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iOSとiPhoneの進化とこれから

2011年1月7日(金)
新居 雅行

iOS 4.2が現在のプラットフォーム

iPad、iPhone 4の登場もあって、OSがめまぐるしく変わったのが2010年だ。開発スタッフがかなりの苦労をしたことも想像に難くない。iPhone OS 3.1系列がリリースされる中、Ver. 3.2というiPadだけのOSがリリースされることになる。基本機能は共通だが、iPadには左右に分割される画面(スプリットビュー)や、吹き出しのようなデザインの「ポップオーバー」と呼ばれる独自の機能がある。今までのiPhone OSになかった機能をサポートするiPad用のものだが、該当OSである「iPhone OS 3.2」はiPhone系のiOSとは別の進化を歩み、11月にiOS 4.2.1がリリースされるまでそれを使うことになる。つまりVer.3系列はiPhoneとiPadで別々のOSだったという点では整理されている。

一方、6月にiPhone 4が発売されたタイミングに合わせて、iPad以外のデバイスは「iOS 4」つまりVer.4系列に移行する。初期のiPod touch以外はアップデートできるものの、iPhone 3Gは機能制限がある上に重くて使えないほどだった。しかも、ここから半年の間は、iPhoneはVer.4、iPadはVer.3という、開発する上で一番面倒な時期でもあった。iOS 4の大きなポイントは、いわゆるマルチタスク対応だが、この点については次回の記事で紹介しよう。

11月になって、ようやくiPhoneとiPadで同じバージョンで利用できるiOS 4.2.1がリリースされた。印刷機能などが注目できるが、やはりiPadがVer.4系列で使えるようになったというのが大きな点だと言える。

ここでこれまでのOSのメジャーバージョンを少し振り返る。Ver.2はとにかく最初のバージョンのため、必要最低限の機能をそろえている。Ver.3では機能アップは少なめだがアプリ内課金などに注力し、Ver.4になってからはいろいろと細かいところに手を入れていると、大ざっぱだがこんな感じだ。ちょっとした便利なAPIがVer.4だとあれこれそろっているので、Ver.3向けには異なるコードを書くことになり、バージョンごとの分岐が増えてしまった。iPadとiPhoneがiOS 4.2.1という同じバージョンで稼働するようになり、やっとその足かせがはずされたかというのが開発する側からの正直な気持ちと言える。

AppleのMac OS X Lion先行告知ページ(クリックでサイトに移動)

2011年のiOSを大胆に予測する

Appleは先のことはほとんど語らないが、Mac OS Xについては新たなリリースが2011年夏にあることを公表している。筆者の個人的な考えでは、Appleは5年周期で何か大きなことをやっているのだ。Mac OS Xの場合、NeXT社買収の1996年、Mac OS Xの最初のリリースが2001年、Intel CPU対応が2006年、そして2011年には次の大きなことが発生するのではないかと考えられる。ちなみに、iPhoneの周期を考えれば、iTunes Music Storeの2003年、iPhone SDKの2008年を挙げたい。とすると、次は2013年ということになる。

この予測が当たれば、今現在、Appleは製品開発としてはMacに注力していることになり、iOS関連製品は順当なアップデート程度かもしれない。ただし、AppleによるMac OS X Lionのプレビューによると、iOS的な側面がかなりMac OS Xに取り込まれることになる。見かけの部分も注目されるものの、iOSのように保存を操作として行わないことや、アプリケーションの利用途中の状態を即座に呼び出すような仕組みがMac OS Xに入るとしたら、アプリケーションにとっては大きな変更が必要になるかもしれない。

そして、アプリの作りを変える必要があるのなら、開発者にとっては市場参入のチャンスとも言えるだろう。もちろん、利用者的にもパソコンの使い勝手が大きく変わる。何より重要なのは、こうした変化がスマートフォンからのムーブメントということだ。

ただし、そうはいってもiPhoneはこれまでWWDCがあるごとに新機種とOSのメジャーアップデートがあったので、2011年も、「iPhone 5」「iOS 5」かどうかは分からないが、新機種の可能性は大いにある。一方で、他社のスマートフォンや携帯デバイスの対抗軸的なものもおおむね固まっていて、iOS搭載デバイスが目に見える死角がない今現在、あえてアップデートを無理にしてこない可能性もある。2011年のWWDCはむしろMac OS X Lion一色にして、新しいテクノロジーをアピールするかもしれない。

いずれにしても、月並みな表現だが、スマートフォンを語る上でAppleからは目が離せないし、iPhoneを軸にスマートフォン市場が転がる状況は今後も続くだろう。

次回からはiOSのアプリ開発について解説していく。

フリーランスのトレーナー、コンサルタント、プログラマー、ライター。MacやiPhoneを中心としたトレーニング、FileMaker、 Access、MySQLを軸にしたWeb系の開発などが主な業務。iPhoneアプリ「郵便番号検索」を開発し、App Store開設初日に掲載される。Apple認定トレーナー、Apple認定システムアドミニストレータ、Microsoft認定トレーナー、 FileMaker認定デベロッパー。著書に「iPhoneアプリケーションプログラミング」など。京都工芸繊維大学大学院修了。

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