同一テーブルでプロパティ項目を変更して永続化
2. 異なるプロパティ項目を含むエンティティの全件検索
最後に、異なるプロパティ項目を含むエンティティの全件検索を、Low-level APIで行い、簡単なプログラム処理で確認してみます。
(1)サーバー側ビーンズ処理
リスト3: revAllItemsメソッド
: public class itemBean { DatastoreService ds = DatastoreServiceFactory.getDatastoreService(); : public String revAllItems() { Query query = new Query("itemMas"); //(1) List<entity> imas = ds.prepare(query).asList( FetchOptions.Builder.withOffset(0)); //(2) String out = ""; for (Entity i : imas) { out += i.getKey() + " | "; out += "商品名: " + i.getProperty("itemName")+ " | "; out += "形式: " + i.getProperty("type")+ " | "; out += "価格: " + i.getProperty("price")+ " | "; if(i.hasProperty("cpu")){out += "CPU: " + i.getProperty("cpu")+ " | "; } //(3) if(i.hasProperty("memory")){out += "メモリ: " + i.getProperty("memory")+ " | "; } if(i.hasProperty("os")){out += "OS: " + i.getProperty("os")+ " | ";} if(i.hasProperty("size")){out += "サイズ: " + i.getProperty("size")+ " | ";} if(i.hasProperty("papersize")){out += "用紙サイズ: " + i.getProperty("papersize")+" | ";} if(i.hasProperty("resolution")){out += "解像度: " + i.getProperty("resolution")+" | ";} out += "<r>"; } return out; } : </r></entity>
リスト3は、商品マスターに登録されたエンティティ項目を参照する、Low-level APIでのプログラムです。前ページの図6のように、このサンプルでの書き込みでは、エンティティによってはプロパティ項目が
Low-level APIの場合、リスト3の(4)のように、hasPropertyメソッドを用いて、引数に指定されたプロパティ項目の存否を確認します。プロパティ項目がある場合に限って、.getPropertyでプロパティ・データを取得できます。このような処理により、プロパティの並びが異なる複数のエンティティにアクセスする場合でも、問題なく処理を行うことができます。
これに対し、RDBを想定しているJDOでは、プロパティ項目が異なるエンティティ項目が同一テーブルに混在することを想定していないため、このようなメソッドは利用できません。
(2)クライアント側処理
図7: コンピュータ商品の全件参照画面(クリックで拡大) |
図7はクライアント側の表示画面です。「参照」ボタンをクリックすると、図のように各商品のスペック情報が一覧表示されます。図の左端がキー項目で、テーブル(kind)名のあとのカッコ内に、ユーザー指定のキー・データが記述されるスタイルで表示されます。
リスト4は、この画面を表示するクライアント・プログラムですが、大変シンプルな内容になっています。
- 画面の「参照」ボタンをクリックすると(1)の匿名関数が呼び出されます。
- 匿名関数では、(2)において、DWRのrevAllItemsメソッドを用い、参照リクエストを送信します。サーバーからの受信データを受け取ると、revAllItemsの引数で指定された匿名関数が起動します。
- 起動する匿名関数には、引数に受信データのdatがセットされています。これを、(3)のsplitにおいてレコード単位に分割し、配列recにセットし、あとはrecデータから1レコード/行で画面表示を行ないます。
リスト4: revAllItems.htm
<!DOCTYPE html> <html> <head> <meta charset=utf-8> <title>商品マスタ全件参照</title> <link type="text/css" rel="stylesheet" href="/csslib/style.css"/> <script type="text/javascript" src="/dwr/interface/itemBean.js"></script> <script type="text/javascript" src="/dwr/engine.js"></script> <script type="text/javascript" src="/dwr/util.js"></script> <script type="text/javascript" src="/jslib/jquery-1.4.2.min.js"></script> <script type="text/javascript"> //<![CDATA[ $(function(){ $("#revall").click(function(){ //(1) itemBean.revAllItems(function(dat){ //(2) var out = ""; var rec = dat.split("<r>"); //(3) for (var i=0; i < rec.length; i++){ out += "<p>" + rec[i] + "</p>"; } $("#out").html(out); }); }); }); //]]> </script> </head> <body bgcolor="#cccccc"> <h2 style="color: #aa0022">コンピュータ商品全件参照 <input type="button" id="revall" value=" 参照 "/> </h2> <div id="out"></div> </body> </html>
今回は、App Engineのレコード(kind)構造の柔軟性と、その柔軟性を活用するためにLow-Level APIが有効であることを説明しました。次回は、App Engineレコードのもう1つの大きな特徴となる、プロパティ項目のコレクション・フィード化について解説します。