AIで開発が加速する時代、品質保証はどう変わる? Tricentisが示すAIエージェント活用の実像
2026年9月15日〜16日に開催された「インプレス AI Days 2026」より、Tricentis Japan合同会社のセッションレポートを紹介する。
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提供:Tricentis Japan合同会社
生成AIやAIエージェントの普及でソフトウェア開発が加速する一方、品質保証やテストの現場には新たな負荷が生じている。「インプレス AI Days 2026」に登壇したTricentis Japanの土川弘晃氏は、開発工程からテスト工程へ移りつつあるボトルネックの構造変化と、同社が提唱する「AI Workspace」を活用した品質保証のあり方を解説。AI時代においてQA(品質保証)担当者の役割がどう変化していくのかを示した。
AIで開発が速くなるほど「テスト」がボトルネックになる
ソフトウェア品質保証のソリューションを提供するTricentisは、グローバルで3000社以上の導入実績を持つ。同社のポートフォリオは、テスト計画や欠陥・レポーティング管理を行う「qTest」、テスト自動化を支援する「Tosca」、負荷テストの「NeoLoad」、データ整合性テストの「Data Integrity」など、テストプロセス全体を幅広く網羅している。
セッションの冒頭、Tricentis Japanの土川弘晃氏は、「エージェント型AIは、すでに『検討段階』を過ぎたと思います」という認識を提示した。各種調査データによると、2年以内にエージェント型AIの導入を計画する企業は74%に達し、2026年中に全体の約3分の1で複雑なアプリケーション処理を担い、同年第4四半期までに大企業の90%が何らかのエージェント型AIを稼働させると予測されている。土川氏は「導入の可否を議論するのではなく、AIが存在する前提で業務や体制を再構築する段階に来ています」と強調する。
こうした変化に伴い、品質保証業務の領域は以下の3つに再編され、経済性や構造も変容しつつある。生成AIの活用により専門知識が民主化され、テスト設計や分析、改善提案といった文書化可能な領域をAIが代替し始めている。一方で、テスト業務の実行現場には依然として手作業が多く残っている。開発側がAIによって高速化するほどテスト側との速度差が開き、リリース頻度の高まりとともに未検証領域を残すリスクの許容度も低下する。結果として、品質保証には従来以上のスピードと正確性が求められる。
ここで生じるのが、ソフトウェア開発におけるボトルネックの移動である。従来は複雑な要件を設計・実装する「作る工程」に最もコストがかかっていた。しかし、生成AIによって開発速度が飛躍的に向上した結果、ボトルネックは「大量に生成されたコードや変更点をいかに検査し、安全な成果物としてリリースできるか」というテスト工程へと移ったのである(図1)。
「これからは、どれだけ速く作れるかではなく、作ったものをどれだけ早く安全にリリースできるかが差別化の要因になります」(土川氏)
人がツールを操作するQAから、AIエージェントを統制するQAへ
テストが新たなボトルネックとなる中、品質エンジニアリングのあり方も転換期を迎えている。従来の運用では、熟練した担当者がqTestやTosca、NeoLoadといった各種ツールを直接操作して検証を進める形が一般的であった。
生成AIの登場は、この構造に第一の変革をもたらした。人間とツールの間にAIが介在し、長文の仕様書やコードの要約、テスト仕様の生成などをAI経由で行うスタイルである。Tricentisでも、AIモデルと外部システムやデータソースを安全に接続するためのオープンなプロトコルであるMCP(Model Context Protocol)を導入し、手元のAI環境から直接同社ツール群へアクセスできる連携基盤を構築している。
そして、自律的に動くAIエージェントの導入により、構造はさらに進化する。ツール操作の主体が「AIを使う人間」から「AIエージェント」へと移行するためだ。人が逐一指示を出さずに作業が完結する一方、今度は「AIエージェントをどこで作成・実行し、どのように意図しない動作やデータアクセスを統制(ガバナンス)するか」が新たな課題となる。
この課題に対してTricentisが提示するのが「AI Workspace」である。AI Workspaceは、AIチャット、AIワーク管理、QEエージェントビルダー、AIナレッジベース、AIエージェントマネージャーのほか、全社規範やセキュリティ・監査機能までを備えた統合環境として機能する(図2)。
「AIエージェントの作成、自律的ワークフローの管理、そして適切な統制をワンストップで提供するのがAI Workspaceです」(土川氏)
同基盤は、エンタープライズ利用に耐えうるセキュリティや再現性、監査証跡を保持しつつ、重要な局面で人間が介入できる「ガードレール」を備えている点が特徴である。
仕様変更を検知し、20件超のテストケースを自動生成するデモ
AI Workspaceによって品質保証作業はどこまで自動化できるのか。土川氏は、GitHubとqTestを連携させたデモを披露した。
デモのアーキテクチャでは、GitHub上のMarkdownファイルで管理されている仕様書をAI Workspaceが監視する。仕様書に変更が加わると、AI WorkspaceがGitHubとqTestの要件データを突き合わせ、差分要件を抽出。さらに、追加要件に基づくテストケースのファーストドラフト(初期案)を自動生成する仕組みである。
一連の処理は「検知 → 突合 → 承認 → 生成」のフローで実行される(図3)。ポイントは生成の直前に組み込まれた「承認」ステップだ。AIが独断で変更を反映するのではなく、人間の承認を必要とする「ガードレール」を設けることで、制御不能な自動化を防いでいる。
デモでは、仕様書に「多段承認」という新規要件を追加した際、AI Workspaceが速やかに差分を検知。画面上およびメールで人間に承認をリクエストし、人間が承認ボタンを押すと即座にqTestへ新規要件が追加され、対応する20件以上のテストケース案が自動作成される様子が示された。
ただし、土川氏は「生成されたテストケースはあくまで人間がレビューすべきファーストドラフト(初期案)である、という点は留意が必要です」と強調する。また、生成品質を高めるにはAIモデルの性能だけでなく、元となる仕様書や要件定義にどれだけ明確な文脈(コンテキスト)を含められるかが重要になると補足した。
仕様変更の検知や差分確認、ドラフト作成といった定型作業をAIエージェントに委任しつつ、重要な意思決定と最終評価には人間が介在する――AI Workspaceは、この「人とAIの協働モデル」を具体化したものである。
「作る」仕事は減り、「決める・評価する」仕事が増える
セッションの締めくくりとして、土川氏はAIエージェント普及に伴うQA担当者の役割変化について整理した。提示されたキーワードは「書く・作成する仕事は減り、決める・評価する仕事が増える」である(図4)。
具体的には、業務の領域は以下の3つに再編される。
減っていく仕事:仕様書を読み込んでテストケース案を作成する、変更点を目視で探す、既存テストケースを手作業で棚卸しするなどの作業。
増えていく仕事:AIが読み取りやすい高精度な仕様書・要件を定義すること、AIが生成した内容の妥当性を評価・承認すること。
新しく生まれる仕事:AIエージェントの動作許可範囲や人間による承認ポイントを設計すること、運用ワークフロー自体を維持管理・最適化すること。
「今後QA担当者に求められるのは、AIへの文脈提示、生成物のレビュー、そしてAIエージェントを安全に動かすための基盤設計・運用となるでしょう」(土川氏)
AIエージェントが台頭する時代だからこそ、単にツールを使いこなす段階を超え、ソフトウェア品質保証のプロセス全体をどのように再設計すべきか。本セッションは、これからのQA組織が目指すべき明確な方向性を示すものとなった。
【問い合わせ先】
Tricentis Japan合同会社
Webサイト:https://www.tricentis.com/ja
AI Workspaceのデモお申込み:https://www.tricentis.com/ja/software-testing-tool-trial-demo/demo-request
各種お問合せ:https://www.tricentis.com/ja/contact-us

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