをKubernetesに載せようとせずに、一番向いていると思われる部分をシステム化したという部分かもしれない。既存のシステムとの連携は一旦置いておいて、ツールに向いた業務に適用するという「頑張らない姿勢」がよく分かるセッションとなった。

無理せずにステートレスなシステムをマネージドとSaaSで乗り切る

無理せずにステートレスなシステムをマネージドとSaaSで乗り切る

最後に語られた「まだリリース直後のAKSであったが、思っていたよりも問題なかった」という辺りは、マイクロソフトにとってはありがたいエンドースメントだったように思える。パブリッククラウドで先行するAWSを追いかけるマイクロソフトにとって、オイシックスやFringe81が発表したユーザー事例の講演は、心強い応援となったと言える。

思っていた以上にAKSの運用は楽だったという

思っていた以上にAKSの運用は楽だったという

著者
松下 康之 - Yasuyuki Matsushita
フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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