連載 :
ストレージの最新動向ストレージ階層化で価格性能比を高める
2010年7月13日(火)
ストレージ階層化の効果を可視化
FASTは、導入して終わりではない。FASTの導入効果を測定する仕組みや、応答性能を含めてサービス・レベル要求を満たしているかどうかを測定する仕組みが必要になる。以降では、FASTの効果を可視化するツールについて解説する。
FASTの適用効果を測定(可視化)するツールに求められる要件はこうだ。まず、FAST適用以前のデータと比較できなければならない。また、業務の運用に負荷や影響を与えることなく効果を測定できなければならない。運用の手間を考えると、都度変更される構成情報をツール側で自動的に把握できると都合がよい。
こうした要求を満たすツールの1つが、大規模SANストレージのSymmetrix向けに用意した「Symmetrix Performance Analyzer」(SPA)である(図5)。SPAは、現在のリアルタイムな性能を表示する機能とトレンド(傾向)分析機能を兼ね備えている。ストレージ内で自動的に行われる構成変更と連動することで、最新の構成情報に基付いた性能情報を可視化できる。
図5: 「Symmetrix Performance Analyzer」の画面 |
SPAでは、FASTの効果だけでなく、シン・プロビジョニング(容量仮想化)におけるプール領域別の性能情報を可視化することもできる。シン・プロビジョニングやFASTによって仮想化・階層化されるストレージをユーザー自身で運用する際に必須となるツールと言える。
ここまで解説してきたように、ストレージの自動階層化機能は、今後ますます大容量化するHDDを有効活用するうえで必要かつ重要な機能と言える。企業向けのストレージでは、SSD、FC、SATAを適材適所で利用でき、なおかつ、階層化の運用を自動化・省力化できるものが求められる。
次回は、サーバー仮想化におけるストレージの管理について解説する。
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