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2007年中堅・中小企業におけるサーバOSの利用実態 |
第1回:中堅・中小企業でなぜ、Linuxは利用されないのか
著者:ノークリサーチ 伊嶋 謙二 2007/6/15
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サーバOSの利用実態調査要綱
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本調査は、中堅・中小企業におけるサーバOSの利用実態を明らかにすることを目的としている。調査方法は全国の中堅・中小企業へのランダムサンプリングで、郵送アンケートを行った。
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調査の概要
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全国の年商5億円以上500億円未満の民間企業約4,000社に郵送アンケートを実施し、有効回答数1,140社を回収。調査時期は2007年1月から3月。

図1:調査プロフィール (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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2007年中堅・中小企業におけるサーバOSの利用状況 - Windowsが88.8%と圧倒的だが、その約5割はWindows NT、2000
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中堅・中小企業が導入しているサーバのOSの状況を聞いた結果を見てみよう。図2は、06年と07年の経年変化を表している。「Windowsデファクト」という図式がほぼ完成した状態となっている。細かく見ていくと「Windows 2000」が38.5%と最も高い割合で、「Windows 2003」が35.8%、「Windows NT」が14.5%。これら「Windows」全体で88.8%とほぼ独占的な利用率を示している。以下「Linux」が6.7%、「UNIX」が1.7%、「NetWare」が0.1%、「OS/2」が0.6%となっている。

図2:サーバOSの種類 (回答企業が自社でメインで利用するサーバOSの種類を質問) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
06年と比較すると、まず最新OS「Windows 2003」が9.9ポイント増と大幅な伸びを見せているのが目立つ。一方、04年末でサポート期間が終了した「Windows NT」は4.3ポイント減ではあるが、依然14.5%の利用率。リリース後5年が経過した05年6月末に標準サポート期間が終了し、延長サポート期間に移行している「Windows 2000」も0.7ポイント減だが、38.5%の利用率が維持されており、NT の経験から言っても少なくとも延長サポート期間終了に至るまで、この利用率に大きな変化が見られることはないだろう。
一方の「Linux」は1.2ポイント増で6.7%の利用率となったが、大勢に影響を及ぼすほどの変化とは言えないだろう。
「中堅・中小企業のサーバOSはWindowsのデファクト化が厳然たる事実」であることが鮮明であるが、しかし「旧Windows」のWindows NT、2000が半数以上であることも分かった。
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利用目的別に見たOSの利用実態 - セキュリティではWindows 2003が多いが、他分野では旧Windowsが多い
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利用目的別に見た場合のOSの利用結果が図3である。利用目的別に見てもWindows系OSの強さは変わらない。特に「基幹系業務システム」「部門利用」「データベース利用」では、Windows系が9割を超えている。Windows系OSについて細かく見ていくと、「Windows 2003」の最も高い利用率は、「セキュリティ、ファイアウォール、バックアップ利用」の41.5%だ。これらの利用目的のために導入したサーバが近年に多く導入されているためだ。しかし、全般的な傾向として「Windows NT」と「Windows 2000」の旧Windowsの利用率が「Windows 2003」よりも高い。

図3:システム別に見たOSの利用実態 (「サーバ利用目的」と「サーバOS」の質問間クロス集計の結果である) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
一方、Linuxは「社内構築システム」、「セキュリティ、ファイアウォール、バックアップ利用」で、1割を超えているのみだ。それ以外の分野では、Linuxも「その他のOSと同じくくりに収束」しつつある。なぜ、Linuxは利用されないのか。昨年に続いて、次章で検証したい。
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著者プロフィール
株式会社ノークリサーチ 伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/
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