TOPサーバ構築・運用> ProLiant DL365の内部設計思想に迫る
サーバ解体新書
サーバ解体新書「日本HP〜HP ProLiant DL365編」

第5回:担当者が語るHP ProLiant DL365のテクノロジ

著者:ThinkIT編集局   2007/7/5
前のページ  1  2  3  次のページ
ProLiant DL365の内部設計思想に迫る

ThinkIT — HP ProLiant DL365に搭載されているハードディスクは2.5インチ型ですが、その理由はどこにあるのでしょうか?
礒氏:現在は3.5インチ型より2.5インチ型でも十分なパフォーマンスがでることと、MTBF(注3)値が約170万時間という信頼性の高さ、そして消費電力が少なく、重量も軽いことが理由です。

※注3: Mean Time Between Failureの略で、故障するまでの時間の平均値を指す。機器やシステムの安定性の指標として用いられ、値が大きいほど故障間隔が長く、安定したシステムといえる。

   2.5インチ型ハードディスクの消費電力は旧世代のSCSIなどと比べると約半分と省電力ですし、ディスクを複数台搭載するようなサーバになると重量も問題となります。ラックにサーバを実装した際にラックの対荷重といった点も考慮する必要があることから、サーバ全体の重量を軽くすることが求められているのです。

HDDは専用のロック機能付きフレームに取り付けられている
HDDは専用のロック機能付きフレームに取り付けられている

   またディスクのみならずプロセッサについても消費電力削減が求められています。DL365に搭載されているAMD製のプロセッサはIntel製のプロセッサに比べて消費電力も低いこともメリットです。ラックあたりの電源容量の制限もありますし、膨大なサーバを使うデータセンターなどは、少しでもサーバの消費電力が少ないものが求められています。

ThinkIT — ではHP ProLiant DL365本体の開発はどこで行っているのでしょうか?
礒氏 礒氏:開発拠点は米国でして、ロジックや筺体などの設計は全て自社内で行っています。開発期間は製品化するまで長いものだと1年半ぐらいです。開発するものはハードウェア本体のみならず、ディスクアレイコントローラのプロセッサや管理プロセッサなども自社で設計・開発を行っています。一般的にこのような特別な機能を持つコントローラなどは汎用のものを使うことが多いようですが、われわれはHP Systems Insight Managerをはじめ、サーバ管理系のソフトウェアも自社で開発していることもあり、ハードウェアとソフトウェアの親和性がとても高いことが特徴だといえるでしょう。製造はアジアの生産拠点でも行っていますが、一部日本でも生産しています。

   HPには筺体やラック、ドライブの部分などデザインするエンジニアが数多くいまして。彼らはこだわって設計しています。ProLiantではトップカバーのリリースレバーや、スナップイン方式のラックレールキット、ケーブルマネージメントアームなどで多数の特許を取得しており、その設計思想は、あくまでも使用する側の視点に立ち、ワンタッチ、ツールレスが基本です。唯一工具を使うのはトルクスねじが使われている内部ユニットをはずす場合ですが、ドライバはシャーシのふたに添付されています。細かな部分などの作りも丁重で、「匠の技が入っている」といっています。こういったカタログには出てこない部分をいかに伝えるかが我々のミッションだと思います。

DL365を構成するアルミ製のシャーシ。荷重がかかる部分はリベットで留められている
DL365を構成するアルミ製のシャーシ。
荷重がかかる部分はリベットで留められている
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

ThinkIT — 正面に設けられているSystems Insight Displayも便利ですね。
礒氏:Systems Insights Displayも自慢できるポイントで、このディスプレイ部を引き出したとき上下のユニットに干渉しないように作られています。本体に不具合が生じたときはここのインジケータが点灯しますが、メモリの不良の場合もスロット単位で警告されますので、例えば1GBと512MBのメモリを混在していた際にも、適格にどのメモリが壊れたのかを把握できますので、メンテナンス効率も高いといえます。

電源ユニット1が外れている状態
電源ユニット1が外れている状態
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

ThinkIT — ProLiantシリーズにはiLOという管理プロセッサが搭載されていますが、これはどういったメリットがあるのでしょうか?
大江氏 大江氏:iLOはサーバのリモート管理を行う目的で搭載されている管理プロセッサです。HP ProLiant DL365にはiLO2という最新のプロセッサが実装されています。第1世代のものはリモート画面の表示にJavaを使用していましたが、iLO2の仮想KVM機能ではJavaが不要になり、最大20倍の反応速度になっています。

   iLO2はHP ProLiantシリーズに標準搭載されています。複数台のサーバを運用・管理する場合、それぞれのサーバにキーボードやモニタをつなぐことは大変ですしコストも莫大なものになります。しかしリモート管理を行うことで作業を軽減するのみならず、サーバの保守のために移動する必要もなくなるので人件費の削減にもつながります。

ロジックボード上にiLO2のコントロールプロセッサが実装されている
ロジックボード上にiLO2のコントロールプロセッサが実装されている
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

前のページ  1  2  3  次のページ

INDEX
第5回:担当者が語るHP ProLiant DL365のテクノロジ
  匠の技が入ったAMDプロセッサが提供するハイパフォーマンスサーバ
ProLiant DL365の内部設計思想に迫る
  運用監視が標準だからこそ運用コストを削減できる