OSI 7階層参照モデルとは?

2015年4月28日(火)
榊 正憲(さかき まさのり)

OSI 7階層参照モデル

ネットワークをきちんと階層化して定義したものに、OSI参照モデル(Open Systems Interconnection reference model)があります。これは、表に示すように7階層に定義されています。各階層は、次に示すような機能を規定しています。

OSI参照モデル

7アプリケーション層アプリケーション間のやり取り
6プレゼンテーション層データの表現形式
5セッション層接続の手順
4トランスポート層データ通信の制御
3ネットワーク層インターネットワークでの通信
2データリンク層同一ネットワーク上での通信
1物理層ケーブルや電気信号やコネクタなど

アプリケーション層

アプリケーションごとのデータの形式や処理の手順などを規定します。Web、電子メール、ファイル転送などのプロトコルは、この層で規定されます。

プレゼンテーション層

データの表現形式、例えば文字コードの種類や暗号化などを扱います。双方の機器の間で文字コードが違う場合の変換、通信の暗号化と復号といった処理はこの層で行われます。

セッション層

クライアントとサーバーなど、プログラム間の接続手順を規定します。この層により、2つのプログラムの間でデータ交換を行う論理的な通信チャネルが用意されます。

トランスポート層

実際にデータのやり取りを行うプログラムの間でのデータ伝送を実現します。エラーの訂正、データのブロックサイズの違いの吸収(大きなデータを小さなパケットに分割するなど)などはこの層で行います。

ネットワーク層

ネットワーク上の2台のコンピュータの接続を確立します。下位のデータリンク層と同じように見えますが、データリンク層が同じ方式を使った1つのネットワーク上の接続を確立するのに対して、ネットワーク層は相互に接続された複数のネットワークの間、つまりインターネットワークの接続を定めるものです。これらの複数のネットワークは、同じ形式のものであっても、異なるものであっても構いません。

データリンク層

イーサネット、無線LANなど、ネットワークの方式に基づいたメディアアクセス制御(MAC、Media Access Control)や実際のデータ伝送について規定します。つまり、それぞれのネットワーク方式が、どのように通信メディアを使ってデータを伝送するのかを定めています。これにより、LAN上やWAN上の機器の間の通信が実現されます。

物理層

実際のネットワーク媒体(ケーブルなど)の上を流れる電気信号の形式やコネクタなど、個々のネットワーク方式ごとに、ハードウェアにもっとも近い部分を規定します。

ネットワークの解説書などには、必ずこのOSIモデルの説明があります。このモデルは論理的に構築され、ある意味、ネットワークの通信はかくあるべきという理想像を示したものです。実際のネットワークシステム、特に現在主流となっているTCP/IPは、このモデルのように階層化されている訳ではありません。しかし現在のほとんどのネットワークシステムは、この形ではないにせよ、何らかの形で階層化されています。

この記事のもとになった書籍
完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

榊 正憲 著
価格:2,000円+税
発売日:2013年12月19日発売
ISBN:978-4-8443-3511-5
発行:インプレスジャパン

完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

世の中で広く知られているイーサネットとTCP/IP、つまりインターネットや社内LANなどで、標準的に使われているネットワーク方式とプロトコルについて詳しく解説。 各項目については初歩的なレベルから解説し、中級レベルまで掘り下げています。 その過程で、仕組みや原理についてなるべく詳しく、そしてなぜそのような仕組みになっているのか、といったことを説明しています。 「これはこうなっている」という知識だけではなく、「これは何をするために、どのような原理でそうなっているのか」まで、きちんと体系立てて理解できる、ネットワーク初心者必携の1冊です。

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著者
榊 正憲(さかき まさのり)

電気通信大学卒業。プログラミング、システム管理などの仕事のあと、フリーランスで原稿翻訳、執筆などを行う。現在は、有限会社榊 製作所 代表取締役。著書に『復活!TK-80』『コンピュータの仕組み ハードウェア編(上・下)』、翻訳書に『Inside Visual C++ Version 5』(いずれも旧アスキー発行)、『Pthreadsプログラミング』(オライリー・ジャパン)などがある。

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