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  インタビュー

コミュニティの垣根を超えた化学反応を起こしたい―宮原氏に聞くOpen Developers Conferenceの狙いとは

2017年8月4日(金)
鈴木 教之(Think IT編集部)

Think ITの読者で、オープンソースカンファレンス(以降、OSC)のことを知らない人は少ないのではないか。国内屈指のオープンソース関連イベントで、まもなく150回を迎えようとしている。そんなOSCが、13年目にして新たなコンセプト「Open Developers Conference(以降、ODC)」を立ち上げるという。イベントを主催する株式会社びぎねっと代表、宮原 徹氏に狙いを聞いた。

開発者が開発についてオープンに話せる場所を

まずはこれまでのOSCの取り組みについて教えてください

株式会社びぎねっと代表取締役社長の宮原 徹氏、2004年にOSC(オープンソースカンファレンス)を起ち上げた

オープンソースの今を伝えるイベント「OSC」は、2004年9月から始まって今年で13年になります。今月(2017年8月)の京都(OSC 2017 Kyoto)で146回、まもなく150回を迎えようとしています。2000年初頭には、JUS(日本UNIXユーザ会)による「オープンソースまつり」や「KOF(関西オープンフォーラム)」などが開催されていましたが、オープンソースまつりが終了してみんなで集まるものがなくなったため、いろんなコミュニティを集めて実施したのがきっかけですね(編注:KOFは今でも続いている)。今となっては毎晩のように勉強会が開催されていますが当時はそこまで多くはなく、OSCとして場を提供するのでコミュニティのみんなに乗っかってもらおうとスタートしました。

今度のODCはどんなイベントになるのでしょうか

ODCは「Open Developers Conference」という名の通り「開発」のネタを盛り込んだイベントです。以下のようなセグメントをイメージしていて「アプリ・サービス」や「言語・ミドルウェア」の若手の開発者を呼び込みたいと考えています。

OSCとの対比かたみたODC(Open Developers Conference)のセグメント像

OSCはスタートがLinux、OS周りのインフラ系イベントということもあり、もともと開発・言語系の参加者は少ないのです。また、インフラだといろんなネタを広げられますが、開発言語の場合はそのテーマ(言語と関連するフレームワークなど)の中で完結できる傾向にあるように思います。RubyならRuby、といった感じでそれだけで完結していると言いますか。

ODCでは、開発にまつわる共通の部分を、言語やサービスなどの垣根を取り払って交流していくようなカンファレンスにしていきたいです。例えば、エディターの宗教論争のように競合するサービスを比較するようなセッションも歓迎しています。

あと、個人的にはCFP(編注:Call for papers、公募セッション)で選考するのはもったいないという考えを持っています。「OSCは学校」だと思っているので、発表希望は可能な限り全部受け付ける。形式的平等と言いますか、希望者全員が発表することによる気付きを与えていくのが我々のモットーです。例えば基調講演を著名な方にお願いして「貴重なお話ありがとうございました」だけではダメだと思っていて、盛り上がっても化学反応が起きないというか。

今のDevOpsの議論はクラウドがメインの開発サイクルの話になっていますが、もちろんオンプレの世界にもDevOpsの需要はあると思っています。もともとインフラ系の運用(Ops)寄りだったOSCに、開発系のセグメント(Dev)が入って何らかの接点ができれば嬉しいですね。

具体的なコンテンツはどんなものが用意されているのでしょう

先ほどもお伝えしたような言語に寄らない上流工程の設計の話をエークリッパー・インクの羽生さん、DevOpsというキーワードではアリウープ の柏岡さんに登壇していただくことに決まりました。また、MySQL/PostgreSQLそれぞれのコミュニティに登壇してもらったり、チーム内の失敗体験を共有してもらう講演などを用意しています。

他にも、ライトニングトークをテーマ別に1日中開催する「LTソントラック」や、2日目にはODC内で「LLイベント」を実施する「Learn Languages 2017 in ODC」もあります。また、今後は地方開催でもODCトラックを併設していこうと考えています。

最後に参加者に向けたメッセージをどうぞ!

ODCは総合イベントなので、何かの言語やサービスに特化したものではありません。ぜひ、いろんなものを見て学んで、これから自分の得意分野を決めていくうえでの取っ掛かりにしてほしいですね。ODCはオープンソースよりも上位の概念、つまり「オープンソースを扱う開発者と開発という営みを、オープンネスに発表してもらうことが重要」だと思っています、開発者の生き様といいますか。また、ソフトウェアでいうバグ=開発者でいう失敗談、を共有していく場として発展させていきたいですね。

日程:2017年8月19日(土) 10:00~18:00(展示は10:00~16:30)
       8月20日(日) 10:00~18:00
会場:日本工学院専門学校 蒲田キャンパス 3号館7階(JR蒲田駅 徒歩3分)
費用:無料
内容:「開発」「開発者」をキーワードに、様々な最新情報を提供します。
主催:オープンデベロッパーズカンファレンス実行委員会
協力:日本工学院専門学校
企画運営:株式会社びぎねっと

OSC / ODC
著者
鈴木 教之(Think IT編集部)
株式会社インプレス Think IT編集グループ 編集長

Think ITの編集長兼JapanContainerDaysオーガナイザー。2007年に新卒第一期としてインプレスグループに入社して以来、調査報告書や(紙|電子)書籍、Webなどさまざまなメディアに編集者として携わる。Think ITの企画や編集、サイト運営に取り組みながらimpress top gearシリーズなどのプログラミング書も手がけている。

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