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攻撃の詳細と対策の本質

2012年3月19日(月)
蔵本 雄一

実際の攻撃と対策のアプローチ

さて、第1回では、標的型サイバー攻撃の仕組みや目的といった俯瞰(ふかん)的な基礎部分について解説し、従来の「攻撃を防ぐ」というアプローチでの対策が非常に難しい事を理解して頂いた。

セキュリティ対策に対する根本的な意識改革が必要になるため、第2回となる今回は、標的型サイバー攻撃のより具体的な攻撃方法等について解説し、「なぜ攻撃を防ぐ事が難しいのか?」という点をより詳細に解説する。

標的型サイバー攻撃と従来の攻撃の違い

まずは第1回のおさらいとして、従来の攻撃と標的型サイバー攻撃の主な違いを下表にまとめたので、参考にして欲しい。

項番 内容 従来のマスメール型攻撃 標的型サイバー攻撃
1. 目的 多数の PC 操作 (Bot化)等 機密情報の入手等
2. ウイルス検体入手 容易 非常に困難
3. 検体数 多数 非常に少数
4. Anti-Virusソフトによる検知 可能 ほぼ不可能
5. メールの使用言語 英語 日本語
6. メールの内容や件名 一般的な用語や文脈、自組織とは無関係 自組織の用語も包含、自組織の人間に関係のある事項
7. メールの送信者 不明な組織や個人、感染した知人 自組織の役職者、大企業、官公庁
8. 主な添付ファイル形式 Exe等の実行ファイル形式 PDF、Word、Excel等の文書形式
9. 標的の対策状況把握 把握せずに攻撃 熟知した上で攻撃

あらためて見直しても、従来の攻撃とは、様々な点が異なっており、対策するという観点からは、企業側に不利な状況が多く揃っているのが確認できるかと思う。

標的型メールのサンプル

さて、前回から、標的型メールを利用してユーザーを攻撃するという解説をしているが、もう少し具体的に標的型メールを解説しよう。標的型メールによく使用される方法としては、二つの攻撃方法がある。マルウェアを添付する方法と、マルウェアへのWebリンクを記述した方法である。

それぞれサンプルのスクリーンショットを載せるので参考にして欲しい。

図1(左):添付バージョン/図2(右):リンクバージョン(クリックで拡大)

従来使用されていた、英語で記述された明らかに怪しいメールに比べ、かなり紛らわしい印象を受けるのではないだろうか?例えば、PDFの見積もりが添付されたメールをよく受け取っている営業の方であれば、見積もりに似せた名前で添付されているPDFファイルをオープンしてしまう可能性は非常に高いだろう。標的型メールを受け取った営業からすれば、一目見て怪しいと分かるメールであれば判別のしようもあるが、そうでないものに関していちいち真偽を確かめる時間もないし、方法も分からないといったところではないだろうか?

再三言っている事だが、これまでの「怪しいメールは開かない」というリスク回避方法は通用しない可能性が高い。なぜなら、人によっては「怪しくないメール」に見えてしまうようにメールが作りこまれているからだ。こういった、標的型メールによる攻撃の成功率の高さは、政府が行った実験でメール開封率が約1割であった事からも証明済みである。詳しくは第1回で解説しているので参照頂きたい。

また、最近では、マルウェアがパスワード付きZIPとして添付されているケースも増えており、メールサーバーでのマルウェアチェックができない事もあいまって、標的型メールによる攻撃成功率は高いと言える。

※ここで言う開封率とは、実際に添付されていたファイルを開いた、もしくは、メールに記載されていたリンクをクリックしてしまった率である。

◆◇◆◇ コラム ◆◇◆◇

標的型メールに限った事ではないが、ブラウザの脆弱性を利用した攻撃メールの場合、プレビューしただけで感染する可能性もあるので、今までどおり、OSやブラウザのパッチ管理を行いながら、リンクバージョンや、添付ファイルバージョンの標的型メールに気をつける必要がある。

日本マイクロソフト株式会社

CISSP、公認情報セキュリティ監査人。また、ISO27000系の策定を行う、SC27専門委員も勤める。 前職でアンチウイルスソフト等の開発に携わった後、Microsoft社のセキュリティエンジニアとして顧客環境のセキュリティ向上提案活動に従事。プログラミングやハッキング等の下流技術要素から、情報セキュリティ監査やコンサルティング等の上流要素まで、幅広く豊富な知識を活用した提案をおこなっている。その他、セミナー講師、イベントスピーカーや記事執筆等の活動も精力的にこなす。

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