ライセンスの変更
LifeKeeper for Linuxでは、v6より非ノードロックライセンスを採用している。v5.xまではノードロックライセンスであり、これはライセンスキーがMACアドレス(lmhostidコマンドによって得られるホストごとに一意なアドレス)に紐付いている。
このノードロックライセンスの場合、ハードウェア障害によるNIC交換やマザーボード交換によりキーに紐付くMACアドレスが変更になった際に、新しいMACアドレスでのライセンスキーの再取得が必要であった。一方、非ノードロックライセンスはMACアドレスには紐付いていないためライセンスキーの再取得を必要とせず、ハードウェア交換を行っても同じライセンスキーを継続して使用することが可能となった。これにより、サーバメンテナンス作業におけるライセンスキー再取得作業の必要が無くなり、LifeKeeperによるHA環境の継続性を高めている。
ただし、このライセンス形式の変更に伴い、LifeKeeperをインストール後、設定ファイルに日本語ロケールを指定する必要が生じるので注意していただきたい。なお、LifeKeeperのインストール手順自体は「第2回:LifeKeeper for Linuxのインストール」に記載されている内容の通りで変更点はない。
具体的には、LifeKeeperの設定ファイルである/etc/default/LifeKeeperにLANGとLC_ALLの2つの環境変数を追加する。セットする値はシステムごとに異なるのでシステム環境を確認の上、追記していただきたい。
本記事ではシステムロケールにja_JP.UTF-8を使用していた場合の記載方法を示す。
LifeKeeperはインストール時に、システムロケールの値に従って自動的にLANG変数を記述する場合があるが、その際はLANGの値に合わせて、同じ日本語ロケールをLC_ALLに指定し追記するだけでよい。
ライセンスキーがインストールされ、前述の設定が正しく行われている場合はLifeKeeper起動時にリスト2のようなメッセージが出力される。
出力では「package steeleye-lk is not installed」と表示されているが、v6ではsteeleye-lkの代わりにsteeleye-lk-jpがインストールされているため本メッセージは無視して構わない。続いて出力されているWARNINGメッセージもLifeKeeperパッケージが非ノードロックライセンスに対応していることを示しているため無視して構わない。
最後に、LifeKeeper Coreに含まれる主なRecovery Kitに追加された機能として、「IP Recovery Kit」と「File System Recovery Kit」を紹介しよう。

(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
IP Recovery Kitの追加機能
LifeKeeper for Linux v6(厳密にはv6 Update1)よりIPリソースの監視機能に変更・追加が施されている。これまでのIPリソースの監視はブロードキャストpingの応答を得られるかどうかで確認していた。この場合、監視の都度ネットワーク上にブロードキャストpingが流れることになるため、システムが置かれている環境によってはこの仕様が許容されない場合があった。v6ではあらかじめ指定したアドレスに対してユニキャストpingによる応答確認を行う機能が追加され、環境に応じて柔軟な対応が可能となっている。
さらに、従来のブロードキャストpingでの監視についても改良が加わっている。ブロードキャストpingを流すのは初回監視時だけであり、その後は初回時に最初に応答があったアドレスを保持し、そのアドレスに対してユニキャストでpingを発行、応答確認を行うように変更された。このように、デフォルトの監視設定であってもブロードキャストpingが流れる頻度を抑えるよう変更されている。
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