3種類のノードをセットアップ!
MySQL Clusterを構成するノード
今回はMySQL Clusterのセットアップ方法について説明します。MySQL Clusterを構成するノードには「管理ノード」「データノード」「SQLノード」の3種類のノードがあります。
MySQL Clusterにおいてノードとはプロセスのことを指します。MySQL Clusterではこれらのノードが連携してRDBMSの機能を提供するので、各種ノードをすべて適切にセットアップしなければなりません。この中で最初にセットアップするのは管理ノードです。
管理ノードはクラスタの各種設定や管理作業を行うためのプロセスです。データノードの構成情報はすべて管理ノードに含まれているので、クラスタ全体のトポロジを決定するのが管理ノードであると言えます。管理ノードがないとほかのノードを開始することができません。管理ノードの実体はndb_mgmdというプロセスです。
データノードは文字通りデータを格納するためのノードです。メモリ上にテーブルの各行のレコードとインデックス情報を、ディスク上にチェックポイント情報を格納しています。今回のバージョンからはディスクにレコードを格納することも可能です。また、高可用性を保証するためにフェイルオーバーを行うのもデータノードの役割です。ほかのノードからの応答が一定時間ないと、そのノードがダウンしているものと見なし、管理ノードへ通知します。データノードの実体はndbdです。
SQLノードはSQL文を解析してデータノードからデータを取得し、必要に応じて結合やソートなどの処理を施してからクライアントへ結果を返すためのノードで、プロセスの実体はmysqldです。クライアントアプリケーションはMySQLサーバーへ接続することになるため、MySQL Clusterを使っている場合でもほかのストレージエンジンを使っている場合と接続方法は同じです。
今回はSolarisゾーンを使ってこれらすべてのノードを構成します。もし手元に使用できるホストが複数台あるならば、複数のホストを用いてセットアップしてみてください。
管理ノード
管理ノードはクラスタ全体の構成情報を管理します。特にデータノードについてはほぼすべての設定、例えば使用するメモリサイズからディレクトリの場所までを管理ノードが行います。構成情報を記述するファイルは1つだけであり、そのファイルをndb_mgmdへ引数として渡します。
ファイル名は歴史的な理由からconfig.iniというファイルを使用することが多いのですが、名前は別に何でも構いません(以下では便宜上、管理ノードの設定ファイル名をconfig.iniとします)。config.iniの場所を/var/lib/mysqlclusterと仮定すると、ndb_mgmdを起動するコマンドは次のようになります。
shell> ndb_mgmd -f /var/lib/mysqlcluster/config.ini
コマンドの引数は-f /path/to/config.iniだけで、ほかのオプションは必要ありません。すべての構成情報がconfig.iniに記述されているからです。config.iniの場所はmy.cnfの[mysql_cluster]セクションにおいて指定することも可能です。その場合、コマンドライン引数から-f /path/to/config.iniオプションを省くことが可能です。config.iniの中身については次ページで説明します。
ndb_mgmdはデーモンとして起動し、すぐにプロンプトが返ってきます。ndb_mgmdは起動に成功するとデフォルトでTCP/IPの1186番のポートを使用します。netstatなどで確認してください。
管理ノードにアクセスするには、ndb_mgm管理クライアントプログラムを使用します。これはndb_mgmdとは別のプログラム(最後のdがありません)です。ndb_mgmはインタラクティブなCLIプログラムで、クラスタの状態を監視したり起動停止/バックアップなどの各種管理作業を行うためのものです。ndb_mgmは遠隔のホストで動いている管理ノードへ接続することも可能ですが、デフォルトではローカルホストの1186番ポートへ接続を試みます。管理ノードと同じホストで実行する場合には、引数なしで実行すると良いでしょう。
管理ノードは複数のノードを使ってHA構成にすることが可能なのですが、それは必須ではありませんので、今回は説明を割愛します。
管理ノードは最低限各ノードの開始時に存在していれば良いので、HAである必要性はそれほど高くありません。たとえハードウエアが壊れたとしても、同じIPアドレスとconfig.iniがあれば、ほかのマシンで稼働させても問題ありません。また、ndb_mgmd自身は通常低スペックなハードウエアで十分実行できます(20MB程度の空きメモリと800MHz以上のCPUが必要)。ほとんどの場合、古いパソコン程度のハードウエアで間に合うでしょう。
セキュリティー上の脅威を少しでも減らすため、ndb_mgmdはroot以外のユーザーで実行することをお勧めします。今回の例では、mgmゾーンにmgmという名前のユーザーを作成しておきます。mgmゾーンにおいて、以下のような手順でユーザーを作成してください。
shell@mgm# groupadd mgm
shell@mgm# useradd -g mgm -s /bin/bash -d /var/lib/mysqlcluster mgm
shell@mgm# chown mgm:mgm /var/lib/mysqlcluster; passwd mgm
次ページではconfig.iniについて説明しましょう。