モバイルWebの可能性と未来
モバイルWebはますますデザイン・リッチ化が進む
モバイル制作の最新トレンドでは、リッチ化するサイト表現に特徴があります。モバイルサイトでも凝ったデザイン表現ができるようになってきたこと、モバイルユーザーからもデザインサイトが支持されていることを第1回(http://www.thinkit.co.jp/article/145/1/)でもご紹介しました。では、この先のモバイルWebはどの方向へ向かっていくのでしょうか。
最新のサイト表現の中でも、Flashや動画に見るような、特にリッチでインタラクティブな表現に、ユーザーの人気は集中してきています。画面解像度/ブラウザ/通信スピードなどの端末のスペック向上によって、まだ十分とは言えないながら、モバイルでもかなりこだわったデザイン表現が可能になってきました。
デザインの自由度の高いFlash Liteが、モバイルで導入しやすくなったことも、表現の幅を広げるのに一役買っています。Flashは表現の自由度があるだけでなく、比較的軽いデータサイズで作成できることもモバイルサイトに適しています。
また、Flash Liteの研究を進めている企業も多く、データベースから動的に表示ができるようなエンジンも開発されています。これはモバイルWebでのユーザビリティを上げるには有効です。さらに、Flashでの動画(FLV)も、データサイズを考えると動画表現を扱いやすくなり、伸びていきそうです。Flashをうまく取り入れていくのが今後のモバイル制作のポイントの1つになりそうです。
端末の機能向上は、実際にどんどん進んでいます。画面解像度はVGA(640×480px)サイズへと搭載端末が本格化してきます。また、物理的な画面サイズも大きくなっていきます。全面タッチパネル化による、大画面の新しい端末の登場が今後予定されています。
端末デザインでは、iPhone的なタッチパネルタイプが1つの流れを作っていきそうです。全面タッチパネルのユーザビリティに関しては、ブラインドタッチができない等、モバイル・パワーユーザーからは賛否両論の声もありますが、画面が大きくなることで、モバイルサイトのデザイン表現が豊かになってくることも期待できると思います。
インターフェースのデザインという観点でも、iPhoneはモバイルサイトのデザインに影響を与えていきそうです。
本格的なモバイル・ブロードバンド時代がやってくる
携帯の通信スピードについては、現在の3G端末も少しずつ早くなってきています。2008年になり7.2Mbpsは実現できています。これは一昔前のパソコン並のスピードということになります。最近の端末では、画像を多用しているモバイルサイトを閲覧する場合でも、表示にあまりストレスを感じなくなってきていると思います。
第4世代携帯(4G)という話題も、チラホラとでてくるようになりました。3G携帯の発展系と言われる「Super3G」、そして「4G携帯」は、実用化へ向けて研究開発が進んでいます。早ければ2010年には、「Super3G」の商用化が実現し、携帯でも最大速度100Mbps以上の世界が訪れます。モバイルにも本格的なブロードバンドの時代がやってきます。
4G携帯であれば、技術的には最大1Gbpsの高速通信が可能でしょう。1Gbpsのスピードはパソコンでも未体験ですから想像がつきにくいのですが、かなりのリッチコンテンツでもストレスフリーで提供できるスピードになると予想されます。
大容量の高速データ通信が可能となれば、PCサイトがそうであったように、ますますリッチコンテンツ化に向かうのは間違いがないでしょう。制作的にはサイズを気にせず、いろいろな表現ができます。高速通信となるとリッチ表現の中でも、特に動画への可能性が広がってきます。携帯で高画質ムービーをいつでもどこでも楽しめる感覚です。
例えば、ムービーで商品を確認しながらショッピングが楽しめるモバイルECショップがあったらどうでしょう。まるでTVショッピングのようですが、想像しただけでワクワクしてきます。高画質ムービーをリアルタイムでやりとりするような、モバイルならではのリッチコンテンツに注目が高まっていきそうです。