「自分から主体的につながりをつくる」 川口耕介氏講演あり クリエーションライン社「Engineering All Hands」開催レポート
メインイベントの「OST」
自ら話題やつながりを生み出す
続いて、今回の目玉企画であるOSTが開幕した。OSTは「Open Space Technology」の略(以下、OST)で、「自分からつながりをつくり、オープンなディスカッションを通して学びを得る」ことを目的としている。OSTは「オープニング」「テーマ出し」「マーケットプレイス(参加セッションの選択)」「セッション(ディスカッション)」の4ステップで進めていく。
OSTと通常のディスカッションとの違いは「参加者駆動型」であることだ。参加者駆動型とは「話したい」と思ったテーマを自ら出し、どのように参加するかなど、全て自分達で決めていく。自分達にとって一番学びにつながりそうだと思うテーマでディスカッションを行い、主体的により多くの学びを持ち帰るられることがOSTの特徴だ。
OSTの価値は、この場で会話を楽しむことも一つだが、後日「そういえばあの人、こういうことが得意だって言っていたからちょっと聞いてみよう」と、その場限りでない関係性が継続していくことにもある。枠組みや最低限のルールはあるが、指示や命令はなく、自ら考えて行動する場だ。
セッションまでの流れは次のとおりだ。
- オープニング
参加者を1箇所に集め、OSTのルールや目的を理解する - テーマ出し
話したいテーマを考え、テーマ、名前(ホスト)、ファシリテーションは苦手等を書きこむ - マーケットプレイス
似たようなテーマは統一するなど、全体の時間を調整したタイムテーブルをつくる - セッション
1ターン30分、計4ターンのセッションを行う
ここで、OSTのセッションへの参加方法を説明する。テーマを出した本人が中心となって話題を進めていく「ホスト」。そこに参加する「参加者」。ホストが話の進め方に困っていたら、話題を振るなど「参加者」も話題を盛り上げて良い。また、いろいろなテーブルを行き来しながら「ここではこういう話をしていました」と情報媒介する「ハチ」や、1つのテーブルに滞在することなく、常に色々なテーブルを回り話題を聞く「チョウ」も良い。チョウ同士が話すことで新しい話題やテーマが生まれるなど、それぞれ自分の好きなスタイルを選ぶことができる。
話題のきっかけは、自己紹介・筋トレ・好きなアニメなどなんでも良い。参加しているセッションでなく、別のセッションが気になり心ここにあらずな「キリン」にならぬよう、自分からつながりをつくることに積極的に参加して欲しいと説明があり、OSTは始まった。
さまざまなテーマで
50ほどのセッションが開催
テーマ出しが始まると、はじめこそ周りの様子を伺っていた参加者たちが、1人また1人と紙に自分の話したいテーマを書き込み発表していった。時間いっぱい、同じ人が2回も3回も発表し、マーケットプレイスに入りきらないほどのテーマが集まった。
セッションの開始時間が近づくと、決めたセッションの会場に向かう人、時間ギリギリまで吟味してセッションを選択する人、ひとまずセッション会場へ行き、さまざまなセッションを見て回ろうという人たちに分かれ、大賑わいに。参加者が集まったセッションでは、開始と同時にテーマ出しをしたファシリテーターにより早速議論がスタート。どのセッションでも黙っている人は皆無で、積極的な議論が繰り広げられていた。
主催者によると、本イベントは社内エンジニア向けとは言うものの、実際に面識のない者同士のケースも多いとのこと。そんな中でもOSTが大盛況だったことは、初対面でも「同じ会社に属している者同士」という安全空間であること、コミュニケーションの重要性をしっかり認識できていること、コロナ禍でなかなか人と会うことができなかったことからの開放感など、さまざまな理由があったのだろう。
今回の「Engineering All Hands」は、クリエーションラインでも初の試みのようだ。参加者の表情や会場の雰囲気から見て、大成功だったのではないか。ぜひ来年、再来年と回数を重ね、同社の名物イベントとして開催され続けてほしい。
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