OpenFlow ver1.1およびver1.2の追加機能と活用例
4.3 OpenFlow ver1.2での追加機能
2011年12月8日、ONFにおいてOpenFlow ver1.2の仕様書が策定されました。最後にその内容について紹介します。
(参考:1.2 AND PENDING - Open Network Foundatioin)
- ・IPv6のサポート
- IPv4・MPLS・レイヤ2ヘッダに加えて、OpenFlow ver1.2ではIPv6プロトコルについてもサポートの対象となります。IPv6に関するマッチングルールとしては以下の要素が新たに利用することができるようになります。
図5:IPv6で利用できるマッチングルールの追加要素 |
- ・マッチングルールの拡張サポート
- 現在規定済みのプロトコルに加え、将来的に新たなプロトコルが出てきた場合にも柔軟に対応できるようにマッチングルールの拡張が行われています。この拡張により、数多くの要素を組み合わせてのマッチングが可能になります。
- ・実験用の拡張サポート
- ONFによって割り当てられたフィールドやコード番号を利用することで、実験的な用途でマッチングルールを利用することが可能になります。OpenFlowを活用する開発者が増える中で、学術関係者や産業界の開発者が実験用途で利用したりチューニングのために利用したりすることが想定されています。
なおOpenFlow ver1.2の仕様の詳細については、ONF加盟各社の批准プロセスを経た上で一般に公開されることになっています。
OpenFlow ver1.1では ver1.0と比べて複数テーブルやグループ処理といった新たな概念が導入されていました。そのため、ver1.1を理解するためにはver1.0を理解する時の苦労とは別の苦労がありました。OpenFlow ver1.2ではマッチングに利用可能なフィールドの追加、定義の修正が主となっており、新たに理解が必要な概念の追加はあまりなく、ver1.1の知識をベースとしても理解しやすい内容になっています。
4.4 おわりに
本連載では、4回にわたってSDNについての紹介、OpenFlowにかかわる標準化動向、利用例等を紹介してきました。OpenFlowでは、ソフトウェアでネットワークをプログラミングすることで様々なネットワークを実現できます。この特徴が、注目を集める一つの大きな要因と言えます。
サービス事例等を見ると、現在はOpenFlow ver1.0に対応するコントローラやスイッチがベンダ各社から販売開始されている状況です(2012年2月に入ってからもいくつかの製品・サービスが発表されておりOpenFlow対応は広がりを見せています)。商用サービスではデータセンターへの適用を中心に検討が進んでおり、導入事例も見られます。
今後は、データセンター間の連携や広域網への適用が考えられます(OpenFlow ver1.1以降)。どのくらいのスイッチベンダがOpenFlowに対応していくか、新しいバージョン(ver1.2など)の機能がどのタイミングでどの程度実装されていくかが注目すべきところと言えるでしょう。
NTTデータではこれまでOpenFlow ver1.0に沿って、マルチベンダ検証やOpenFlowコントローラの開発を行ってきました。現在では、データセンター間ネットワーク等でもOpenFlow活用ニーズが顕著化してきています。これに対応するためOpenFlow ver1.2(およびそれ以降のプロトコル)に準拠したOpenFlowコントローラの検討を開始しています。
- ※記載されている会社名、製品名、サービス名等は、各社の登録商標または商標です。
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