サーバー管理の基本
なぜサーバーサイドを学ぶのか
本連載では、普段サーバーサイドの技術に触れる機会の少ないデザイナー、コンテンツ制作者の方々を対象にして、サーバーサイドのさまざまなノウハウを紹介していきます。サーバーサイドというとCGIプログラミングが真っ先に思い浮かびますが、それに関してはほかに優れた書籍や記事が多数ありますので、ここではWebサーバーの設定など管理系の知識を中心にしていきます。
多くの方々は、「ユーザビリティ・アクセシビリティの特集なのにサーバーサイド?」と疑問を持たれるかもしれません。たしかに、これらの要素がコンテンツにより大きく依存します。しかし、コンテンツ制作とサーバー管理の境界領域にある機能を活用すれば、よりユーザーフレーンドリーなWebサイトの実現が可能です。そのためには、コンテンツ制作者もサーバーサイドについて一定の知識を持ち、サーバー管理者と適切にコミュニケーションをとる必要があります。
また、小規模企業ではコンテンツ制作者がサーバー管理まで担当することも多々あります。個人のWebサイトを運営されている方も多いことでしょう。そういった場合は特に、サーバーサイドの知識を持つことでWebサイトの品質を改善し、活動の幅を大きく広げることができます。
この連載では、個人でも気軽にはじめられるように、安価なレンタルサーバーでも活用できる知識を中心に解説していきます。ぜひ実際に試しながら読み進んでいただければと思います。本連載を通して、少しでも多くの方々にサーバーサイドの楽しさを知っていただければ幸いです。
環境を整える
はじめに、必要な環境を簡単にまとめていきます。まずは自由に使えるWebサーバーがないと話が始まりません。会社で開発用・テスト用などのWebサーバーが使えればベストですが、それが難しい場合はレンタルサーバーを利用しましょう。最近は月額1,000円以下で十分な機能を持ったサービスが増えていますので、レンタルサーバー完全ガイド(http://rs.impressrd.jp/)などで自分に合ったものを探してください。実際に契約する際は、後述する「.htaccess」という機能が活用できることを確認しておいてください。
次は、FTPクライアントです。Webサーバーにコンテンツや設定ファイルをアップロードするために使います。コンテンツ制作でも普通に利用するツールですから、もし、なじみのソフトがあればそれで十分です。筆者は、WebブラウザのFirefox上で動作するFireFTP(https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/684)というソフトを常用しています。Firefoxさえ動作すればOSによらず利用できるので、多数のOSを使い分けている方には特にお勧めです。
この連載では必須ではありませんが、SSHクライアントも準備しておくといろいろ役に立つでしょう。SSHはインターネット経由でWebサーバーのシェル(Windowsでいうコマンドプロンプトのようなもの)にアクセスするためのプロトコルで、Webサーバー上で自由にコマンドが実行できます。サーバー管理には必須のツールです。
Windows用にはPuTTY(http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/)というソフトが有名です。インストール方法や使い方などは、こちら(http://j.tedia.jp/?p=373)を参照ください。また、九州工業大学学生自治ネットワーク委員会のこちらのページ(http://www.club.kyutech.ac.jp/support/manual/putty.html)もとてもわかりやすく解説しています。
MacやほとんどのLinuxディストリビューションではコマンドラインのSSHクライアントが標準でインストールされているので、新たにソフトをインストールする必要はありません。ターミナル(Macなら「/アプリケーション/ユーティリティー」の中にあります)を起動して以下のコマンドを入力すれば、サーバーにログインできます。
ssh ユーザー名@SSHサーバーのホスト名
レンタルサーバーによっては、事前にログインするPCを登録するなどの準備が必要な場合があります。詳細はサービスの運営業者に問い合わせてください。